背景にはあの世界的ゲームソフトが

――開発にあたり、お二方がそれぞれ一番こだわった部分はどこですか?

阿部氏: 私が手がけたところでは、やはり操作面ですね。1つ目は購入して最初に電源を入れてからの導入部。お客様にしてみたらLesson Podは、これまで出会ったことのないインタフェースなので、ファーストインプレッションをわかりやすくしようと丁寧に作りこみました。

ところが「このコンテンツはこうです」「この操作はこうしてください」「こうするにはこうして~」と話しかけてくるのはいいんですけど、退屈な説明が15分くらいだらだら続く感じになってしまったんです。自分で使ってみてこれじゃダメだなと。(笑)

解決策を模索していたときにヒントを与えてくれたのが、あえて名前は出しませんが世界的に有名な日本のゲームソフトです。あのゲームでは、最初のステージが実は導入の役割を担っていて、ユーザーは操作方法もわからないままプレイをしているうちに「あ、これがジャンプか」「こうすると速く走るんだな」と感覚的に把握できるので、そのステージをクリアするころにはすっかり操作方法が頭に入っているんです。

そういうのが理想だなと思い、Lesson Podでも仕様設計を大幅に見直し、冒頭説明は3~5分に留めました。なので、まずはそのままスタートし、レッスン体験が終わったころには製品の操作が一通り把握できるような仕組みになっています。

もう1つは「学習をリードする製品である」ということですね。

Lesson Podでは一方通行のコミュニケーションにならないよう、リードの仕方にこだわっています。例えば基本操作でも、最初は場面ごとに「これでいいですか? よければ『YES』と言うか、頭をタッチしてください。違うならもう一度言ってください」という風に丁寧にリードするんですが、お客様も使っているうちに慣れて操作がわかってくるんですね。なので、Lesson Podには学び進めるにつれてガイドを省略する機能を搭載しました。前述の長い確認は「よければタッチしてください」となり、テンポよく進められるような仕組みになっています。

Lesson PodはIPX5およびIPX7の防水性能を持つ。キッチンやお風呂でも英会話を学習できる

北地氏: 開発の立場からですと、やはり音声認識機能でしょうか。スマートフォンで一般的に使われている音声認識はクラウド型といって、ユーザーが喋った音声をクラウド上のサーバーで処理する仕組みですが、Lesson Podはスタンドアローン(単独)で使用することを想定しています。

そのため、小さなハードのなかで全てを完結させる必要があります。そこを解決するのが、この製品の一番のこだわりであり、難関でした。

例えば1つの単語(音声)について、Lesson Podがユーザーから答えが返ってくるのを待っているとします。我々は場面ごとに「どういう条件で待つか」をひとつひとつ定義していくんですが、そこで誤認識を減らすために候補の数を絞ったり、誤認識しそうな単語を回避したりと、ストレスなくスムーズに学習できるよう工夫して全体を設定しています。

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ユーザーが一見気づかない部分にもたくさんのこだわりが散りばめられている、Lesson Pod。確かに「体験してみるといつの間にか操作方法が身についている」というのはその通りで、実際説明書を読まなくても使えるようになっているから驚きだ。

また、音声に関しても「発音検定」と「音声認識」は別々のエンジンを載せているため「発音検定」の方では「L」と「R」の区別などもしっかりできるようになっているという。ちなみに、Lesson Podは初級者をメインのターゲットとしているため、同社の電子辞書に搭載している発音判定エンジンよりも判定を甘めにするなどのチューニングなども細かく設定されている。「ダメ出しされすぎてやる気がなくなる」ということはないそうなので安心して(?)学習に励んでほしい。