島根県松江市に本社を置くシーズ総合政策研究所は2016年6月、東京を拠点とする出版社・木楽舎が発行するソーシャル&エコ・マガジン『月刊ソトコト』とタッグを組み、ローカル・プロジェクト事業部を立ち上げた。

島根発「しまコトアカデミー」の注目度

『月刊ソトコト』指出一正編集長

藤原社長「ソトコトとの出会いは2012年、島根県のプロジェクトでした。当時、我々には島根に関心を持っている首都圏の人たちは、移住とは違う切り口で(島根県を)見ているんじゃないかという仮説がありました。そこで、島根の魅力を、フェアや一過性のイベントではなく、つながりを持ってすすめられる仕組みをつくりたいと指出ソトコト編集長に相談しました。島根のコトはできるけど、移住とは違うアプローチを考えたときに、ソトコトにヒントをもらいたいと思ったんです」

そんな想いから、東京発信のソーシャル&エコ・マガジン『月刊ソトコト』と、島根拠点のシンクタンクであるシーズ総合政策研究所が手を組んで生まれたのが、「しまコトアカデミー」だった。

同アカデミーは、「地域や島根につながりたいけど、すぐに移住はできないし、どう関わればよいかわからない」という人たちに向けて開設した講座。「先進的な地域づくりで知られる島根をフィールドに、地域を学び、実際に出掛けて、自分のかかわり方=コトの起こし方を見つける連続講座」だったのだという。

指出編集長「僕らは雑誌やイベント、場所づくりは得意ですが、人材教育や講座、地域づくり事業などの経験はありませんでした。地域づくりに関連する取り組みは、トヨタやルイ・ヴィトンと同じで、島根県がトップブランドだと感じていました。そのため、地域ブランディングを社会課題とし、何かやるのであれば、島根県の仕事から関わることが最も良いと考え、島根県の事業がやりたいと。その当時、ほかの都道府県も"課題先進県"としての島根の取り組みに注目していたことも大きな要因でしたね」

移住とは違うファジーな関わり方へ

藤原社長「総務省が地域おこし協力隊制度を立ち上げた当初、最初からこの制度を活用していたのは、島根県のほかに数県という状態だったと聞いています。しかし、すぐに多くの都道府県が着手し始めたことから、島根県から『近いうちに人材の奪い合いが始まる。すぐに移住できなくていいから、島根のファンづくり、つながりづくりの仕組みをつくりたい』という企画提案の機会が公募されたのです。僕らは数の論理とは異なり、一人ひとりと地域の信頼関係をしっかりつくっていける、地に足の付いた講座をつくっていきたいと考えました」

指出編集長「もともと、食の世界では地方の生産者と都会の消費者の交流会などがあり、それは人と人との関係のうえに成り立っていました。僕らのしまコトアカデミーでは、そこからもうひとつバージョンアップさせ、人と土地の関係性、骨を埋める移住か一過性の観光かの二択ではなく、その“間”に入れる人たちもいるんじゃないかと考えました。このプロジェクトで、移住しなくても「地域を学ぶ・かかわる」というスタイルが"見える化"しましたね」

こうした手法でコミュニケーションをとった結果、より多くの若者に「コレだったら、自分でも(地域とかかわることが)できるな」と思ってもらえるようになったと指出編集長は振り返った。

県民性ではなくて“県性”の時代

同講座を始めた当初、藤原社長は理想を掲げたものの、どのような反応が出てくるのか想像がつかず、手探り状態だったそうだ。しかし、進めていくうちに島根に移住して起業したいという目的で講座に参加する人たちが出てきたりと、同講座は"予想外"の盛り上がりを見せ始める。その点について、県の担当者も『期待以上の成果だった』と話しているという。

指出編集長「しまコトアカデミーはつながりをつくる講座と日頃言っていますが、実際には受講生の3割がIターンです。UIターンの移住イベントなどと違う特徴は、『いい就職先を見つけたい』という気持ちの人ではなくて、島根に移り住んだあと、地域振興に深い関わりがある仕事に就きたいという、より主体性がある受講生が多いことですね。県側も、居住人口の数ではなく、こういう人が必要だということに気づいたんだと思います」

藤原社長「指出さんとの出会いで、しまコトアカデミーが動き出し、それが広島県、奈良県などへ横展開していくようになりました。しかし、しまコトアカデミーと同じなぞりをしている県はありません。それぞれの県に特徴があるんです。ですが、受講生は県出身者だけでなく、さまざまな出身の方で構成されているので県民性とはいえません。その県のカラーに共感してくるという感じですね」

指出編集長「それが“県性”ですよね。県によってまったく違うんです。だから、フランチャイズではなく、それぞれの県が独立して走り出して、僕たちが伴走させていただいてという感じですね」

ナレッジとアクションを加速させる

「中山間地域や地方の課題解決プレーヤーの多様化が進むなか、より成果を実感できるソーシャル系プロジェクト支援サービスを提供していく」というシーズ総合政策研究所とソトコト。最後に、藤原社長と指出編集長は、こうメッセージを残した。

指出編集長「いっしょに取り組んでいく県や市町村の行政の人たちとのつながりが増えるといいなと思っています。我々は、公正なかたちで現在進行中の地域づくりや動きをちゃんと伝えられる媒体を持っているメディアです。ビジネスとしてローカル・プロジェクト事業をどう拡大していくか、いかにフィードバックするかという立場として、伝達者として今後も動いていきたいですね。なにかいっしょにできたら、地域はもっともっと前向きに未来へと動いていくと思います。やればやるほどナレッジが溜まっていく。そこがメリットだと思いますね」

藤原社長「この事業に関わるあらゆる人たちの想いを感じながら、確実に一つひとつ、地域のなかに人と人、人と地域の関わりという種を植え、育てていきたいと思いますね。一方で、僕らがやってきた調査や中山間地域への政策提言などは、これまで同様に提案していきたいと思います。ここ数年の中山間地域の変容は急速で、"現実"のほうがはるかにスピーディに動いているという実感があります。つい最近報告した経済産業省の調査でも、地域のプレーヤーに30代の移住者が占める割合が増えているという結果が出ました。こうした変化のはやい時代には、さまざまなギャップがあらわれてきます。そしてそのギャップが自分たちの仕事領域なんだと思っています。その期待応えるためにも、指出さんやソトコトのみなさんとともに、ローカル・プロジェクト事業をさらに加速させていきたいです」

ソトコトが手がける広島県主催のローカル・プロジェクトが都内で開催されます。

ひろしま さとやま未来博2017 プレミアムセッションin東京
日時:3月16日(木曜日)11時30分~20時00分
場所:丸ビル marucube 1階
メインイベント:プレミアムトークセッション(19時00分~19時45分)
テーマ:『はじめよう,その先の日本へ~ ひろしま さとやま未来博2017』
ゲスト:建築家 隈研吾氏、東京カメラガールズ、田中海月氏、指出一正氏
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