カシオが発売したデジタル英会話学習機「Lesson Pod」。よくある英会話教材とは違い、「対話型」「コーチング」というキーワードが大きなポイントだ。今回、東京都羽村市にあるカシオの羽村技術センターにて、製品の開発までの経緯や「Lesson Pod」に込めた熱い思いなど、開発チームの方にそれぞれの立場からお話を伺った。

対応してくださったのは、カシオ計算機 CES事業部の北地誠氏と阿部亙氏。北地氏は主にの内部ソフトウェア開発を担当、阿部氏は主にコンテンツや音声、操作性、同梱冊子の制作を担当している。

Lesson Podの本体は手のひらに乗るサイズ。これがしゃべるしゃべる。どことなく人間味があり、マンガやアニメに出てくるような身近さが愛くるしい。パッケージに同梱されるテキスト冊子も秀逸

なぜ「このデザイン」に?

―― 開発開始から発売までどのくらいの期間がかかったのでしょうか?

カシオ計算機 北地誠氏

北地氏: 企画からだいたい2年ですね。一昨年(2015年)の春に企画が立ち上がりました。今と形状は違いますが「愛着をもって長く使ってもらえるような対話型学習機を作る」というのがベースにありました。

はじめは自由対話を目標としていたのですが……実は「自由に」といわれると初心者はかえって何も話せなくなってしまうということがわかってきました。

そこで、Lesson Pod自体が学習を先導していく「コーチング」という位置付けでの開発が始まりました。こういったコンセプトは、大学や英会話教室の先生にお話を伺いながら開発を進めることで、固めてゆきました。

カシオ計算機 阿部亙氏

阿部氏: 通常、CES事業部の製品はソフト面や企画をある程度固めてから外観デザインに着手することが多いのですが、Lesson Podはこれまでにない製品を作る取り組みということもあり、企画の段階からデザインチームに入ってもらい、形状の検討にとりかかりました。

初期段階ではヒト型や、鳥などの生き物をモチーフにしたものなどさまざまなアイデアが出ました。

試行錯誤の結果、飽きのこないシンプルな形状を目指し、プロジェクトの発足からおおよそ半年で現在の形に近い外観デザインが完成しました。

Lesson Podが中性的な声で話すワケ

――発売後、ユーザーからは「話し声が聞き取りやすい」などの高評価を受けていると伺いましたが、Lesson Podの最大の特徴である"声"はどのように開発したのでしょうか?

阿部氏: 声については、スマートフォンの音声アシスタントやコミュニケーションロボットなどの動向を分析しましたが、やはり英語の学習機としてネイティブ発音で学習することはとても重要ですので、合成音声ではなく生声にこだわって開発を進めました。万単位の音声を録音し、そこから音声認識機能との兼ね合いも含め、約半分を厳選して収録したんです。ロボットの場合は親しみやすさの観点から、比較的女性の声が採用されていることが多いのですが、男性・女性問わず幅広く使っていただきたいという思いから、最終的に中性的な声となりました。