ニリツ氏も驚くイマドキのBTOパソコン

第一線で活躍するニリツ氏が、学生たちに向けてアツい想いを語ったあとは、日常作業にマッチするパソコン選びについて。講座を終えた直後のニリツ氏に「どんなPC構成が必要か」について教えてもらった。

創作意欲のための16GB

「最初からハイスペックを手に入れる必要はない。エントリーモデルでも絵をかけるスペックが十分ならばいい。メモリは16GBあると助かるかな。このメモリが足りない場合、たとえばたくさんのモチーフを描いていくと、それを描ききる前に重くなってくる。そのストレスで、描くのがイヤになってきちゃうときがあって、新しい創作や構図への意欲をそがれちゃうことにつながる。それを避けたくて、メモリは16GBあれば、自分の発想を自由に扱えるかなと思う」

「ひとつのウィンドウに、キャラや色をいっぱいつくる。レイヤーも重ねてね。で、メモリ不足だからって、ひとつのキャラを単体で描くのがもったいないという想いがある。ある程度、メモリが十分だと、描きたいものをいろいろ立てて、レイヤーも重ねられる。もうちょっと描き込みたいというときに、重くなってきたりすると描く気が失せてしまうときもあるから」

複数アプリ起動にSSD

「CLIP STUDIO PAINT、SAI、Photoshop の3つを行き来する作業がある。複数のアプリを立ち上げて行ったり来たりする作業の場合は、SSDのほうがいい。HDDだと時間がかかっちゃってやってられないって思うときもある。その上にブラウザもいっぱい立ち上げる。そうした環境下で、作業ストレスを減らすことは大事かなと」

「さらに、モニターを4枚使っている。液晶タブレットと、それを複製して表現できるメインモニター、それと資料表示用に左右に横1+縦1の2枚。左の縦のモニターは自分が描いた"立ち絵"などを表示させる。これらを同時に見ながら行える。これらの表示をいちいち切り換えていたらストレスやロスになる。だからできるだけ表示させたいので、作業空間にモニターがどんどん増えている」

「モニターが増えていくと、PCの中身も変えなければならない。このとき、電源の容量が気になってくる。新しいPC機材を入れるときは電源を強化すると、複数モニター表示を快適にできる。今回、実践講座で触ったパソコン工房のスペックだと、マルチモニター対応で最大6枚のモニターを組める。だいたい2枚までのものが多いので、これはいいなと。今回、触ってみたモデルで私の作業環境としては十分」

保存で圧倒的スピードのSSD

ここで、ユニットコムのBTOパソコン企画担当の大日方心哉氏が、SSDのメリットについてこう教えてくれた。

「SSDのメリットのひとつに、アプリの立ち上げが速いということがある。テクスチャーをたくさん貼り付ける、バーっと並べるというときなどは、実はSSDのほうが有利。それから保存するときの速さはHDDよりも圧倒的に速い。こまめに保存していくときにSSDのほうがいい。使い慣れてくると、OS用と別に、作業用のSSDをもうひとつ用意しておいて、そこでデータを保存して、アーカイブするデータは外付けHDDなどにどんどん逃していくという手法もある。いまのところ、このスタイルが最も効率的かもしれない」(大日方氏)

「買ってみてダメだったっていうこともあるので、パソコン工房などで、『複数のモニターを組んで、こういう作業がしたい』と伝えるのがいいんじゃないか。グラフィックスボードについても、今回のモデルで複数のモニターが組めると実感できたので、これはいいと。私のように3Dの素材を2Dに取り込むような作業上でも、この構成であれば十分かなとも思う」(ニリツ氏)

ニリツ氏と朝倉涼氏のプロフィール

ここで、ニリツ氏と朝倉氏のプロフィールを紹介しよう。お互いのセッションの際に、進行役をかって出て息の合ったトークを展開した両氏。それもそのはず。2人とも同じ多摩美術大学の出身で、学生時代からの付き合いという。

ニリツ氏
イラストレーター。鮮やかな色遣いや艶のある線によって織りなされる、ポップでセクシーなイラストレーションが魅力的なイラストレーター。戦略的に構成されたイラストの数々は読者の目を離さない。近年はフィギュアのキャラクターデザインなども手がけている

朝倉涼氏
3DCGアーティスト。多摩美術大学 美術学部情報デザイン学科 情報芸術コース卒業。個人制作名義「Seventhgraphics」として3DCGによるグラフィックス・映像を中心に規模の大小を問わず商業・同人・イベント・その他幅広く活動・制作中。