垂直統合型の仮想化・クラウド基盤である「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud」。写真はNASストレージFUJITSU Storage ETERNUS NR1000F seriesを搭載したモデル

2月2日に開催されたNetAppの年次プライベートイベント「NetApp Innovation 2016 Tokyo」。会場では15を超えるパートナー企業が、さまざまなクラウド環境でデータを管理/運用する最新ソリューションを展示した。

中でも来場者の関心を引いたのが、富士通ブースに展示された垂直統合型の仮想化・クラウド基盤である「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud(以下、PRIMEFLEX for Cloud)」だ。

PRIMEFLEX for Cloudは、仮想化基盤・プライベートクラウド基盤に必要な設計、構築、運用といった要素をパッケージ化したものだ。富士通で設計/検証し、運用や保守を容易化する機能を組み込んだ「最適統合」された“1つのシステム”として提供する。富士通 プラットフォーム技術本部クラウドインフラセンターの太原泰介氏はPRIMEFLEX for Cloudの特長を、「富士通の技術と豊富なSI経験を通じて蓄積したノウハウが凝縮された商品です」と語る。

NetApp Innovation 2016 Tokyo 富士通セッションレポート

「NetApp Innovation 2016 Tokyo」にて富士通がセッションをした講演レポートを以下に掲載しております。併せてご覧ください。

「PRIMEFLEX for Cloudは、パブリッククラウドサービスで培った利用者視点の操作性、富士通社内のデータセンターで蓄積した技術や運用ノウハウ、そして、数多くの仮想化・クラウド導入実績に基づく確かなシステム設計構築の知見が詰まった商品です。」(太原氏)

一般的に垂直統合型商品は、スペックが型決めされているケースが多い。しかしPRIMEFLEX for Cloudは、サーバやストレージ、仮想化ソフトウェアの種類だけでなく、搭載するメモリや外部ストレージ容量、CPUなどの詳細なスペックも複数の選択肢からシステム要件に応じて選択できる。また、IPアドレスやログインIDといった、ユーザー個別の環境情報も、あらかじめ設定された状態で提供される。太原氏は、「お客様側でクラウドインフラ環境構築に関する作業はほとんどありません。そのため、システム稼動開始までの期間を、大幅に短縮できます」と説明する。

富士通 プラットフォーム技術本部クラウドインフラセンター 太原泰介氏

保守/運用の面でも、PRIMEFLEX for Cloud は富士通で構築・設定した商品のため、サポートスタッフは機器やプレインストールされたソフトウェアの構成および設定内容を把握している。そのため万一のトラブルの際も、対応から解決までをより迅速に進めることが可能だ。また、調査ログを取得する場合でも、各機器の保守情報を一括に収集できるようになっている。

さらに注目すべきは、組み合わせの検証済みファームウェアの提供である。PRIMEFLEX for Cloudでは更新が必要なファームウェアを組み合わせ検証した上で、“ファームウェア群”として定期的に提供する。太原氏は、「ICT管理者にとってファームウェアのアップデートは、組み合わせ確認に時間を要する大変な作業です。さらに、組み合わせミスがあるとシステム全体に影響を及ぼしかねないというリスクも抱えています。しかし、弊社で組み合わせ検証したファームウェア群をご使用いただくことで、そうした課題を抱えることはありません」と、そのメリットを強調する。

3Dの「ラックビュー」で直感的な管理が可能に

運用面においてもPRIMEFLEX for Cloudは、管理者視点での工夫が施されている。その好例が機器の管理画面をわかりやすいGUI(Graphic User Interface)で一元化し、3D表示にしたことだ。フロアにラックが配置されたイメージを3Dでビジュアルに表示する「ラックビュー」は、ラックに搭載されているサーバ、ネットワーク、ストレージといった各機器の電源の状態やエラーの有無、CSS(Customer Self Service)などのLED表示を、実際の機器と同じように表示する。

太原氏は、「今までの管理画面は数字と棒(グラフ)だったが、“ラックビュー”のおかげで、個々のラックのステータスや吸気温度、消費電力まで視覚的に分かりやすくなっています。IT管理者は、自席にいながら機器の搭載位置や稼働状況を、現場にいるような感覚で把握できます」と説明する。

ラックのイメージを3D表示する「ラックビュー」。機器をクリックするとリソースの使用状況や消費電力といった稼働状況をグラフィカルに表示する

PRIMEFLEX for Cloudのラインナップは、中堅・小規模環境向けの「CRB200」と大規模環境向けの「CRB500」モデルに大別される。大規模環境向けのラックサーバ型には、NASストレージである「ETERNUS NR1000F series」を採用したモデルもあり、NASストレージを求める顧客からの支持を集めているという。

実際、SANストレージ以外のファイルサーバを利用していた顧客が仮想環境に移行する際、NASを利用して仮想化したいというニーズは高い。ETERNUS NR1000F seriesはネットワーク処理とファイルシステム処理を一体化し、高速化を実現した高性能なファイルサーバである。ファイル単位でバックアップ/リストアが可能なので、ディザスタリカバリなどにその威力を発揮する。例えば、LANまたはWAN経由で遠隔地にETERNUS NR1000F seriesを設置し、自動でミラーリングを行う機能である「SnapMirror」を利用して複数台のETERNUS NR1000F seriesで同じデータを管理するという使い方も可能だ。

NASストレージETERNUS NR1000F series。同ストレージを採用することにより、高速化を実現した

そのほかにもPRIMEFLEX for Cloudのラインナップで注目したいのが、オープン技術を採用した自社開発のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5」と同一のアーキテクチャーを採用した「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud K5モデル(以下、K5モデル)」だ。パブリッククラウドとプライベートクラウド、双方のIT資産の連携や移行がより柔軟になる。(※K5モデルの詳しい記事はこちら

以上が、ETERNUS NR1000F seriesを搭載した富士通の垂直統合型商品の利点である。今後のハイブリッドクラウドシステムへの活用にも期待できそうだ。

富士通独自の高速転送プロトコルとデータ削減技術で遠隔地ファイルサーバへのアクセスを高速化

ここからは、同社の展示スペースでもう1つ来場者の関心を集めていた、遠隔地にあるファイルサーバへのアクセスを高速化するソリューションについて紹介する。

災害対策におけるデータ保護の観点から、遠隔地にあるファイルサーバへデータをバックアップするケースは増加している。しかし、その際に課題となるのが、ファイルサーバへのアクセス速度だ。専用回線と専用機器を導入すれば、高速化は実現できるが、莫大なコストがかかる。必要なのは現在のネットワーク環境で、追加機器を購入することなく高速化が実現できるソリューションである。

富士通ミドルウェア事業本部 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部 第一開発部 マネージャーを務める佐藤光洋氏

富士通の「FUJITSU Software Interstage Information Integrator(以下、III)」は、遠隔地にあるファイルサーバへのアクセス高速化を実現するミドルウェアだ。回線の増強や専用装置が必要なく、クライアントとサーバにIIIをインストールするだけで、既存ネットワークを有効活用することができる。富士通のミドルウェア事業本部アプリケーションマネジメント ミドルウェア事業部第一開発部マネージャーの佐藤光洋氏は、「例えば首都圏のデータセンターにサーバを置き、遠隔地のパソコンから10MBのファイルをバックアップ(ファイル転送)する場合、以前は15秒かかっていたのが、III導入後は1秒で完了します」とその効果を語る。

アクセス高速化のカギを握るのが、「転送アクセラレーター」である。特性が異なる複数の高速転送プロトコルやデータ最適化機能を組み合わせ、様々な環境に柔軟に対応して最大限の高速化を図る仕組みだ。

IIIの高速転送プロトコルは、一般的なTCP/IPではなく、RPS(データ消失訂正技術)とUNAP(高速軽量な遅延改善プロトコル)を駆使した富士通独自のUDP(User Datagram Protocol)である。一般的にUDPは、TCP/IPよりもパケットロスが多く、通信の信頼性が低いと言われている。この課題を解消したのが、富士通の独自技術だ。

「RPSは送信中に消失したパケットを受信側で自動復元し、UNAPは消失したパケットを高速に識別し、不要な再送を抑止することで、高速に大量データを転送する機能です。富士通の高速転送プロトコルではネットワーク特性とアプリケーション特性を計測し、最良の性能を発揮するプロトコルを自動選択するため、ユーザーは今までどおりの操作のままで、高速転送化を実現しているのです」(佐藤氏)

また、データ最適化機能は、一度送信したデータを送信側と受信側の双方で保存し、2回目からは同じデータの送信を省略し、初めて送るデータは圧縮することで、WANを流れるデータ量を削減し、高速化を実現する。

「Software Interstage Information Integrator」と「ETERNUS NR1000F series」を連携させて、富士通の社内システムに導入した例では、10MBファイルの転送時間がアップロード0.9秒(従来は15秒)、ダウンロードは0.8秒(従来は3秒)と大幅短縮された

現在、IIIは富士通社内でも導入されているが、「業務終了間近に10MBのデータを10個送ると、150秒かかっていたのが10秒で終わり、ストレスが減りました」と好評だという。

なお、IIIは一般的なサーバに対応しているので、サーバ間のファイル転送や、ソフトウェアが行う大量データ通信の高速化にも利用できる。佐藤氏によると、今後はアプリケーションプログラミングとの連携を効率化し、転送を高速化する仕組みも考案中であるとのことだ。

当日の会場は人だかりになるほど賑わっており、説明員に製品の説明を求めたり、中には興味津々に製品を覗き込む人もいた


FUJITSU Integrated
System PRIMEFLEX
for Cloud
(製品カタログ)


FUJITSU Software
Interstage Information
Integrator Standard
Edition - 高速データ転送編

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