香港グルメといえば飲茶や麺類、広東料理などがありますが、香港に来たら必ず味わいたいジャンルの1つが海鮮料理です。ミシュランレストランや超有名店もいいけれど、あまり観光客に知られていないのが、街市(ガイシ)とよばれる香港の各エリアにある生鮮食品などを扱う市場の中にあるフードコートの海鮮料理店です。海辺でなくとも驚きの新鮮素材が並ぶだけに、海鮮自体の味を楽しめる料理が目白押し。おいしくなければ生き残れない! という香港の、特に地元の人々に大人気の海鮮料理店を、香港関連の著書も多い香港迷(=広東語で香港ファン)の池上 千恵さんに教えてもらいました。

香港迷が教えてくれた、なぜ香港=海鮮?

そもそも香港で堪能できる様々なグルメの中で、特に海鮮料理が有名なのはなぜなのでしょうか。池上さんによると、香港の漁業は、宋王朝時代(960~1279年)には大嶼山(ランタオ島)の大澳(タイオー)ですでに営まれていたという記述が見つかるそう。豊かな資源を持つ海にぐるりと囲まれた地形、漁場から多くの消費者がいる街への距離が短いコンパクトな土地、そんな条件が揃ったことで早くから水産業が発展し、その豊かな食材を活かした海鮮料理は今に至るまで進化を続けているそうです。交通網が発達した現代においては、海沿いの街だけでなく繁華街の街市にも生きたままの魚介類が並びます。そして街市のそばには海鮮料理が楽しめる店もあれこれ。地元の人が家族と訪れる人気店もたくさんあります。

今回池上さんから紹介していただいたのは、そんな人気店のひとつで、しかもガイドブックなどにはまだあまり紹介されていない穴場とのこと。これは期待が高まります。

ローカルお墨付きの街市の名店

降り立ったのは、香港島側のMTR(地下鉄)西營盤(サイインプン)駅。MTRが延長され、2015年に駅が新設されたことにより、急激におしゃれスポットが増えてきたエリアですが、以前は観光客が少ないとてもローカル色の強い場所でした。その西營盤駅のすぐ近くにある正街街市(Centre Street Market)の中にオススメ店「紫京海鮮飯店(Zi Jing Seafood Restaurant)」はあります。

お店の中はローカルそのもの。現地の人でにぎわう

お店のメニューには英語の説明や写真がついているので、簡単に指さしオーダーすることができます。アラカルトの他、コースメニューもあり、少しずついろいろ食べたいときによさそうです。

料理の写真、英語表記があるメニューなので安心

この日はオーナー夫人のチューさんから、メニューについて色々と教えてもらいました。魚介類は時価のものが多く、産地によって値段が違うそうです。また、アワビなどは1個ずつ計算をしてくれるものもあるので、人数によって数を調整できるのがうれしいところ。気に入ったらもう1個、なんていうオーダーもOK。壁には「今日のおすすめ」などが掲げられているので、どんな料理かお店の人に聞くといいでしょう。「今日のおすすめ」にはその日に仕入れた鮮魚だけでなく、新メニューが載ることもあり、評判がよければレギュラーメニューに仲間入りするそうです。

香港迷オススメ!鮮度の良さを実感する絶品メニュー

そんな中でも、池上さんのオススメは「椒鹽鮑魚(アワビの塩胡椒あげ)」「黄金鮮魷(イカのフリッター)」

高級食材のアワビも気軽にいただける。「椒鹽鮑魚」は個数を指定してオーダー可能

「椒鹽鮑魚」は衣がさっくりしていて、アワビは驚くほど柔らかい食感で、まずは一同びっくり。アワビって、こりこりしたもの、という印象が覆されます。それでいて磯の香りが立っていてうまみがぎっしり濃厚。聞けば、使っているのは「ベビーアバロン(=ベビーアワビ)」だそうで、一般に出回っているアワビよりも若いものだとか。それを下茹でなどの処理をしてシンプルに揚げたもので、塩と胡椒だけで味付けがしてあります。このシンプルさ、鮮度に自信がなくてはできない、まさに香港ならではのお味。アワビは時価で、この日は中国産が1個35香港ドル(=約490円)、オーストラリア産が1個52香港ドル(=約728円)でした。両方食べ比べてみてもいいかもしれません。

「黄金鮮魷」は、やわらかいイカと軽い食感に驚かされる。揚げ物に香草がまたいい組み合わせ

さらに驚きだったのが「黄金鮮魷」(88香港ドル=約1,232円)。衣には生卵を塩漬けにした鹹蛋(ハムダン) が使われています。卵の黄身のこっくりした味が、淡白なイカの味とあいまって、日本では食べたことのない不思議な味。それでいてひとつ、もうひとつと箸が止まりません。黄身の部分が多いためか、衣はなんとなくクッキーのようなほんわかした甘味を感じさせ、ほろっと崩れます。そして、これまたジューシーに揚がったイカは、もしかしたら箸でも切れてしまいそうなほどの柔らかさ。これももちろん塩のみの味付けで、卵の黄身とイカの味を存分に堪能することができる一品です。

香港人お気に入りメニューや新メニューにもトライ

さらに、店員さんから地元の人に人気の定番メニューも紹介してもらいました。

「干燒粉絲煲」。かなり量が多いので、4人でシェアしても十分

「干燒粉絲煲」(58香港ドル=約812円)はビーフンを土鍋で炒めた料理で、アツアツ! 干しエビの風味とほんのりした塩味、そしてシャキシャキした白菜などの野菜の食感が楽しく、あっさりしていてご飯ものの代わりにぴったり。辛味がなく、とてもやさしい味わい。それでいてうまみが効いているので飽きずにぺろっと食べられます。地元に人にも人気があるというのも納得の味で、子どもにも喜ばれること間違いなし。

新メニューの「墨魚南瓜」。カボチャとイカって、こんなに合うんだ! と感心

そして、「今日のおすすめ」からもう一品。「墨魚南瓜」(78香港ドル=約1,092円)は、簡単に言えばイカとカボチャの揚げボールですが、カボチャのほっこりした甘味とイカがこんなに合うとは、と驚きの新テイスト。こちらもシンプルに塩のみの味付けで、ほくほく、あつあつ。イカは小さく切ってありますが、食感がしっかり残る大きさで弾力を感じるのでなかなか食べ応えがあります。新メニューとのことですが、これはそのうちレギュラーメニューに昇格する予感が。

香港旅行のプランに是非とも組み込んで欲しい穴場レストラン!

店員さんたちも気さくで雰囲気が良い

日々新メニューが登場することもあって、常連さんも多い「紫京海鮮飯店」は、正街街市に居を構えて6年、その前にも別の場所で5年と、オープンから10年以上経っても人気は変わらず。多くの料理が塩や醤油のみ、といったシンプルな味付けですが、それこそまさに素材の味で勝負する街市の中のレストランならでは。香港に来たら必ず立ち寄っていただきたい、おすすめの名店です。

他にも、香港にはおいしい海鮮料理のお店がたくさん。あなただけの穴場レストランを見つけてみてはいかがでしょうか?

取材協力

池上千恵

フリーライター。約6年暮らした香港に片思い継続中。各種ガイドブックや月刊誌などで執筆活動をしながら、年3~4回はふらりと香港を訪れ、大好きな「地元感」を追い求めています。「香港女子的裏グルメ」(世界文化社刊)、「香港無問題」(JTBパブリッシング刊)をはじめ香港関連の著書も多数。「気になったら、行ってみる食べてみる」が信条。

※1香港ドル=14.0円で換算。記事中の情報は2016年5月取材時のもの

(マイナビニュース広告企画:提供 香港政府観光局)

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