「MANASLU」のデザイン

そのモジュールに注目すると、近年のMANASLUはアナログ針が必須となっているように見える。

牛山氏「PRO TREKが進化していく中で、アナログ針を手に入れた意味は大きいと考えています。8,000m級の山で意識がもうろうとしている中、アナログ針が役に立つからです。というのも、登山家の中には時間をデジタルの数値でとらえる人と、アナログの針で感覚的にとらえる人がいるんです。アナログの分針がここまで動く間に○○をしようとか、針がここまで行ったら次のアクションを考えようとか。

竹内氏のアイディアで針が着色された「PRX-7000T」の限定モデル。ダウラギリ登山で実際に使われた

デジタル表示だと、足し算引き算がどうしても必要になります。普段アナログ針で時間を把握している人にとっては、かなり負担が大きい。実際にヒマラヤで使える時計として作っている以上、PRO TREKにおいてデジタルとアナログ針の表現を選べることは、不可欠と考えています」

MANASLUのデザインは、初代以降すべて小島氏の手によるもの。機能のみならず、デザインにおいてもMANASLUは進化を続けている。

小島氏「MANASLUのデザインは、アウトドア、それもヒマラヤ登山というきわめて特化した環境で使用するツール道具から、いかに時計へと戻していくかが難しいですね。つまり、時計にどんな魅せる要素で華飾していくか、という一般的な時計デザインの逆の手法です。加えて、ヒマラヤの環境や腕時計に求められる必要情報を、精査しながらデザインする必要もあります。

「MANASLUのデザインをするときは、いつも竹内さんの顔が浮かびます」

たとえば、視認性を向上させるために、目に入るすべての表記に優先順位を付けます。確認する頻度の高い表記から明るいグレー、低い表記には暗いグレーのように、段階的に振り分け、最も優先順位の高い針とインデックスを白、背景となる文字板を黒で構成します。

シンプルな白と黒とはいえ、"黒"はできるだけ反射しにくい塗装や印刷を開発したり、"白"は夜間から活動を開始する高所登山に向けた蓄光塗装や印刷を実現するなど、様々なシミュレーションを繰り返しながらデザインしていく必要があります。

金属外装の仕上げについても、前機種までは平滑鏡面と高級感を併せ持つザラツ研磨をしていましたが、PRX-8000Tでは採用していません。少しでも情報を惑わせてしまう可能性がある鏡面仕上げは、採用すべきではないといった結論です。MANASLUには他の時計では見られない独特の機能美、高級感、凄みがあると思っています。材質、仕上げ、その答えは一朝一夕には見つかりませんが、PRX-8000Tではひとつの形として具現化できたかなと思います」

PRX-8000Tは、ベースモデルのPRW-6000から大胆にデザインルールを変更。ワイドフェイス化と立体的な大型のインデックスによって、視認性が大きく向上した。

PRX-8000Tは、ベースモデルのPRW-6000Yからデザインが大きく変わった

PRX-8000Tのサイドビュー

さらに、バックルにアジャスト機構を搭載し、平常時はもとより薄手のグローブをはめた上からの装着性と快適性を両立するなど、時計としての機能以外も進化している。それらが評価され、国内ではグッドデザイン賞、海外では見事iFデザイン賞(※)を受賞した。

※iFデザイン賞
デザイン界におけるオスカー賞と称えられる、世界的に最も権威あるデザイン賞のひとつ。毎年、全世界の工業製品などを対象に優れたデザインを選定。過去には、トヨタ自動車のレクサス、小田急電鉄の5000形VSE(ともに2007年)などが受賞

マナスルって、いいネーミングですね。

牛山氏「そう思います。あのとき、竹内さんがPRW-1300を着けてマナスルに登ってくれなかったら、違う名前になっていたかもしれません。非常にラッキーだったし、すごく感謝しています」

60年前の1956年、日本隊がマナスル初登頂に成功したことも、山形カシオで生産されるメイドインジャパンのMANASLUに符合するエピソードだろう。その名はもはや、アウトドアウオッチの最高峰というブランドイメージを遙かに超えて、PRO TREKが実際に試され、挑戦し続ける頂(いただき)として、歴史と重みと意志を感じさせる名前となっている。

「これからもPRO TREKとMANASLUにご期待ください!」

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