人口減少や急速なIT化などにより、子どもをとりまく国内の教育環境は新たなステージに進みつつある。そうした中で、子どもたちが自らの可能性を発揮していくためには、主体的・協働的に学び、新たな問題の発見・解決に取り組んでいくことが必要になる。そこで、文部科学省は2016年7月に「教育の情報化加速化プラン」を策定。「次世代の学校・地域」を創生し、ICTを効果的に活用した、新たな「学び」やそれを実現していくための「学びの場」を形成・支援するのが目的だ。

本稿では、「教育の情報化加速化プラン」に先駆けて、2014年から学校教育のICT化を推進してきたClassiが2017年8月に開催した「Classi FAN-MEETING」を紹介したい。同社が開発した学習支援クラウドサービス「Classi」などのICTの最新動向や、10年後に必要とされる教育ICTを考えるワークショップの模様をレポートする。教育業界関係者だけでなく、子どもたちの最新の学びについて知見を深めたい読者にもぜひ参考にしてほしい。

「Classi」が先生、生徒、保護者と教育サービスをつなぐハブになる

「Classi」とは授業や生徒指導、生徒の学習において、先生や生徒、保護者をつなげる学習支援クラウドサービスだ。先生の授業や指導に役立つだけではなく、校務作業の負荷も軽減し、先生が生徒と向き合える時間をつくることをサポートしてきた。その結果、リリースして3年目ではあるが、2017年8月時点で、全国の高校における(中高一貫校を含む)総導入学校数が2000校以上となり、有料利用者数が77万人を突破し、学習支援クラウドサービスとしては、日本最大規模(※)となっている。 ※Classi発表のニュースリリースより

2017年8月東京・新宿で行われた「Classi FAN-MEETING」には、「Classi」を活用している学校関係者100名余りが参加した。

イベント冒頭では、Classi代表取締役副社長 加藤 理啓氏(以下、加藤氏)より「Classi」の中期ビジョンについての説明が行われた。加藤氏は、子どもたちを取り巻く今後の環境について、3つのパラダイムの変化で解説した。

イベント開会の挨拶をする加藤氏

1つめは、人口減少社会と100年寿命時代による「人の変化」。そして2つめは「ITの変化」。人工知能が圧倒的な知性をもって人類を凌駕し、技術革新のスピードが爆発的に加速する「シンギュラリティ(技術的特異点)」が2045年に起こると、人工知能の世界的権威であるレイ・カーツワイル氏は著書で述べている。

最後が「学校教育の変化」である。これまでの大学入試センター試験を廃止し、あと3年弱で、多面的総合評価などを導入した新たな大学入試制度がスタートする。 ※2017年7月に文部科学省より公表された「大学入学共通テスト実施方針」より

加藤氏は、「2007年にiPhone が登場し、今やスマートフォンはPC以上に普及しています。これは、10年前には考えられなかったこと。これからの10年は、今存在しないものが圧倒的な価値をもって、生まれる可能性があります」と語る。

その、今後10年の流れを受けて、UIデザインやパフォーマンスの更なる改善のため、現在行っている「Classi」サービスの改修内容を報告後に、新機能「Classiプラットフォーム」の世界観についての解説があった。先生、生徒、保護者という利用者と、さまざまな教育サービスを提供するコンテンツパートナーを、「Classi」がハブとなってつないでいく「Classiプラットフォーム」を2018年4月にスタートするという。

「私たちは、日々先生方のご支援に応えるために、パートナーのみなさん(仲間)と、そして先生方のご協力をいただきながら、学校の現場の課題解決にあたっていきたいと考えています。一人ひとり個性があって、夢があって、悩みや不安を抱えている子どもたち(生徒)にしっかり向きあっていきたい。「Classi」はそのためのサービスです」と力強い言葉で締めくくり、同社 CTOの佐々木 達也氏(以下、佐々木氏)にバトンタッチした。

1つのIDで、さまざまな教育サービスを利用できる「Classiプラットフォーム」

新機能の紹介をする佐々木氏

佐々木氏からは、新機能「Classiプラットフォーム」の概要について解説がされた。一番の特徴は、新たなIDやパスワードを作成することなく、「Classi」と連携している教育サービスへアクセスして、そのサービスを利用できるという点にあるという。

「一般的には、他のサービスを利用するときは、サービスごとに生徒の情報を登録したり、その生徒が所属するクラスや学年のグループ情報を登録したりするなど、さまざまな事前登録が必要となりますが、『Classiプラットフォーム』はそれが一切不要です。また、生徒にログインさせるためにID、パスワードを配布して、生徒にログインさせるという手間や、パスワード忘れも発生しません。とても簡単にお使いいただけるサービスです」と佐々木氏は話す。

こうした利便性の高いサービスを実現できたのは、他のサービスと連携できる「OPEN ID Connect」とよばれるID連携の世界的な標準仕様の仕組みを導入しているからだ。 「OPEN ID Connectは、セキュリティ面も非常に考慮されていて、GoogleやYahooなどでも、この仕組みを取り入れ、ID連携を行っています」(佐々木氏)

2018年4月には、まず5社の先行パートナーと連携する。英語4技能では「EnglishCentral」(EnglishCentral)、「CNN English EXPRESS」(朝日出版社)、アクティブ・ラーニング、授業支援では「Classi NOTE」(コードタクト)。プログラミングでは「Monaca」(アシアル)。そして部活動支援では「SPLYZA Teams」(SPLYZA)。ジャンルも多岐に分かれており、これらサービスをひとつのIDで自由に利用できるのだ。

今後は、順次コンテンツパートナーを増やしていきながら、先生が選びやすくなるようにレビューやランキングの仕組みを検討していく。そして、先生の学習指導に活かせる環境を整えたり、パートナーと先生や生徒が円滑にコミュニケーションを図れたりすることで、より生徒や先生が利用しやすいサービス環境を充実させていくという。

新サービスへの理解がさらに深まる! 教育サービスとのパネルディスカッション!

続いて行われたのが、「Classiプラットフォーム」で連携する先行パートナー5社と、加藤氏によるパネルディスカッションである。各パートナーの代表が、それぞれのサービスの内容や特徴を紹介した。

パネルディスカッションの様子

「Classi NOTE」

コードタクトの後藤氏

「先生が生徒全員の思考をリアルタイムに把握できるだけでなく、生徒同士で考えをシェアしたりして、他の生徒の解答にコメントができたりと、協働学習や学び合いを実現できるツールです。また生徒の学習ログの解析結果を可視化できるので授業の改善にも活用できます」

「EnglishCentral」

EnglishCentralの松村氏

「英語が苦手な人もチャレンジできるように、生徒さんの興味・関心がわくコンテンツ1万4000本の動画を用意。また、音声認識など、ゲーミフィケーションを採用したフィードバックを生徒さんに与えることで英語学習をサポートします。現在、世界中で300万人が視聴しています」

「CNN English EXPRESS」

朝日出版社の津金氏

「全世界20億人が視聴するアメリカのニュース専門チャンネルCNNのニュースを、現場の先生に厳選いただいて教材化しています。授業では、ニュースという特徴を活かし、社会の課題をどう解決するかという視点で議論が行えるように、コンテンツづくりをしています」

「SPLYZA Teams」

SPLYZAの土井氏

「スポーツチームの動画活用に特化したアプリです。これまで映像の編集や共有・分析は別々のツールで行わなければいけなかったのが、これだとオールインワンで作業できるので、先生の作業負担を減らすことができます。また、生徒にも編集権限を与えることで、チーム全員で分析や振り返りに取り組めますので、より主体的な学びにつながります」

「Monaca」

アシアルの岡本氏

「生徒にとって関心の高い『スマートフォンアプリ』がつくれるプログラミング学習サービスで、600以上の教育機関で使われています。クラウドサービスなので面倒なセットアップが不要。また『Monaca』は、プロの現場で使われており、世の中で求められている最新技術がキャッチアップしながら学べます」

先生は、手元にある、各パートナーのサービス内容をまとめたパンフレットを見ながら、真剣な表情で聞き入っていた。また司会を務めた加藤氏が先生に代わって気になる点などを質問するなど、各サービスの特徴をつかみやすいパネルディスカッションとなった。

「Classi」は先生や生徒、パートナーらと共に創っていくサービス

イベント後半は、10分間の休憩をはさみ、チームに分かれてのワークショップが行われた。ユーザーである先生(チームによっては生徒も参加)が2~3名、そして提携パートナー、Classi社スタッフが1つのチームになって、学校の未来や新しい学びについて、知恵を出し、語り合い、共創していく。

まずはチームのメンバー同士で自己紹介を行い、その後、本題である「10年後の学校に必要なICTツール」についての議論が始まった。これからの環境や技術の変化を踏まえて、まずは「10年後の先生の指導」、「10年後の生徒さんの学び」それぞれの変化について各自でワークを行い、それをもとにチームで意見を出していった。

ワークショップに入ると、がぜん熱を帯びてきて、他の参加者の意見に身を乗り出して聞き入る参加者の姿があちらこちらで見受けられた。またチーム内には同社の理念や活動に共感し、積極的に活用を進める「アンバサダーの先生」がいて、「Classi」を使ったさまざま事例を他の先生にも共有し、チームを盛り上げていた。

その後、4つのチームが代表して、自分たちの意見を発表。「10年後の学校に必要なICTツールについて」は、今後世の中に現れていないものが、子どもたちの学習や先生の指導に欠かせないものになる可能性もあり、「空間と時間を超えるもの」「机がタブレットになる」など夢のあるアイデアが発表された。このうち2つのチームからは、参加者の高校生が登壇して発表し場内を湧かせた。

高校生の1人は「10年後も、積極的に自分の考えを言える生徒と、言えない生徒で二極化するので、お互いの考えを共有できるツールがさらに充実するのでは」という、生徒目線からの意見を出してくれた。このワークショップで出てきたアイデアを、同社は次期サービスとして検討していくという。

最後に、同社の取締役 井上 寿士氏が登壇。

「Classiを支持して頂き、本当に有難うございます」と語る井上氏

「今後も、先生方と生徒さん、保護者さん、そしてパートナーのみなさんを私たちがハブとなって繋いでいき、10年先、20年先も、私たちのサービスが子どもたちの学びに貢献できるように取り組んでいきます。引き続き、あたたかくも厳しいお声をいただければと思っております」という言葉で締めくくった。

会議終了後も、さらなる交流をはかる参加者のグループが会場内でいくつもあり、「Classi FAN-MEETING」は大盛況のうちに幕を閉じた。なお、参加者からは満足度の高いコメントが多数寄せられたので、コメントの一部を紹介する。

・他校の先生方がどのようにClassiを活用しているのか、どのような可能性があるのかも知ることができてよかったです
・Classiを活用されている先生方とワークショップを通じて校内の悩みや他校の課題や将来のことなど共有できた
・様々な先生方のアイデアを頂き、モチベーションアップにつながった
・10~30年後も先の未来のことを考える思考力を養えました。こういう思考力も将来にはとても大事だと思ったので非常に貴重な経験となりました(参加した生徒)

多くの利用者やパートナーの声を受け止め、反映し、新機能を創り出している「Classi」はサービスを通して、先生と生徒の向き合う時間をより多く作ることを目指している。ICTを導入するだけでなく、それを利用して子どもの学びをいかに深めるか、同社の今後の取り組みに注目したい。

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