2017年5月25日、東京コンベンションホールにてブラザー販売のプライベートイベント「Brother World JAPAN 2017」が開催された。現在ブラザーグループでは、中期戦略「CS B 2018」(2016年~2018年)のもと、"Transform for the Future ~変革への挑戦~" をテーマとした構造改革にチャレンジしている。同社代表取締役社長の三島勉氏による基調講演では、中堅・中小企業向けの「SMB※1戦略」と業種特化型の「バーティカル戦略」を軸とした同社の方針が説明されたほか、展示会場では様々な製品・ソリューションが紹介されていた。

※1 Small and Medium Businessの略称。中堅・中小企業

5月25日に行われたブラザー販売のプライベートイベント「Brother World JAPAN 2017」。「FOR SMALL & MEDIUM OFFICE」というSMB市場へのメッセージが掲げられた

SMB市場のプリンティングニーズに合わせた新製品を投入

三島社長が基調講演で触れたのは、まずプリンティング市場の環境について。プリンティング市場は、2012年をピークとして縮小傾向。しかし、ビジネス向け製品は堅調な動きを見せており、縮小の理由は家庭向けにあるという。これは、スマートフォンの普及によって家庭での印刷機会が大きく減ったためだ。

ブラザー販売の代表取締役社長、三島勉氏(左)は基調講演で同社の業績推移を解説、プリンティング市場の動向に関する分析を行った

こういった市場動向を踏まえ、ブラザー販売が今後の方針として掲げるのが「SMB戦略」と「バーティカル戦略」の2つ。SMB(5~10名程度)向け製品を強化する理由は、市場ニーズだけではない。もともと同社は、SOHO※2(1名~5名程度)向けビジネス複合機/プリンターにおいて高い評価を得ており、その支持は根強い。既存製品ラインナップの見直しと拡張を行い、中小企業などのSMB向け製品の強化を目指すという。

※2 Small Office,Home Officeの略称

ブラザー販売の戦略として揚げられた「SMB戦略」と「バーティカル戦略」。SOHO向けから、さらに一段上のSMBに向けた製品開発と販売の強化を目指す

実際、2016年6月にはA4モノクロレーザープリンター・複合機、そして2017年2月にはA3ビジネスインクジェットプリンター・複合機をフルモデルチェンジ。さらに同年5月にはカラーレーザープリンター・複合機のフラグシップモデルも発売した。いずれも、印字品質の向上や給紙可能枚数の増加といったSMB市場向けのプリンティングニーズに合わせた変更が行われており、SMB戦略を形として示す製品となっている。

「医療」「店舗」「製造・物流」の3つを柱にしたバーティカル戦略

SMB市場への注力をより具体的に示しているのが、業種特化型の「バーティカル戦略」。一定の業種に特化して、ブラザー販売が取り扱う全製品をクロスセル※3で提案、課題解決を手助けする。この戦略は2016年に開始されたもので、これまでの「医療」「店舗」に加え、「製造・物流」にも進出する。これらの業種はもともと同社の競争力が強く、特にA4モノクロレーザープリンター・複合機との親和性が高い。これらの業種に対し、プリンターや複合機と共に総合的なソリューションを展開していく。

※3 複数の製品を組み合わせて提案販売すること

バーティカル戦略として、「医療」「店舗」「製造・物流」の3業種に力を注ぐブラザー販売。イベント会場でも多くのスペースを割き、この3業種向けの展示が行われていた