写真をもっと活用してもらうための提案

―― ところで、カシオさんが「Scene」に興味を持たれたきっかけは何だったのですか?

柳氏「Sceneの前身に『gupix』というアプリがあって、その時代から画像利用のご提案をいただいていたんです。その後、Eye-FiカードやFlashAirによってデジタルカメラでWi-Fiが使えるようになり、デジタルカメラ本体にもWi-Fiが搭載されるようになりました。そうした状況でスマートフォン連携の企画が持ち上がり、EXILIMからスマートフォンに送信した写真の活用につなげられないかと、アイデアが膨らんでいきました」

岡崎氏「gupixはパソコン用だったので、スマートフォンに特化したアプリを作ろうと、イチから作り直したのがSceneでした」

柳氏「当時、デジタルカメラが売れなくなってきたのは、PCに保存した写真が活用されないのが大きな理由なのではと。スマートフォンは撮った写真で『●●がしたい』と思って行動しますよね。それはSNSへのアップだったり、友人や家族と共有したりと、撮ることよりも、使うこと、消費することをまず考えて行動しているのではないでしょうか。

デジタルカメラはその目的意識が薄いから、保存して終わりになりやすいのではと考えました。そこで、もっと写真を活用する文化にするためのアイデアを、リプレックスさんから色々と出してもらったんです」

EXILIM側のメニューで「スマートフォンへ送る」-「ワンタイムシェア」を実行(写真左上、写真右上)。送りたい写真を選び(写真左下)、QRコードを生成(写真右下)。共有したい人のスマートフォンで撮影してもらえば完了。メールアドレスやSNSのIDなど、個人情報のやりとりは一切ない

大中氏「それで完成したのが、エクシリムオートトランスファーです。2016年の3月には、QRコードを活用したワンタイムシェアもリリースしました。具体的には、旅行先で知り合った人などと、EXILIMで撮った写真を手軽に共有できる機能です。

EXILIM側でワンタイムシェアを実行して送りたい写真を選ぶと、送信用のアルバムが作られます。処理が完了すると、EXILIMの画面にQRコードが表示されるので、そのQRコードを送信相手のスマートフォンで読み取ってもらえば、選んだ写真を共有できます」