ITインフラは、クラウドファーストの時代と言われている。確かにITインフラのクラウドサービスには、環境構築における自由度の高さやリソースを容易に増減できるといったメリットがある。とはいえシステムの用途や規模により、あえてクラウドを選択する必要のないケースも多い。そこで注目されるのが、クラウドのように使えてより安価なVPS(仮想専用サーバー)サービスである。 カゴヤ・ジャパンは2017年6月6日、使い勝手の良さで評価されてきた「KAGOYA CLOUD/VPS」をバージョンアップし、新サービス「KAGOYA CLOUD/2」として提供を開始した。

カゴヤ・ジャパンの新サービス「KAGOYA CLOUD/2」

よりクラウドライクなVPS

カゴヤ・ジャパンは2011年から、OpenVZを仮想化基盤とする「KAGOYA CLOUD/VPS」を提供してきた。OpenVZの特長は、その動きの軽快さとコストパフォーマンスの高さにある。例えばスペックのアップ・ダウンは無停止で実行が可能。またサーバーの起動・停止・再稼働もスピーディに行える点などが、ユーザーから高く評価されている。

世の中の流れとしては、クラウドサービスへの移行が言われているが、大手ベンダーによって提供されるクラウドサービスは、IaaS(Infrastructure as a Service)がメイン。そのため機能は確かに充実しているものの、それを使いこなすにはそれなりのノウハウが要求される。クラウドのメリットとして訴求される従量制料金についても、同スペックのVPSとトータルコストで比較すれば、VPSの方が明らかに割安だ。

ただ、カゴヤ・ジャパンの提供するOpenVZ基盤のVPSはローカル接続に対応しておらず、複数サーバーを作成しても、それぞれ独立した単体サーバーとしての運用となる。そのため、短時間にアクセス集中が予想されるような大規模サイト構築においては、セキュリティ確保のためにデータベースサーバーなどはローカル接続するというのが一般的だが、対応が難しかった。

そこで「KAGOYA CLOUD/2」において新しく追加された仮想化基盤がKVMである。KVMの特長はいくつもあるが、まず注目したいのが、複数サーバーを使うローカルネットワーク構成が可能になったこと。つまり、クラウドと比べて従来のVPSサービスの弱みとなっていた点をKVMは解消する。

複数のサーバーでローカルネットワークが構成できるKVMと無停止でスペック増減が可能なOpenVZ2つの基盤を利用可能

しかも「KAGOYA CLOUD/2」は、1つの契約でOpenVZとKVMの2つの基盤を使えるため、ユーザーの利便性は高い。

ハイスペックなKVMとコスト重視のOpenVZ

「KVMは基本的に、OpenVZで対応できなかったニーズに応えるために導入されました。複数サーバーを活用してフレキシビリティの高いネットワーク構築ができること、すべてSSDを搭載したストレージにより快適に高速処理を行えることなど、OpenVZと比べてハイスペックかつハイパフォーマンスな仕様となっています」と、カゴヤ・ジャパン開発グループシステム開発チームリーダーの今井徹氏はKVMの特長を説明する。

カゴヤ・ジャパン 開発グループシステム開発チームリーダー 今井 徹氏

KVMは完全仮想化基盤であるため、実質上の使い勝手は物理サーバーと変わらない。それでいて初期費用はゼロで利用料金は日額24円からとなり、イニシャルとランニングを合わせたトータルコストメリットは、物理サーバーの比ではない。

KVMの特長

一方で、既に評価の確立されているOpenVZは、処理性能が高い割にCPU負荷が少なく、動きの機敏な仮想専用サーバーだ。サーバーの起動・停止・再起動は数秒で可能、コントロールパネルから行えるスケールアップ/ダウンについては、サーバーの構成やIPアドレスを変更することなく無停止で即座に実行できる。ストレージはHDDだけでなく、必要に応じてSSDも使える。KVMとOpenVZを、同スペックでコスト比較した場合、OpenVZの方が割安となる。

OpenVZの特長

用途に応じて1つの契約で使い分けるメリット

KVMとOpenVZを用途で使い分けるなら、次のようになるだろう。KVMは、ローカルネットワークの複数台構成による大規模なWebサイト運用やデータの高速処理が求められる場合、あるいはカーネル操作を伴う研究開発や技術検証にふさわしい。これに対して、OpenVZはコストパフォーマンスが優先課題となる一般的なWebサイト運用や大容量HDDによるファイルサーバーやバックアップ用途に向いている。また、OSの初期化や再起動を繰り返す検証用途などにも適している。

KVMとOpenVZの比較表

1つの契約で2つの基盤を使えるメリットを活かして、開発・テストは動作の軽快なOpenVZで行い、本稼働に切り替える段階でKVMに移行するといった使い方もある。KVM、OpenVZで共通して使えるOSテンプレートとして、CentOS、Ubuntu、Debianが用意されている。KVMではほかにもFedora、FreeBSDが使える。また、OpenVZにはNginxがセットされたWordPressパックなども提供されている。 WordPressパックにNginxを採用した理由を今井氏は「Webサーバーといえば、これまでApacheが標準でした。ただ、Apacheは設計されたのが1995年と20年以上も前になるため、設計思想がいささか古く、設計当初とは大きく様変わりした現代のインターネット環境にフィットしない面も出てきています。これに対して新たに開発されたNginxは、Apacheと比べて大量のリクエストを同時に、しかも軽快にさばける点が特長です」と説明する。

用途に応じて最適なVPS基盤を使い分けられる「KAGOYA CLOUD/2」には、カゴヤ・ジャパンならではの、UIを追求した独自のコントロールパネルによる簡単操作、潤沢な帯域を確保したバックボーンが支える高速回線、専任スタッフがていねいに対応する365日無料サポートが含まれていることは言うまでもない。

操作性の高いコントロールパネル

「サービスはさらに拡充する予定で、今年秋にはWindows対応が確定しています。今後はIoTの普及により、ネット上で扱われるデータ量が爆発的に増えるでしょう。そうした状況に対応するための基盤としても活用いただけるのが『KAGOYA CLOUD/2』です」と今井氏は語る。 自社の情報システム基盤として何が最適なのか。様々なサービスを選択できる今だからこそ、IoTによるビッグデータ時代の到来に備えて、用途や規模、コストバランスをいま一度見直すべきタイミングではないだろうか。


[PR]提供:カゴヤ・ジャパン

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