11月8日~10日にかけて、幕張メッセで日本最大級のIT専門展「2017 Japan IT Week 秋」が開催された。本記事では、「第8回 クラウド コンピューティング EXPO 【秋】」に出展した富士通クラウドテクノロジーズの担当者インタビューおよびブースの模様を紹介する。

ニフティクラウドの愛称「ニフクラ」を統合ブランド名に

富士通クラウドテクノロジーズ 営業マーケティング本部 マーケティング部 木下 達也氏

旧ニフティが2017年4月1日に分社し、クラウド事業会社の社名変更によって誕生した富士通クラウドテクノロジーズ。この10月に「Navigate Innovative Future」をコンセプトとして、パブリック型クラウドサービス「ニフティクラウド」を含むすべての法人向けサービスを新ブランド「NIFCLOUD(ニフクラ)」に統合するなど、新たなチャレンジを続けている。

この新ブランドについて、富士通クラウドテクノロジーズ 営業マーケティング本部 マーケティング部の木下 達也氏は「より幅広いお客様にご利用いただきたいという想いから、長年にわたって親しまれてきたニフティクラウドの愛称『ニフクラ』を統合ブランド名としました。統合前からご好評をいただいてきた各サービスの利便性はそのままに、今後もさらなる品質の向上に努めてまいります」と語る。

ここで改めて、「ニフクラ」ブランドとして提供されているサービスを旧名称も含めて確認しておこう。

■「ニフクラ」ブランドのサービス一覧

IaaS/PaaSクラウドサービス
・ 「ニフクラ」(旧:ニフティクラウド)  ITインフラ基盤をオンデマンドに提供する、VMware基盤の国産パブリック型クラウドサービス

デジタルIoTソリューション
・ 「IoTデザインセンター by ニフクラ」(旧:ニフティ IoT デザインセンター)
 IoTを活用してデジタルビジネス創出に取り組む企業を、ビジネス・テクノロジーの両面で支援して事業課題を解決するサービス

・ 「ニフクラ mobile backend」(旧:ニフティクラウド mobile backend)
 スマートフォンアプリ向けにプッシュ通知や認証といったバックエンド機能を提供する、無料から使えるmBaaS

マイクロエンタープライズソリューション

・ 「ニフクラ ベーシックホスティング」(旧:ニフティクラウド ベーシックホスティング)
 富士通グループの技術を結集した、高信頼の法人向けホスティングサービス

・ 「ニフクラ ビジネスメール」(旧:ニフティクラウド ビジネスメール)
 Webメールやスマートフォンにも対応する、安心・安全なメールサーバー機能を提供するサービス

・ 「ニフクラ メールゲートウェイ」(旧:ニフティクラウド メールゲートウェイ)
 利用中のメール環境に迷惑メール対策やウィルス対策、企業の内部統制などのセキュリティ機能を付加するASP型サービス

・ 「ShaMo! by ニフクラ」(旧:ShaMo!)
 スマートフォンから「03」「06」など固定電話番号での発着信を可能にする法人向け電話アプリ

・ 「シンプルVPN by ニフクラ」(旧:シンプルVPN by NIFTY BIZ)
 お手持ちのルーターにサービスアダプターをつなぐだけで簡単・安全にVPNが構築できるサービス

・ 「WEB販促の窓口 by ニフクラ」(旧:WEB販促の窓口 by NIFTY BIZ)
 お客様の課題に合わせて全国の優良なWeb制作会社を無料で紹介する法人向けWeb販促相談窓口

・ 「SaaS by ニフクラ」(旧:NIFTY Business Market)
 中小企業の抱えるさまざまな課題の解決を支援するクラウド型サービス

また、「ニフクラ」という共通のブランド名を冠することで、各サービス同士の連携もアピールしていきたいと、木下氏は説明する。

「たとえば、『ニフクラ ベーシックホスティング』『ニフクラ ビジネスメール』『ニフクラ メールゲートウェイ』『ShaMo! by ニフクラ』を組み合わせれば、創業向けパッケージのようにお使いいただけます。『Webサイトやメールアドレス、電話番号など、名刺に記載されている内容はすべてニフクラにおまかせ!』といったイメージですね」(木下氏)

多彩な分野で活用される「ニフクラ」ブランドのソリューションサービス群

それではここから、富士通クラウドテクノロジーズのブースを見ていきたい。今回の展示ブース会では、「ニフクラ」ブランドで統一されたているサービス群を網羅した内容になっている。

法人向けホスティングサービス「ニフクラ ベーシックホスティング」、メールサービス「ニフクラ ビジネスメール」、セキュリティ対策「ニフクラ メールゲートウェイ」は1枚のパネルでまとめて紹介されており、こうした展示方法からも、木下氏が語った「創業向けパッケージ」としての提案のしやすさが見てとれる。一方でユーザーにとっては、ニフクラならではの充実した機能と高いサービス品質に加え、異なる事業者に申し込む手間がかからない点も魅力といえるだろう。

  • ニフクラブランドのサービスを組み合わせて使用することで、創業時に必要となるシステムの構築が可能だ ※クリックで拡大

同じくマイクロエンタープライズソリューションに分類される「ShaMo! by ニフクラ」の展示パネルには、「スタートアップ・起業時の電話導入に」という一文が記されており、1人あたり月額900円で契約できるコストパフォーマンスも魅力となっている。

「シンプルVPN by ニフクラ」の展示パネルでは、国内調剤薬局チェーンへ暗号化ネットワークを提供した事例が紹介されていた。セキュアなネットワーク経路を簡単かつ安価に利用できること、クラウドで構築したシステムと拠点間を安全に接続できること、さらには医療分野ならではのポイントとして、医療情報をパブリッククラウドなどの外部施設へ保存する際に遵守すべきガイドライン、いわゆる「3省4ガイドライン」の準拠対応にも最適であることといったメリットが挙げられていた。

デジタルIoTソリューション関連では、3万件以上もの利用実績があるスマートフォンアプリの開発プラットフォーム「ニフクラ mobile backend」を展示。プッシュ通知、会員管理・認証、データストア、ファイルストア、スクリプトなどアプリ開発に必要な各種機能を提供しており、「Basicプラン」はなんと無料で利用可能だ。月額3万円~の「Expertプラン」なら、スペック面の強化に加えて閾値アラート機能、APNs証明書アラート機能、テクニカルサポート、コラボレート機能、SLAまで付与される。さらにIoT活用事例として、ニフクラ mobile backendが持つ機能をフル活用できるオムロンの「環境センサー」も紹介されていた。

同じくデジタルIoTソリューションの「IoTデザインセンター by ニフクラ」は、IoT活用のプロフェッショナル集団が企業の課題を解決するもの。コンサルティング、インテグレーション、ソリューションという3つのカテゴリーにおいて、企画からプロト開発、評価、本格展開、データ活用までをワンストップで支援してくれる。

  • ニフクラは、デジタルIoTソリューションの領域で、アプリ開発プラットフォームとともに、IoTの企画、開発から本格展開、データ活用までワンストップで支援するサービスを提供している ※クリックで拡大

そして、IaaS/PaaSのクラウドサービスである「ニフクラ」は高スペックな要件に応える61のサーバータイプ、利用中のシステムを丸ごとバックアップ・復元できるクラウド型バックアップサービス(Acronis Backup Cloud for ニフクラ)、Webアプリケーションの脆弱性を無害化するSaaS型WAF「Scutum」、わずか150ミリ秒で配信拠点サーバーのキャッシュを更新できるCDNサービス「Fastly」、VMwareの仮想環境をそのままクラウドに移行してフル活用できる高い親和性についても紹介されていた。

「ニフクラ」を採用したパートナー企業による展示も盛況

さらにブース内では、「ニフクラ」を自社サービスの基盤として活用しているパートナー企業による展示も行われていたので、あわせて紹介したい。

エスキュービズム
エスキュービズムでは、9月11日よりECサイト構築パッケージ「Orange EC」と「ニフクラ」をワンパッケージ化して提供している。今回はこのOrange ECにおいてVR空間で販売が行える「VRコマース機能」のデモンストレーションを実施。10億画素の専用カメラで実店舗の体験をそのまま表現できるだけでなく、実店舗を持たない事業者でもCGにより商品の世界観を反映したVR空間を制作することも可能となっている。

  • 「VRコマース機能」は、実店舗利用の顧客にWebでの購入を促し客単価アップを目指す同社のオムニチャネル戦略のひとつ ※クリックで拡大

丸紅情報システムズ
丸紅情報システムズでは、エンジニアの運用業務効率を改善するSaaS型自動監視運用サービス「オートマネージドサービス」の基盤にニフクラを採用している。これまで人手を介していた業務に関して、各種ツールやタスクの範囲内はもちろん、それぞれを連携するやり取りまでをオートノミックにより自動化。統合的な自動監視運用が可能となる。

富士通マーケティング
富士通マーケティングは、中堅・中小企業向け統合基幹業務アプリケーション「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA きらら」のクラウド版において、そのサービス基盤にニフクラを採用している。中堅・中小企業がERPを導入する際には価格や導入期間などが大きな課題となるが、必要な業務・機能に絞り込むことで、低価格で段階的な導入を実現している。

丸紅無線通信
丸紅無線通信では、法人専業MVNOによるクラウド映像監視ソリューション「TRASCOPE」の基盤にニフクラを採用。用途に応じてクラウド分析とエッジ分析という2種類の映像分析手法を利用できるのが特徴で、展示ブースではリアルタイムな顔認識による映像監視のデモンストレーションも行われていた。

  • 丸紅無線通信が提供するクラウド映像監視ソリューション「TRASCOPE」のデモの様子。基盤にニフクラが採用されている

ドリーム・アーツ
ドリーム・アーツでは、流通・小売業における本部・店舗間のコミュニケーションに特化した多店舗経営専用コミュニケーションツール「Shopらん」の基盤としてニフクラを採用している。本部側で情報をコントロールすることで"情報の洪水"を抑制し、店舗側にかかる情報発信の負担を低減。オペレーションコストを下げながらも、スピードとクオリティの向上が図れる。

ユーザーと共にクラウドネイティブな社会を目指す

2010年にパブリッククラウドコンピューティングサービスを開始して以降、同社では常にユーザー目線で高品位かつ高性能なサービス提供を続けてきた。そして2017年4月1日の分社・社名変更および、統合ブランド「ニフクラ」の誕生によって、その取り組みをさらに加速しようとしている。「ニフクラ」のブランドコンセプトである「Navigate Innovative Future」には、ユーザーとともにクラウドネイティブな社会を実現していくという熱い想いが込められているのだ。

富士通クラウドテクノロジーズが、ユーザーやパートナー企業と共にどのような未来を築いていくのか、今後の取り組みにも期待したい。

[PR]提供:富士通クラウドテクノロジーズ