財務や金融のスペシャリストを目指す人はもちろん、将来は経営幹部(CEO、CFOなど)として活躍したいと考えている人にファイナンスの専門知識は欠かせません。早稲田大学ビジネススクールでは多様なMBAプログラムを展開していますが、中でも「夜間主プロフェッショナル・ファイナンス専修」は、MBAプログラムの基盤となる必修コア科目に加え、50以上のファイナンス科目(マネジメント科目を含めると140科目以上)から興味・関心に合わせてファイナンスの理論・技法を中心に学べるプログラムです。

日本生命保険相互会社の白倉貴史さんは現在このプログラムに通い、資産運用や投資をはじめとした幅広い分野を学んでいます。現在までの手応えや気づき、今後のキャリアプランなどを伺いました。

日本生命保険相互会社の白倉貴史さん

「部分最適ではなく全体最適」でファイナンスを学べる

――白倉さんのこれまでのキャリアについて教えてください。

2008年に日本生命へ新卒で入社しました。もともと「資産運用に携わりたい」という思いがありました。就職活動で出会った日本生命の先輩社員が、まさに自分の目指す将来像だと感じました。

大学時代に簿記1級を取得していたので、入社後の6年間はそれを生かす形で大阪の会計税務グループに所属し、日本生命の財務諸表作成などを担当していました。その後は融資部門に異動し、お客さまからお預かりした資産を有効に運用するための実務に携わりました。

――学生時代から財務・会計を学び、専門業務も経験してきたと思うのですが、さらにビジネススクールでファイナンスを学びたいと考えたのはなぜですか?

日本生命がお預かりしている資産は数十兆円という規模に上ります。それを運用していくという責任重大な仕事をするにあたって、バックグラウンドとしての知識を今以上に高めていきたいと思うようになりました。

もちろん社内の研修も充実していますが、所属部署によって最適な研修内容が異なるため、どうしても学べる領域が限られてしまいます。ビジネススクールであればより広範な領域を体系的に学べる。部分最適だけじゃなく、全体最適で学べるのはビジネススクールの大きなメリットだと思いました。

――数ある選択肢の中で、早稲田大学ビジネススクールを選んだ決め手は?

教授陣の質の高さや、理論と実践で深く学べる点に惹かれました。一つのことだけでなく、債券運用や株式運用、クレジットリスクなどの各領域で、アカデミックな分野で活躍する教員と実務家の教員が授業を展開しています。アカデミックと実務、双方の観点で学んでいけるのは早稲田の強みだと思います。

また、仕事をしながら夜に通えるところは限られているので、そうした意味でも自分には合っていました。夜間だけで140以上もの選択科目があり、ファイナンス系科目だけでも50以上あります。こうした選択肢の中から自分のレベル感や興味・関心に合わせて選べることが魅力的でした。

あとは単純に、「通っている学生が多い」ことでしょうか。ファイナンス専修では約30人、もう一つのマネジメント専修を合わせると夜間に学ぶ学生は約180人という規模です。金融業界だけでなく、事業会社や商社など幅広い業種から人が集まっているので、面白い出会いがあるのではないかと期待していました。

効果的な学びには、強みを生かして助け合うチームワークが不可欠

――白倉さんはどのような分野を学んでいるのですか?

一般的なマネジメント系の科目に加えて、資産運用の基礎・応用、投資をするために必要な知識などを学んでいます。厳しい意思決定が求められる投資の世界ではリーダーシップが重要だと考え、リーダーシップ論も受講しています。

――すでに金融業界で10年近いキャリアがありますが、それでも学びは新鮮ですか?

そうですね。ファイナンス分野は本当に幅広く、自分が得意としていない領域がたくさんありますから。「仕事のOJTだけではとても学べないな」と感じるものもあります。

例えば「会社のリスクをモデル化して実務に当てはめる」という授業がありました。与信管理の考え方を深く学んで実務につなげていくことができる授業です。実際の与信管理の現場ではできあがったスコアリングモデルに数字を当てはめていきますが、この授業を通じてスコアリングモデルそのものを自分自身で作れるようになりました。

――学びのレベルが高度であればあるほど、苦労する部分もあるのではないでしょうか?

私の場合はもともと数学が得意なほうではなかったのですが(笑)、自分が学びたい分野では高いレベルの数学知識が必要でした。これはファイナンス専修ならではの苦労だと思います。

自分で勉強しながら、同じ授業を受けている仲間に相談し教わりながら進めていくこともあります。授業がないときには自由に教室を使えるので、空き時間に話し合ったり、教え合ったりしていました。限られた時間のなかで、すべてを1人でやろうとしても無理ですので、効果的に学ぶためにも、学ぶ仲間とのチームワークは不可欠です。

私は財務諸表を作る仕事を経験し、財務や税務の実務的な知識を持っているので、課題に取り組む際には相談を受けることが多いです。そうやって互いの強みを生かして助け合えるのも、幅広い業種から人が集まる早稲田の環境ならではと感じています。

――ちなみに「夜間主プロフェッショナル」は働きながら学ぶことを前提にしていますが、白倉さんはどのようなスケジュールで通っているのでしょう?

会社にサポートしてもらっていますが、それでも昼間は仕事しながらなので大変な部分はあります。平日は18時15分まで仕事をして、それから18時50分までに学校へ移動。22時まで学んで、帰宅後に課題に取り組みます。

土曜日に授業を集中させることもできるのですが、私の場合は小さな子どもがいるので、子育てとも両立できるように平日に比重を置きました。私の周りには子育て世代の仲間もたくさん通っています。

授業で議論した「架空の合併シナリオ」が現実世界で実現したことも

――早稲田大学ビジネススクールに通う中で、「仕事に生かせているな」と感じていることはありますか?

私は現在、人材開発部という部署に所属してグローバル人材育成・採用・研修などを担当しています。早稲田大学ビジネススクールでの学びを生かして、財務研修を企画し実施しました。

日本生命ではグローバル人材育成を進めているのですが、その育成プランを考える際には早稲田大学ビジネススクールでの出会いが大変参考になりました。事業会社や商社で働いている仲間は、その人自身がグローバル人材であることも多いです。海外展開を加速させている事業会社や商社の人材育成や働き方などを聞き、参考になることがたくさんありました。

――白倉さんは、ビジネスパーソンにとって財務・会計などのファイナンスの知識を得ることはどのような意味があると考えていますか?

ファイナンスの分野は、詳しい人材がとても少ない領域だと思います。非常に専門性が高いので、意識を持って学びに行かなければなかなか身につきません。もし将来的に経営人材を目指すなら、自身の経営成果が表される財務の知識を持っておくことはとても重要なことだと思います。金融業界の人はもちろんですが、私は事業会社の人こそファイナンスを学ぶべきではないかと感じています。

早稲田大学ビジネススクールならファイナンスだけじゃなく、マネジメント領域も同時並行で学べます。金融業界の人なら自分の専門性を高めたり裏付けを持たせたりするカリキュラムにできますし、事業会社の人なら、将来的に数字をもとに意思決定ができる経営人材を目指すカリキュラムを組むこともできます。

――白倉さんご自身は、今後どのようなキャリアプランを描いていきたいと考えていますか?

卒業後は資産運用部門に戻って、本社の運用を高いレベルで担当したいと考えています。国内株式・債券、融資、海外株式・債券など幅広い領域の部署があるため、どんな分野を担当するかは分かりませんが、特定の分野だけでなく体系立てて学んできたことが「実務でのキャッチアップの早さ」につながると思っています。ベースとなる理論や知識がないと、現場でのキャッチアップやスピーディーなアウトプットは難しいです。

これから卒業までの数カ月は、「論文執筆」という大きなハードルが待っています。テーマは「M&A」。海外展開の際にどのようなM&Aが有効かを研究して、人材育成にも生かしていきたいと考えています。

――ありがとうございます。最後に、早稲田大学ビジネススクールに興味を持ち、これから学びたいと考えている人へメッセージをお願いします。

2年間、働きながら通うのは勇気がいることだと思います。でも実際に行ってみれば楽しいし、学びは深いし、一生ものの仲間ができる。私自身も変わりました。好奇心が強くなって、気になることにはすぐに首を突っ込むようになって(笑)。さまざまな世界で活躍する仲間ができたことで、自分の行動範囲も広くなったのでしょう。

海外の大型M&A案件のニュースなどを見ても、これまでとはまったく違うとらえ方ができるようになりました。「A社とB社が合併したら面白いよね」と授業で議論していたことが、現実の世界で実現したこともあります。ビジネス全般はもちろんのこと、世界を見る目も磨かれていく。そんな濃密な2年間を過ごせると思います。

取材協力

白倉 貴史さん
日本生命保険相互会社 人材開発部 課長補佐。2008年新卒入社。
大学時代に取得した簿記1級の知識を生かして会計税務部門にて同社の財務諸表作成などを担当した後、融資部門での資産運用業務に携わる。2016年4月、早稲田大学ビジネススクール 夜間主プロフェッショナル・ファイナンス専修入学。

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