ITの急速な進歩に伴い、あらゆる業界のビジネスは大きな変化を余儀なくされている。このため、現代の企業のほとんどは、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を喫緊の課題としている。IoT(Internet of Things=モノのインターネット)の普及やクラウドの進化などにより、企業がビジネスを推進する流れの中で蓄積されるデータは加速度的に増大しており、企業にとって有益なデジタル変革を実現するためには、膨大なデータを使いこなすための効率的な仕組みが必要となる。

また、近年では製品やサービスに対するユーザーのニーズが変化しており、品質、コストだけでなく顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)の提供が不可欠となってきている。単にモノを販売するのではなく、ユーザーそれぞれのニーズに合わせた製品を提供するマス・カスタマイゼーションが必要となり、それを実現するためにもデジタル技術が大きな役割を持ってくる。

製造現場や店舗、顧客対応、マーケティング、各種公共機関など、ビジネスに関わるあらゆるフィールドから取得される膨大なデータを、業務効率化やコスト削減だけでなくユーザーエクスペリエンスの実現による商品価値向上につなげたいという場合には、収集したデータをどのように処理・分析・活用するのかが重要となる。IoTによって、さまざまな種類のリアルタイムデータが収集できるようになった現在では、多種多様なデータを分析して効果的な活用を実現するためにAI技術が利用される。IoTやAIといった先進のデジタル技術を効果的に活用するためには、企業の持つデジタルプラットフォームの整備が不可欠だ。

それでは、これからの時代のビジネスに必要となるデジタルプラットフォームとはどのようなものなのか。その答えのひとつとして注目したいのが、11月30日に開催されたネットアップ主催による年次イベント「NetApp Innovation 2018 Tokyo」におけるセッションのひとつとして行われた、富士通 プラットフォーム技術本部 軸丸 洋行 氏、ミドルウェア事業本部 佐野 哲也 氏による講演だ。

IoTやAIを有効活用するためは高速処理が行えるストレージが必要

今回の講演では、「デジタル変革を支えるストレージソリューション」をテーマに、ビッグデータの最適な処理・活用によるデジタルイノベーションを実現するための取り組みが語られた。軸丸 氏は、これからの時代のデジタルビジネスプラットフォームには、高速処理を実現するオールフラッシュ/ハイブリッドストレージ、拡張性や容量効率化、安定稼働を実現するクラウドインフラ、膨大なデータを安全・効率的に保存するための大容量アーカイブソリューションが必要になると話し、デジタル変革をスムーズに実現するための製品として、同社が提供しているNAS (Network Attached Storage)製品「ETERNUS NR1000」を挙げた。データ処理量が激増したことで、従来のHDDを使ったシステムでは処理時間が増大し業務が停滞してしまう可能性が高くなるが、ETERNUS NR1000のオールフラッシュストレージ(NR1000A)、またはSSD&HDDのハイブリッドストレージ(NR1000F)製品を適用することで、膨大なデータを高速に処理することが可能となる。講演ではETERNUS NR1000を一次ストレージ、テープ/光メディアを二次ストレージにして高速性とコスト軽減を両立させた大容量アーカイブリファレンスモデルも提示されていた(詳細は次回に解説)。

富士通株式会社 プラットフォーム技術本部 プロダクトソリューション技術統括部 軸丸 洋行 氏

【特別連載】ストレージ活用のキーワードは
“オールフラッシュ”+“大容量アーカイブ”

第2回 オールフラッシュを利用した最新ソリューションの実力
新時代のデジタルプラットフォームを構築するうえでカギを握る"高速なストレージ製品"と"柔軟な運用が可能なデータベースシステム"に注目。

記事はこちら→ https://news.mynavi.jp/kikaku/20171219-554129

OSSデータベースの柔軟性がビジネスの形を進化させる

続いて登壇した富士通 ミドルウェア事業本部の佐野 氏によるセッション後半では、デジタル技術を使ったビジネスモデル変革を強力にサポートするオープンソースソフトウェア(OSS)の重要性が解説された。先に述べたとおり、現代のビジネスで蓄積されるデータは膨大にして多種多様なものとなってきている。会計、販売、購買、生産管理、在庫管理といった従来からの企業システムで蓄積されるデータと、IoTのセンサーなどから絶え間なく収集されるリアルタイムデータ、さらにクラウド上に保存されている各種公共機関提供のデータなどをシームレスに繋げることが、効果的なデータ分析・活用を実現するためのカギを握ると佐野 氏は語る。そのために重要なのが「データのオープン化」であり、それを実現するために、同社はOSSのデータベース管理システム「PostgreSQL」を自社のデータベース製品に採用しているという。

富士通株式会社 ミドルウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部 佐野 哲也 氏

従来、ビジネスにOSSを利用するメリットはICTのコスト削減がほとんどだったが、現在ではビジネスイノベーションへの適用を考えてOSSを採用する企業が増えてきている。さまざまな分野で多種多様なOSSが使われており、そこで処理されるデータをシームレスに活用するためには、OSSデータベースであるPostgreSQLが最適であると佐野 氏は話す。1997年に最初のバーション(6.0)が公開されたPostgreSQLは、開発コミュニティが活発で毎年バージョンアップを重ね、運用性の向上から信頼性、性能、データベース連携の対応と着実に進化を続けている。外部コミュニティの活動も盛んで、さまざまな周辺OSSツールが開発されている。中でも、ベンダー製のRDBだけでなくNoSQLなど、さまざまな外部データベースとの連携を実現するForeign Data Wrapper(外部データラッパ)が豊富に揃っており、異なるフォーマットのデータをPostgreSQL形式に変換して効果的に活用できるという。

PostgreSQLはオープンソースのため、サービスのプロト開発の際にはスピーディに導入できる利点があるが、いざ本稼働となると運用面を考慮した業務継続性やセキュリティの確保、開発コミュニティと連携した保守体制の維持などの懸念が出てくる。それに対し、富士通が提供する「FUJITSU Software Enterprise Postgres」は、ミッションクリティカルシステムを支えてきた同社のデータベース技術を活用して信頼性、性能、セキュリティを強化している。さらに、ビッグデータ活用など大容量データの運用性・安全性を向上させるため、ETERNUS NR1000と組み合わせた高信頼ソリューションも提供している。富士通のPostgreSQLはトラブル時のサポート体制も含め、安定した運用が行えるというメリットがある。また、さまざまな外部データベースと連携できるPostgreSQLを導入すれば、これまで特定のベンダー製のソフトウェアに縛られていたものを、OSSに置き換えることが可能。Foreign Data Wrapperを活用すれば運用中のサービスを維持しながら段階的に社内システムを移行させることもでき、将来に向けたICT投資を効率的に行えるようになる。

ここまで述べてきたように、これからの時代に対応するデジタルビジネスプラットフォームを構築するためには、高速なオールフラッシュ/ハイブリッドストレージ、拡張性が高く安定したクラウドインフラ、さらに重要なデータを安全に保存するための大容量アーカイブといったキーワードが重要な要素となる。企業のシステム基盤の刷新となるため実行するまでのハードルは非常に高く感じられるが、ETERNUS NR1000やFUJITSU Software Enterprise Postgres、さらに各種OSSなどの製品・サービスを活用することで、スムーズな移行が可能になるはずだ。

【特別連載】ストレージ活用のキーワードは“オールフラッシュ”+“大容量アーカイブ”

第3回 データの利活用が求められる今、アーカイブソリューションの重要性
事例でわかる!膨大なデータ資産を安全確実に長期保存するアーカイブシステムとは?

記事はこちら→ https://news.mynavi.jp/kikaku/20180214-571686/



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