政府がキャッシュレス化を推進する中、クレジットカードへの期待が大変高まっています。そして、利用者が安全・安心にクレジットカードを利用できる環境の整備が利便性の向上へとつながると考えられております。そこで今回は、日本クレジット協会の副会長であるユーシーカード株式会社 代表取締役社長の北嶋信顕氏にクレジットカード業界と個社としての取り組みについて、お話を伺いました。

クレジットカード業界の現状 「世界で最もクレジットカードが使いやすい国 日本」の実現に向けて

村山:アメリカではトランプ大統領が誕生するなど新しい世界の動きがありますが、日本経済は厳しい環境の中においても、少しずつ好転する兆しもみせております。そのような中で、クレジットカード業界を取り巻く経済環境・社会環境をどのようにご覧になりますか?

北嶋:わが国の景気は、輸出の回復や公共投資の増加などにより緩やかに回復しております。その中で個人消費は節約志向の高まりもあり、まだまだ、まだら模様ではありますが、堅調な雇用・所得情勢を受け持ち直しつつあります。 クレジットカードショッピングの取扱高は、2016年は約54兆円、前年と比べ約8%増加しました。一方、民間最終消費支出におけるクレジットカード決済比率は、2015年で17%程度と、諸外国に比べ、まだまだ低い水準に留まっております。消費全体が緩やかな回復基調にあり微増を続けていますが、クレジットカードの『利便性』を『安全・安心』に提供する環境を整備すればまだまだ拡大の余地は大きいものと考えています。政府は、2014年12月の「キャッシュレス化推進に向けた方策」の発表以降、クレジットカードアクセプタンスの拡大による消費拡大、特にインバウンド売上の取込拡大を成長戦略のひとつに掲げて推進しています。 日本再興戦略2016においては、ソフトインフラの飛躍的改善によるキャッシュレス観光の実現のため、2020年までに外国人が訪れる主要な商業・宿泊施設及び観光スポットにおいて「100%のクレジットカード決済対応」及び「100%の決済端末のIC対応」を実現するためにクレジットカード決済・IC対応端末の普及促進が求められています。 クレジットカード業界はこのような環境の中、業界の健全な発展を通じて消費の拡大に貢献し日本経済の安定的発展に寄与すべく活動していく必要があります。

キャスター 村山千代