洗練されたBIツールとして世界中の企業に採用されているMicroStrategy(マイクロストラテジー)。その利用事例や機能の紹介を行う「MicroStrategy Symposium Tokyo」が2017年1月20日、東京・日本橋にて開催された。本稿では同イベントで行われた講演から、マイクロストラテジー・ジャパン プレジデントの印藤 公洋氏と、同社ディレクターである浦郷 猛氏による2講演をピックアップし、その概要をお届けする。

2017年1月20日、東京・日本橋で開催された「MicroStrategy Symposium Tokyo」

BIに必要とされる条件とは?

マイクロストラテジー・ジャパン
プレジデント 印藤 公洋氏

「最新ビジョンと今後の方向性」と題された印藤氏の講演は、まず企業が競争力を高めるための5つのポイント(以下の【1】~【5】)を挙げ、一昨年大幅にリニューアルされたMicroStrategy10や新製品が、それらのポイントに則した存在であることをアピールした。

【1】BIをPervasiveに(BIを全社的に浸透させる)

業績を向上させるには、データとその解析結果を、サプライヤーや顧客を含めた組織全体に浸透させていかなければならない。そのためにBIには、多様化した利用スタイルや様々なコミュニケーションデバイスを通して、インテリジェンスを提供することが必要だ。MicroStrategyは以下の5つの特長でこれらを実現している。

1.容易なデータディスカバリー
MicroStrategy10では、ユーザー自身が簡単にデータの抽出や新たな分析を行える。しかもダッシュボードをファイルとして保存して、メール添付で送信できる。このファイルはオフラインでも操作が可能なので、いつでもどこでも分析結果や、そこから発見したことを共有できる。

「発見に至るまでの過程や背景を、多くの人がシェア・理解することで会社は動けるのです」(印藤氏)

2.タブレット用アプリ・スマホ用アプリ
営業が追いかけるべき様々な情報・分析結果などを、モバイル端末で見ることができる。また自分の行動情報をモバイルからインプットすることも可能だ。

3.対話型ダッシュボード
ダッシュボードでは、全体を俯瞰したり切り口を変えたりしながらデータを見る必要がある。その点、MicroStrategyに備わった対話型でコンテンツリッチなダッシュボードは有効だ。同社内では壁一面にダッシュボードを表示させて幅広く情報を共有しているほか、会議もダッシュボードのデータを中心に行われる。こうすることでSingle Version of Truth(一貫性の確保)の実現にもつながるという。

4.レポート配信
MicroStrategyのレポート機能を使うと、定時レポートをメールで受信できるように設定したり、特定のインシデントが発生した場合(例えば利益が5,000を切った場合など)にレポートを受け取ったりすることができる。

5.Visual InsightのPDFでの配信
ダッシュボードを目次付きのPDFに自動エクスポートする機能。バージョン 10.6で改良された。

【2】環境変化への迅速な対応

オンプレミスのレガシーシステムには、導入が複雑、柔軟性がない、運用管理が困難、一元管理されていない、保守コストが高いなどの問題点が存在する。これらを回避できるよう、同社ではMicroStrategy on AWSを準備している(現在は限定配布のみ)。本バージョンには「サーバ環境を簡単・短時間に自動構築できる」「必要に応じてサイズやリサイズが可能(時刻設定で自動化することも可能)」「アップデートがクリック一つ」などの特長があり、スピーディな運用を支援する。

【3】データディスカバリー専用ツールからの解放

MicroStrategy10は、他社の専用ツールと遜色のないデータディスカバリー機能を備えている。高度なインメモリ技術、Push-Downアナリティクスなど、大量データを扱う際にも高パフォーマンスを実現するテクノロジーを搭載している。

【4】すべてを実現するツール

印藤氏は、市場にあふれる各種BIでできることの8割は、MicroStrategy一つで対応できると自負し、「単一の統合プラットフォームであるMicroStrategyに置き換えれば、開発生産性の向上とコスト削減につながる」と語った。

【5】将来性のあるツール

今後ビッグデータの分析が盛んになっていくことを考慮すれば、将来的に負荷が発生しにくいBIを選ぶことが重要だ。MicroStrategyは様々なデータソースへの接続をサポートしているため、異なるソースのデータをブレンディングでき、データの加工・修正もMicroStrategyのインターフェースから直接行える。またシステムに様々な変化があっても、MicroStrategyがその変化をカバーする構造になっているため、アプリケーションを再開発することなく、既存のBI資産を利用し続けることができる。

「MicroStrategyなら皆様方の投資を、将来的にも保護することができるのです」(印藤氏)