メタルのG-SHOCKという選択肢を国内外に提示

―― アナログとデジタルのコンビネーションムーブメントを採用している理由も、実用性を重視した結果でしょうか。

齊藤氏「その理由は大きいですね。現在のG-STEELは、シリーズの全製品が同じコンビネーションムーブメントを採用しているのですが、これがとにかく(時計としての)使い勝手がいいんですよ。

まず、世界6局対応の電波ソーラーなので、時刻合わせや電池残量を意識する必要がありません。時分は大型の針で見やすく、秒はデジタルの数字で正確。しかも、高輝度LEDとバックライト液晶のダブルライト装備で、夜や暗所でも非常に視認性が高い。今日は何月何日何時何分かが、すぐにわかります。

もちろん、針退避機能付き。アナログ針とデジタル表示は連動しているので、手動で時刻を合わせる場合にも、デジタル部の時計を合わせるだけで針が自動的に合ってくれます。コンビネーションの一番オイシイところを味わえるムーブメントですね。機能性と使いやすさのバランスでは、フルアナログより上でしょう。

機能もストップウオッチ、タイマー、ワールドタイム、アラームと、必要なものは一通りそろっています。余計な機能が付いていないぶん、操作性もいい。樹脂ケースのベーシックモデルでも一番の売れ筋ムーブメントをさらに進化させた、今もっともG-SHOCKらしいムーブメントです」

―― 現在のシリーズラインナップは、すべて電波ソーラーのコンビネーションモデルとのことですが、確か秒針の付いた三針モデルがありましたよね。

齊藤氏「国内ラインナップとしては、現在は販売終了となっています。あるとしても店頭在庫限りでしょう。もともとスポット的な販売だったのですが、今後もそうした形態で販売する可能性はあります。

また、三針モデルはムーブメントが電池式でして、日本国内では電波ソーラーモデルのほうが非常に高い付加価値を持っています。たとえば量販店さんの店頭で、同じシリーズの製品でも、電波ソーラーコーナーと『それ以外』に分けて展示されることが多いんですね」

三針タイプはすでに国内での販売を終了したが、海外では継続されるという

―― 海外では引き続き販売されるのですか?

齊藤氏「はい、海外では三針としてのデザインを重視する国や地域も多く、相対的に三針モデルの価値が高いですね。ほかにも、標準電波を受信できない国や地域も多いことから、アナログとデジタルのコンビネーションムーブメントで電波時計機能のないタフソーラーモデルも展開しています。

G-STEELは、海外戦略商品でもあるんです。G-SHOCKも次第に海外での認知度が上がってきましたが、やはり100~150ドルで買える樹脂ケースのベーシックモデルのイメージが強くて。冒頭でお話に出たGIEZなども海外展開はしませんでしたし、MT-Gの価格帯ではまだまだ販売数が見込めません。

そこで、この間を埋める300~400ドルのメタルG-SHOCKを投入して、海外市場で認知度をさらに上げたいという狙いがあります。メタルのG-SHOCKという新しい選択肢と、その魅力を改めてアピールしようというわけですね」