組み込みソフトウェア制作の経験を生かす

―― ワンタイムシェアは、EXILIM ConnectとScene、2つのアプリが連携して行われるとわけですね。

大中氏「はい。アプリ同士が連携する仕組みは珍しいと思います。EXILIM Connectがカメラからのデータ転送を担当し、終わるとSceneのアルバム整理にバトンタッチする動きです。これを交互に行っています」

柳氏「カシオだけでは絶対できなかった仕組みです。Sceneのアルバムシェアサーバがバックグラウンドで動作し、機能を提供してくれます。EXILIMユーザーは簡単さを重視される方が多いので、『やりたいことをいかに簡単に提供できるか』が重要なんです」

―― 連携は大変ではなかったですか?

大中氏「比較的スムーズだったと思います。かつてのgupixは、ハードウェア制御もアプリに集約させたため、機能が複雑になりすぎました。その反省をもとに、ハードウェア(EXILIM)との連携はカシオさんの専用アプリ(EXILIM Connect)に任せ、Sceneはネットワーク上の機能に注力しました。役割を切り分けたことが、成功した理由の1つだと思います」

岡崎氏「リプレックスはアプリ開発の会社ということで、新バージョンも出しやすいんです。『できたらすぐ試す』というフットワークの軽さも、時間の短縮になりましたね。

私と大中は、前職で組み込みソフトの開発をしていたので、その経験も大きいでしょうね。ハードウェア連携では『こんな問題が起きそうだ』という、予想というか見通しを立てられるんです」

柳氏「アプリ連携は今後も増えると思います。連携の先でデータがどう動くかを考え、その活用まで持っていく重要性も高まるはずです。今回、ハードウェアメーカーとして見たカシオが、データ活用のプロと協業することで、完成度の高いサービスを提供できることを示せたのではないかと思っています」

大中氏「メーカー専用アプリとSceneが連携し、専用アプリがSceneのアルバムを選んでQRコードを生成して貼る……。この仕組みは、ブラザーさんの製品にもご採用いただくなど、応用範囲が広がってきています」

柳氏「APIの活用ですよね。QRコード化は、現在ではわかりやすい方法ですし、それが写真の二次活用も促進しますからね。そこで私たちは、さらなる写真の楽しみ方として、撮影や共有はもちろん、写真プリントや他の形で残すような世界などを提案できればと」

―― 例えばどのような形ですか?

岡崎氏「1つはフォトブックですね。Scene内で、編集から仕上がりまで確認できますよ。フォトブックの種類は現在ソフトカバータイプの1種類ですが、今後はラインナップの拡大も検討中です。ニーズに沿った商品を少しずつ増やせればと考えています」

Sceneのアルバムから好きな写真を選んで、印刷されたフォトブックを手軽に作れる