2017年度から新1年生502名を対象にiPadのひとり1台体制を実施した比叡山高等学校(滋賀県大津市)。教師用や学校共有のiPadを含めると計680台もの端末が現在稼働している。

そんな同校はiPadの導入にともない、教育ICT先進校への導入実績が高い「MobiConnect for Education」をMDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)に選択した。同製品の活用により、業者任せになりがちなタブレットの管理・運用に関して、自走できる環境を目指すという。iPad導入の経緯や、運用の方法について比叡山高等学校 副校長 植村雅志氏と同校でICT教育プロモーションチームリーダーを務める川端範之教諭に話を聞いた。

比叡山高等学校

はじめての大がかりなICT活用としてiPadの導入を決断

比叡山高等学校は、建学の祖・伝教大師の精神を教育理念に掲げる伝統校だ。創立140周年を迎え、"豊かな社会性と謙虚な奉仕の精神に燃える人材の育成"を重要視しながら、近年は高大接続改革に向けた新たな教育活動にも積極的に取り組んでいる。

そうした取り組みのひとつとして、同校は2017年度から新1年生502名を対象に、iPad Air(Wi-Fiモデル、32GB)のひとり1台体制を導入した。2020年度の大学入試改革で求められる新たな学力観を身につけるためには、教師が講義形式で教える一斉授業を見直し、生徒と教師のコミュニケーションが活発に行われる双方向型の授業へとシフトしていかなければならない。その手段として同校はICTが有効だと考え、タブレットの本格導入に踏み切ったという。

比叡山高等学校
ICT教育プロモーションチームリーダー
川端 範之氏

とはいえ、比叡山高等学校は以前から、学校全体の取り組みとしてICTの活用を積極的に進めてきたわけではなかった。ほかの大多数の学校でも見られるように、各教師がそれぞれの授業の中で必要に応じてICTを活用していた。川端教諭は「一人1台の導入に向けた準備をはじめるといっても、生徒たちがタブレットを持ったときにどのような授業になるのか想像がつきませんでした。そのため、既にひとり1台体制を導入している学校へ視察に行くことからはじめました」と導入前の状況を語る。

情報収集をすすめていくなかで、端末やアプリケーションの管理を行うMDMについても知り、その重要性を理解するようになったという川端教諭。2016年に開催されたある教育展示会に出展していたインヴェンティットのブースを訪れて、担当者からさまざまなアドバイスを受けたことをきっかけに、MobiConnect for Educationの導入に至っている。「当時、全国的にも有名な教育ICT先進校の多くはMobiConnect for Educationを採用していました。こうした導入実績に信頼を抱きました。また製品名に"for Education"と付いているように、教育機関に特化したMDMであることも導入の決め手になりました」(川端氏)。

導入準備やMDMの運用に関わる体制づくりを構築

ひとくちにタブレット導入といっても、その準備過程は各学校によって大きく異なる。比叡山高等学校では、まずは教師が使いこなせることが大切だとして、本格導入前年の2016年に教師80名に対してiPad Airをひとり1台配備した。また授業支援システムや情報共有を目的とした教育用プラットフォームの導入も行い、教師が授業や連絡事項を伝達する場面でICTを活用できるように整備したという。

比叡山高等学校
副校長
植村雅志氏

一方で、学校の体制も見直した。副校長の植村氏は「iPad導入を進めていくにあたり、教員7名で構成するICT推進プロモーションチームを結成して、チームとして準備を推進できるようにしました」と説明。同チームは、川端教諭が情報収集したノウハウやアイデアを実践するとともに、他の教員にiPadの活用を広げる役割も担う。導入の初期段階から教師が関わることで、680台の端末を円滑に稼働させる体制が整ったというのだ。

安心・安全な環境の構築のため、比叡山高等学校ではMobiConnect for Educationを活用している。Webアクセス制御などが行える「i-FILTERブラウザーオプション」も導入し、生徒が有害サイトへアクセスできないような制限も設けている。一方で、iPadを配布する前に、使用する際に必要となるモラルについて生徒に教えたり、使ううえで困ったときにはどうすればいいかをあらかじめ説明するなど、生徒の活用意識を高める教育も行っている。MDMでは生徒の使い方を監視するのではなく、あくまで生徒の自主性を信頼して活用を広げていくことを目指しているというのだ。

MobiConnect for Educationを使用した感想として川端教諭は「アフターサービスが大変充実しているのがいいですね。いろいろな相談もしやすく、不安材料や課題点もひとつひとつ解消しながら進めることができました」と語る。特に、導入直後の時期は現場ではさまざまな不具合が発生しがちだが、そうした際も「その後、大丈夫ですか?」と担当者から連絡が入ったり、「他校ではこうしています」といった具体的なヒントが共有されるなどした点が心強かったという。

「自分たちだけでiPadの導入ができたわけではありません。先進校の事例や人とのつながりがあって、最初は何のノウハウもなかった本校でもこうした環境を実現することができたと思っています。特にインヴェンティットさんにはお世話になりました」(川端氏)

少しずつ取り組みを広げ、いずれは独自の「比叡山高校カスタマイズ」へ

iPadの本格導入から約5ヶ月が過ぎた比叡山高等学校。現在、同校ではどのようにiPadを活用しているのだろうか。川端教諭は「授業支援システムと情報共有の教育用プラットフォームをよく活用しています」と説明。教科で使用するのはもちろん、授業支援システム上で映画鑑賞の感想文を書いて担任に提出したり、生徒や保護者との連絡事項の共有に教育用のプラットフォームを使うなど、まずは簡単に活用できるところからスモールスタートで取り組みを開始しているという。

また、iOS9.3で実装された教育機関向けの機能「クラスルームアプリケーション」を活用して、生徒のiPadをモニタリングできる環境も構築した 。多くの教師は自分の知らないことを生徒がiPadでできることに対して不安を持つが、比叡山高等学校の教師たちも同様であり、この点についてはクラスルームアプリケーションの使い方を研修することで、そうした不安も解消されたという。川端教諭は「iPad導入は決して華やかな側面ばかりではないと考えています。現場の実態に合わせて活用を進めながら、少しずつ取り組む範囲を広げていく。それをくり返すことで、いずれ独自の『比叡山高校カスタマイズ』として進化させていければと考えています」と展望する。

川端氏は教員に対して、アプリケーションの活用方法を動画にまとめて共有している

今後の取り組みとしては、「導入してほしいアプリのコンペを開くなど、生徒たちの自主的な使い方を促していきたい」と川端教諭は話す。現在はまだ導入1年目ということもあり試行錯誤が続いているが、長期的には生徒が目的に合わせてより自由で、自主的に使用できる環境を築いていきたいというのだ。こうしたiPad活用の推進を、信頼と実績をもつMobiConnect for Educationが今後も後押ししていく。

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