■ゴルフ上達の新メソッド「スイングの山を作る」とは!?

花ヶ崎コーチ「ヒップスピードとは、『腰が回っているときの最大スピード』です。青木さんの571°/秒は良い数値ですね。ちょっと良すぎるなぁ(笑)。これはクラブを持っていないからでしょう。僕のレッスンでは、アマチュアの方はまず500°/秒を目指しましょうと言っています。

そして、ヒップタイムは『トップから最大スピードに達するまでの時間』のこと。プロだと0.2秒くらいなのですが、青木さんは0.71秒。つまり、下半身の切り返しが遅いということ。普段、スライスが多いでしょう?」

  • レッスンコーチでありHIP SPEEDERの監修も務める花ヶ崎光広コーチが、筆者のスイングを分析・解説!

  • 筆者のスイングを計測した『回転スピード』画面。これは、腰の回転スピード(角度/秒)とタイム(秒)部分

――すごい! その通りです。まるで実際のショットを見られているみたいですね。

花ヶ崎コーチ「腰の切り返しが遅いと、弾道がどうしても右寄りになる。腰の動きの数値を見れば、そういったことがほぼわかります。それほど腰の動きは大切なんですよ。これらは、その下のヒップグラフを見るとさらによくわかります。

横軸が時間、縦軸が回転速度です。青木さんは、ヒップグラフの線が『ひと山型』になっている。これは腰は回っているけれど、回転が遅いときにできる形です。一方、初心者に多い、腰が回らず上半身で打つタイプ(いわゆる『手打ち』)だと、この線が『山脈型』になる。そして、上級者やプロゴルファーは頂点が2カ所の『ふた山型』になります。スイングの開始でぐっと腰の回転スピードが上がり、インパクト直前で一度止まって、ここからフィニッシュへと再び加速回転する。だからふた山になるんですね」

  • 筆者のスイングは残念ながら「ひと山」型。山のピークも後ろ寄りで、下半身の切り返しが遅いことがわかる

ここで、花ヶ崎コーチもHIP SPEEDERで計測。そのスイングは、クラブを持たずとも風を切る音が聞こえるほどの迫力だ。もちろん、計測結果のヒップグラフには、しっかりとふた山が表れていた。

  • 花ヶ崎コーチが迫力のスイングを披露!

  • こちらは、花ケ崎コーチのスイングを計測したもの。グラフが「ふた山」型で、腰の切り返しも速いので、山のピークが前寄りになる。ポテンシャル飛距離も大きく違う

――プロはスイング中に腰の回転が一度止まっていたなんて、まったく気付きませんでした。

花ヶ崎コーチ「途中で腰を止めないと、ヘッドが走らないんです。ボールを投げるとき、腕全体で投げながら、途中で肘や手首を止めてスナップを効かせることで球速を上げますよね。それと同じ。ゴルフスイングの場合は、それが腰なんですね」

野嶋氏「私たちは、これを『ふた山理論』と呼んでいます。実際に初心者から上級者まで多くの方々のデータをとってみたところ、グラフの山のでき方が大きく3種類になることが分かりました。そのデータを付け合わせながら見ていくと、確かにプロの方々は綺麗にふた山になっていて、飛距離も出ている。一方、手打ちで山脈型になってしまう人は、手で一生懸命飛ばそうとするから腰が綺麗に回りません。

山脈型の人は、まずひと山型を目指し、それができるようになったらふた山型を目指す。こうやって段階的にステップアップしていきましょう、というのがHIP SPEEDERの開発思想であり、使い方です」