最先端技術に対する目利き力を活かしたサービスをクラウドの共通基盤上で提供

世界最高水準の"はかる"技術の提供をコアコンピタンスとし、日本の産業に貢献し続ける東陽テクニカ。同社は、日本が世界に技術立国としての技術力を示す一端を担うべく、多種多様な分野で海外の最先端の測定機器や技術を紹介するとともに、長年のノウハウの蓄積を活かした自社開発製品も提供している。

東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー プレジデント 櫻井 俊郎氏

そんな東陽テクニカは、さらに高度な技術を、より多くの顧客へと届けるための様々な取り組みを行っており、2016年11月には、従来の物販事業とは異なる、サービス事業に特化した「セキュリティ&ラボカンパニー(以下、SLC)」を社内カンパニーとして設立。SLCでは、最先端技術の目利き力を活かして選定したサイバーセキュリティサービスを最新のクラウド・OSSを使って提供している。SLCによるセキュリティ事業の狙いについて、東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー プレジデントの櫻井 俊郎氏は次のように語る。

「以前より物販事業でも、インフラ向けの測定機器などの延長線上で情報セキュリティ機器を取り扱っていました。しかし、今後日本で行われる各種世界的なイベントの開催に向けてサイバー攻撃の増加が予想されるなか、業種や規模を問わず様々な組織が広くセキュリティ対策に取り組む必要があります。そのため、スキル面でもコスト面でも誰もが利活用しやすく、そしてお客様により近いセキュリティサービスとして提供すべきだと考えたのです」

各種サービスにおいて顧客に満足してもらえる品質を実現するためには、共通のインフラが必要と判断したSLCは、最新のIT技術を利用して実現した独自の共通基盤として「TOYOクラウド」を構築している。TOYOクラウドは、フロントエンド部とバックエンド部の二部構成となっており、それぞれ最新のクラウド環境の上に構築している。なかでもフロントエンド部は、Salesforceのサービスクラウド上に作り上げており、サービス利用者の情報や利用状況ならびにスケジュールなどを管理する一般的な共通機能のほか、会話型のコミュニケーションといった顧客との直接のインタフェースを提供しているのである。

TOYOクラウドのフロントエンド部は、サービス利用者の情報や利用状況などの管理機能と、顧客とのコミュニケーション機能を提供する。

東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニーでVP CTOを務める高須 俊介氏はTOYOクラウドのコミュニケーション機能について、こう説明する。

「24時間365日サービスを提供するなかで、お客様がいつでもどこでも、PCからでもスマートフォンからでも質問することでき、それに対する回答もスムーズで、かつレスポンスが記録されてしっかりと管理できるような仕組みが必要でした。それを満たすのが現在のTOYOクラウドのコミュニケーション機能なのです」

プロセス品質の向上と自社エンジニアリソースのサービスへの集中を目指し、プラットフォームにSaaSを採用

SLCは、2016年11月の発足時よりTOYOクラウドの全体像を描いていくなかで、特に重視したのが、サービスの「成果品質」をもたらす過程の品質を問う「プロセス品質」だった。

「実物がなく成果の形が見えにくいサービス提供においてお客様満足度を高めるには、プロセス品質がとりわけ重要になると考えました」(櫻井氏)

プロセス品質の実現で強く求められるのは、迅速性と柔軟性、そして安心感の3点を確実に提供することだ。まず迅速性に関しては、常に変化する顧客のニーズに応えるサービスをできる限りはやく提供できることを目指した。柔軟性の面では、めまぐるしいIT技術の進化や変化にも柔軟に対応できるようにし、安心感については、クラウドをベースとしたセキュアなサービスを提供できる仕組みが必要だと考えたのである。

しかしながら、これら3つの要素を満たすシステムを自前で一から構築するには、開発や保守のために多くのエンジニアリソースが必要となる。SLCでは、自社のエンジニアは提供するサービスそのものに集中することを最優先とし、サービス提供のプラットフォームには、できる限り既存のサービスを利用する方針とした。

東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー VP CTO 高須 俊介氏

高須氏はこう振り返る。「ヘルプデスクや顧客管理、サービス利用料の管理など、一般的なサービスにあるどのような機能も一定以上のレベルで実現することを目指し、様々な条件を検討した結果、フロントエンド部はSaaSとして定評のあるSalesforceを利用して構築することとなったのです」

Salesforceの導入に際してパートナーとして選定したのが、クラウド専業ベンダーとして多くの企業のクラウド化支援を手がけているテラスカイだった。

「もともとセールスフォース社から紹介されたのですが、テラスカイのこれまでの実績や評判を見て間違いないと判断しました。また、将来的にはセキュリティやIoTにAIを組み合わせたサービスも検討しているので、AI技術に明るい点も高く評価しました」(高須氏)

こうして2017年2月頃よりシステムの構築に取り掛かったSLC。社内にはSalesforceのシステム構築経験のあるエンジニアがいなかったため、テラスカイから研修などを受けたあとは、どのようなことがしたいかという「思い」を同社にぶつけていったという。

東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー エキスパート 我妻 敏氏

東陽テクニカ セキュリティ&ラボカンパニー エキスパートの我妻 敏氏は、テラスカイの対応についてこう語る。

「こんなことがしたいとテラスカイのエンジニアに伝えると、それにはこのようなパーツがあって、どう組み合わせるとよいといったレスポンスが的確に返ってきました。そうしたやりとりを行ううちに、さらに活用のビジョンが広がっていき、それらも実現しながら形ができあがっていきました。我々がSalesforce自体に精通せずとも、システムをつくれるようにしてくれたことに感謝しています」

こうして2017年5月に、TOYOクラウドの最初のかたちが完成。このうちSalesforce上に築かれたフロントエンドの環境では、顧客向けのヘルプデスクと問い合わせの管理、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムに可視化して提供するポータルなどを、PCやスマートフォンを介してセキュアに利用することができるようになっている。

また、SLCのエンジニアもこのフロントエンドの環境を利用することで、世界中のパートナー企業との円滑な連携を実現。顧客やプロジェクトの管理も行うことができるようになった。そのため同社のエンジニアは、自らのサービス提供に集中することが可能となったという。櫻井氏は「フロントエンド部を共通基盤とすることで、様々なサービスを短時間で開発し、素早くスタートすることが可能となりました」と強調する。

顧客とパートナーとの3社間のスムーズなやりとりを実現

TOYOクラウドを用いて最初に提供を開始したサービスメニューのひとつが脆弱性診断サービスである。このサービスでは、東陽テクニカのサイバーリスク分析(CRA)チームが、パートナー企業であるイスラエルのCyberHat社やアメリカのSpirent社といったセキュリティエキスパートと協働し、顧客のWebサイトやネットワークへの外部からの侵入攻撃を試みて、攻撃に対する耐性を特定の期間にわたって調査する。

従来、調査の進捗は、東陽テクニカの営業担当から顧客へメールや電話などで逐次共有していたが、TOYOクラウドのダッシュボードが整備されたことで、顧客はリアルタイムに状況を確認することができるようになったという。また、何らかの理由で調査のために行う攻撃の停止や中止が必要な場合は、いつでもダッシュボード上から指示することができるようになっている。カレンダー上には提供されるサービスのスケジュールが提示され、日付をクリックすると状況が示される。調査が終了すると、ダッシュボードを介して調査結果のレポートが完成した旨の通知を受けたり、必要に応じてレポートを入手したりすることも可能だ。

「脆弱性診断には1、2ヶ月を要します。そのため期間のなかで、スケジュールがどの程度進んでいるのかをお客様が知りたいときに、いつでも質問ができレスポンスが返ってくるというインタラクティブ性が必要になるのです。TOYOクラウドの構築により、リアルタイムでコミュニケーションすることで、お客様に安心感を与えられるようになりました」(我妻氏)

「セキュリティサービスを開発している海外のパートナー企業と我々、そしてお客様の3社間のコミュニケーションにTOYOクラウドを活用しています。スピード感を持ってサービスを提供したいという我々の思いにパートナーも理解を示してくれ、また協力してくれていることもあり、円滑なやりとりが実現できています。これは、東陽テクニカ自体が商社でありまたエンジニアとして、海外の開発元とのコミュニケーションを常に重視してきた賜物だと自負しております」(高須氏)

SLCは今後、セキュリティオペレーションセンター(SOC)をサポートするサービスの拡大や計測技術の強みを活かしたIoTのセキュリティサービスの提供なども予定。TOYOクラウドを共通基盤として、AIの活用も視野に入れつつサービスビジネスを拡充していく構えだという。

「Salesforceには、あらゆるサービスの提供に必用な要件をすべてカバーできる総合力があります。さらにSalesforceの強みは、営業活動を支援するSales Cloudにもあるので、マーケティングやSFAなども含めて自社内での利用も拡大していきたいと考えています」

最後に櫻井氏は、将来の展望について次のように語った。

「今後の最重要技術のひとつがAIです。コンテンツのAI化に限らず、FAQやヘルプデスク、そしてIoTなど、様々な点でのAI活用が考えられますが、それを進めるにはエンジニアリソースが必要になるでしょう。そうした際も、豊富な実績やノウハウをもつテラスカイの協力に期待しています。お互いにキャッチボールをしながら、これからも事業のパートナーとしてともに歩んでいきたいですね」

[PR]提供:テラスカイ