国内大手企業のなかには、仮想環境やクラウドなどへの移行を進める一方で、延命保守サービスなどに頼りながら、古いメインフレームを使い続けているところが少なくない。富士通グループの一員として、グローバルにエアコンの製造・販売を行っている富士通ゼネラルも、そうした企業のひとつだ。同社では1980年代のメインフレームとSalesforceなどを併用して、現代のビジネススタイルにマッチしたスピードを追求している。その取り組みに貢献しているのが、様々なシステム間でデータ連携を容易にするDataSpider Cloudだ。

メインフレームを活かしながらの業務システムの刷新に臨む

富士通ゼネラルではかねてより、企業体力強化のための無駄削減、通称「全社アカスリ運動」に取り組んでいる。物流コスト、オフィスの紙類、承認待ちの時間や共有時間などの削減のほか、サービス・設計・調達部門の垣根を越えた情報共有を進めることで、保守サービスの強化と効率の改善にも取り組んでいる。その一環として同社IT統括部門では2018年6月の本格稼働を目標に、サービス部品業務のシステム刷新を進行させている。エアコンのスペアパーツを国内外に供給する業務にかかる時間と手間を削減するのが主な目的だ。メインフレームで処理している経理データや部品の在庫管理データと、Salesforce上で動くオーダーマネジメントシステムとの連携にはDataSpider Cloudを活用している。

「以前はシステム間でデータを連携させる場合、社内のエンジニアがバッチ処理プログラムを手で書いていましたが、生産性の向上を考え、2013年頃にETLツール(※1)を導入しました。オンプレミス専用だったので、メインフレームにオープン系システムを後付けして、基幹システムではできない連携処理を外部で補うという形を取っていました」と、IT統括部 フロントソリューション部 櫻井 功氏は当時のことを語る。

富士通ゼネラル IT統括部 フロントソリューション部 櫻井 功氏

「2013年のETLツール導入後、当初は大きな問題もなく、生産性向上にも効果がありました。しかし、後に導入されたSalesforceとメインフレームとの連携をこのツールで実現させるには、大きなコストがかかると分かりました。仮にバージョンアップしても、当時のベンダーのサポートではSalesforceを活かせるだけの開発スピードが出せないと思っていました。そんな折、発注管理システムのコンサルティングで当社とつきあいのあるテラスカイから、DataSpider Cloudを提案されたのです」(櫻井氏)


ノンプログラミングで開発効率が向上、動作検証時の手戻りも減少

DataSpiderシリーズ(開発元:アプレッソ)は、種類の異なるシステムやアプリケーション間でのデータのやり取りを、ノンプログラミングで行えるようにするEAIツール(※2)として、連携機能の豊富さや、開発効率の向上につながる操作性の高さが評価されている。DataSpider Cloudは、DataSpider Servistaをベースに、本格的なクラウド型データインテグレーションサービス(iPaaS)として、アプレッソとテラスカイが共同開発したもので、2017年1月から提供されている。

アイコンのドラッグ&ドロップで簡単にフロー設計やデータ連携を実現できる操作性はそのままに、クラウドでの連携対応を前提に開発されているため、Salesforce、kintone、AWSなど、各種クラウドサービスとの親和性がいっそう高まっている。

  • アイコン化されたデータ処理コンポーネントをドラッグ&ドロップすればフローが作成できる

オーダーマネジメントシステムの仕事で、既に信頼関係を築いていたテラスカイのサポートが受けられるという安心感に加え、クラウドサービスとして提供されていたこともDataSpider Cloud採用の大きな理由だったと、IT統括部 主席部長 中田 信一氏はいう。

「連携のためだけに新たなサーバをたてるのはコスト面・保守面でも負担がかかりますし、世のなかがクラウドの方向に動いているのだから、連携ツールもクラウド化したいと考えていました」

導入を決めてからの開発の流れを、IT統括部 フロントソリューション部 吉田 博臣氏は次のように説明する。

富士通ゼネラル IT統括部 フロントソリューション部 吉田 博臣氏

「2016年10月頃から連携に必要なインターフェースの洗い出しや、ホスト側のデータとSalesforceとを連携させる方法の検討を行い、DataSpider Cloudを利用した開発作業は2017年の1月末からスタートさせました。ノンプログラミングで簡単に扱えるため、3月末までの2ヶ月で10ほどの連携が完成し、4月にはそれを活かした業務システムを公開できるまでになりました。現在は2018年6月のシステム本格稼働に向け、さらに80~90の連携を組んでいるところです」

DataSpider Cloudによる開発を始めるにあたっては、IT統括部の6名がテラスカイの実施している操作講習に参加したという。

「ちょっとした講習を受ければ、基本的なところはすぐに使えるようになります」(吉田氏)

「講習を受けていないメンバーに対しても教えやすく、横展開しやすいのが特長だと思いました」(櫻井氏) 実際、講習には不参加ながら、開発の重要部分を任されているIT統括部 フロントソリューション部 北村 佳祐 氏も、その操作性の高さを次のように語る。

富士通ゼネラル IT統括部 フロントソリューション部 北村 佳祐氏

「講習参加者に使い方を教えてもらって開発をはじめましたが、直感的に使えるのがうれしいですね。分からないことがあってもマニュアルがしっかりしているので、すぐに解決策にたどりつけますし、何かあればテラスカイに頼れるというのも安心です」

ノンプログラミングでの開発は、動作検証やエラーの原因特定時にもメリットがある。DataSpider Cloudの場合、データを連携させたいシステムやアプリケーションを決めて、そこにアイコン化された処理(データの加工や変換)を紐付けていくだけで連携が完成するので「人に依存しない作り方」ができると櫻井氏は説明。エラー発生時には、誰がつくった連携かを考慮することなく、原因の特定や修正作業を行えるので、迅速な対応が可能だ。

こうしたメリットもあってDataSpider Cloudでの開発効率は、手でプログラムを組むのに比べ3割程度アップしていると櫻井氏は言う。

システム連携によりメールのやり取りを一掃労働時間の削減や、生産性の向上に期待

新しいサービス部品システムの本格稼働はこれからだが、2017年4月に部分公開したシステムは、既に大きな成果を上げている。

海外に11ヶ所 ある販社と本社サービス部品管理部門 では以前、サービス部品の受発注はExcelを使いすべてメールで行っていた。このやりとりは販社にも本社担当にも、大きな負荷となっていた。

このプロセスをすべてSalesforce上で行えるようにしたのが、先述のシステムだ。販社はSalesforceの画面で在庫や引き当て数の情報を確認でき、注文まで行えるので、この業務に関わるメールはほぼ一掃された。さらに受注を二重入力するミスがなくなったり、受発注の進捗状況が画面上で手に取るように見えるようになったりしたことで、現場からは高い評価を受けている。

「メインフレームから様々な情報を持ってきてSalesforceで閲覧できるようにしたこのシステムは、両者の連携を実現するDataSpider Cloudなしには実現しなかったでしょう」(中田氏)

富士通ゼネラル IT統括部 主席部長 中田 信一氏

富士通ゼネラルでは将来、基幹システムをクラウド化することを検討しているが、当面はDataSpider Cloudを活用し、メインフレームと他システムをつなぎながらの運用を行っていく予定だという。

「我々のように基幹システムが古いうえ、部門ごとにシステムがバラバラだという企業は多いと思いますが、それをひとつのERPとしてつくり直すには莫大なコストがかかるでしょう。バラバラなものを論理的につないで整合性をとる『ポストモダンERP』という考え方がありますが、DataSpider Cloudはそうしたシステムを構築するのにぴったりだと思います。システムがシームレスにつながることでメールでの煩雑なやりとりを減らせたり、欲しいデータをすぐに入手できたりすれば、労働時間の削減や生産性向上、ひいては働き方改革にもつながっていくでしょう」(中田氏)

※1ETLツール

ETLは、Extract、Transform、Loadの略称。
企業内の複数システムからデータを抽出・変換し、データウェアハウス等に送るためのツール。

※2EAIツール

EAIは、Enterprise Application Integrationの略称。
異なる複数のシステムやアプリケーションをつなぎ、システム連携・ビジネスプロセスを統合させるツール。

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