ストレージ・ベンダーのNetAppは2月2日、都内において同社の年次プライベート・イベント「NetApp Innovation 2016 Tokyo」を開催した。今年のテーマは「データ ファブリックへようこそ」。異なるクラウド環境でも、さまざまな方向に伸びる布の繊維(ファブリック)のようにデータを管理/運用することで、ビジネスの俊敏性と柔軟性の向上に主眼を置いたものだ。イベントではNetApp製品はもちろん、パートナー・ベンダーによる最新のデータ管理ソリューションの展示のほか、クラウド時代におけるデータ管理の課題解決をテーマにしたセッションが多数開催された。そうした中 、本稿ではハイブリッドクラウドの最新ソリューションにフォーカスした富士通のセッション、「お客様のデジタル革新を支える最先端ハイブリッドクラウド」の内容を紹介しよう。

NetApp Innovation 2016 Tokyo 富士通展示ブースレポート

「NetApp Innovation 2016 Tokyo」の富士通展示ブースのレポートを以下に掲載しております。併せてご覧ください。

イノベーションのカギは最先端のICTと業種横断的な協業

富士通サービス&システムビジネス推進本部
システムプラットフォームビジネス統括部マネージャー 館野巌氏

近年、IoT(Internet of Things)とビッグデータ分析を組み合わせ、新たな価値を創造する「ハイパーコネクテッド・ワールド」が注目されている。また、データだけではなく、人や多様なモノが組織横断的に融合することで、ビジネスのイノベーションが生まれている――。こう語るのは、富士通サービス&システムビジネス推進本部システムプラットフォームビジネス統括部でマネージャーを務める館野巌氏だ。

多くの企業が新たなイノベーションを模索する状況の中で勝ち抜くためには、最先端ICTの活用によるデジタル革新がカギとなる。例えば、きめ細かな顧客分析やマーケティングで顧客との関係性を強化したり、IoTを駆使した商品トレーサビリティシステムを構築したり、AIを活用した店舗顧客の動線分析で現場の改善を図ったりすることなどが挙げられる。これらの革新をより効果的に実行するのに最適なICT基盤がデジタルビジネス・プラットフォームだ。2015年、富士通は新たなデジタルビジネス・プラットフォームとして「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc(以下、MetaArc)」を発表した。「MetaArc」は、富士通が独自開発したクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service K5(以下、K5)」とプライベートクラウド基盤「FUJITSU Integrated System PRIMEFLEX for Cloud K5モデル(以下、PRIMEFLEX for Cloud K5モデル)」を核に、モバイルやビッグデータ、IoT、AIといった先進ICTと、同社が培った知見/ノウハウを融合したビジネスプラットフォーム商品群である。

館野氏は、「ビジネスのイノベーションを実現するICT基盤の構築は、SoE(Systems of Engagement:協働のシステム)とSoR(Systems of Record:記録のためのシステム)双方の特性と要件を理解し、協業する企業間とも情報/知見をシームレスに連携できるものでなければならない」と訴求する。そして、その"解"となるのがK5とPRIMEFLEX for Cloud K5モデルだ。

MetaArcの中核を担うK5はOpenStackやCloud Foundryなどのオープン技術と富士通の開発・運用ノウハウを融合し、SoEとSoRに対応したIaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)機能を提供する。このK5と共通のアーキテクチャーを採用する、オンプレミスのプライベートクラウド基盤がPRIMEFLEX for Cloud K5モデルである。

「富士通が豊富なSI経験を通じて蓄積した『知の財産』を結集し、お客様のデジタル革新をトータルでサポートする」と館野氏は説明する。

お客様がセキュリティ・性能・コストといった観点から最適な形態を選択することができるよう、クラウドサービス型とプロダクト提供型合わせて5つの形態が用意されている。K5によるクラウドサービスは、仮想共有型、仮想/物理占有型、クラウド基盤占有型、クラウド基盤顧客データセンター構築型の4形態がある。一方、プロダクト提供型となるのが垂直統合型商品PRIMEFLEX for Cloud K5モデルで、プライベートクラウドの構築に必要なハードウェアおよびソフトウェアが最適に統合されている。これら5つのモデルが同一のアーキテクチャーで構成されているため、双方のICT資産の連携や移行が柔軟に実行できるのが最大の特長だ。

同一アーキテクチャーがもたらすクラウドモデルの優位性

クラウドサービスに対するニーズは高まっており、その市場規模は年々拡大している。2015年11月にMM総研が発表した「国内クラウドサービス需要動向」によると、2014年度におけるクラウド市場は、前年度比23.8%増の7,749億円。迅速なアプリケーション開発やシステム運用の負荷軽減を目的に、クラウドサービスへの移行を検討する企業は引き続き増加し、MM総研では同市場が2019年度には2兆円を超える規模に達すると予測している。一方で、クラウドサービスへの移行にあたって課題も見えてきている。例えば、既存アプリがクラウドサービス環境に対応していなかったり、業務特性上、クラウドサービス環境での運用が難しかったりする場合も少なくなく、こういったシステムは引き続きオンプレミスで運用することとなる。システムに応じて、クラウドサービスとオンプレミス、適している環境は異なるのだ。そんな中注目されているのが、ハイブリッドクラウドだ。ハイブリッドクラウドは、クラウドサービスとオンプレミスをシームレスに利用したり、状況に応じて使い分けたりすることができるクラウド環境である。2014年の同調査では、新規システムを構築する際、ハイブリッドクラウドでの構築を検討していると回答した企業が、約40%に上ったという。

ハイブリッドクラウドの構築にまさに最適と言えるのがK5とPRIMEFLEX for Cloud K5モデルであると館野氏は言う。「K5とPRIMEFLEX for Cloud K5モデルは共通のアーキテクチャーで構成されており、この最大の特長を活かして、お客様の様々なご要件や環境にあったハイブリッドクラウドを実現することができる。」その例として、K5とPRIMEFLEX for Cloud K5モデルを利用した4つのハイブリッドクラウドの活用シーンを紹介した。(計画中の内容を含む)

1つ目は、平常時はオンプレミスで運用し、繁忙期にクラウドサービスも活用する方法だ。例えば、期末の集中処理などによる高負荷時に既存資産であるオンプレミスのリソースが枯渇しがちになるシステムの場合、クラウドサービス上でも同じ処理を分散して実行することでリソースを有効活用できる。

2つ目は、クラウドサービス上で新規アプリケーションを開発し、稼働後はオンプレミス上でアプリを運用する方法だ。従来は開発環境を構築するためには、ハードの調達から導入、設定に時間もコストも要していた。しかし、開発環境をクラウドサービス上に構築することで、構築工程もコストも大幅に削減でき、本稼働への移行もスムーズに行うことが可能になる。

3つ目はアプリケーション(業務)や利用者の特性に応じて、クラウドサービスとオンプレミス環境を適材適所に使い分ける方法だ。クラウドサービス/オンプレミス環境を「FUJITSU Software Cloud Services Management」で統合管理することで、例えば、会社の規定で個人情報が含まれるデータがクラウドサービス上におけない場合、それらの情報はオンプレミス上で管理し、その他の情報はクラウドサービス上で管理するという使い方が可能になる。

最後は、クラウドサービスとオンプレミス環境を同一手法で開発/運用する方法だ。自社(顧客)のデータセンターにはK5モデルを導入し、富士通のデータセンター(パブリッククラウド)ではK5を利用する。これにより、今後クラウドで提供されるAPIがオンプレミスでも利用できるようになり、開発効率の向上だけでなく、開発者のノウハウの統一も図ることができる。

富士通独自のサポート体制でOSS運用の不安を完全払拭

前述したとおり、K5はOpenStackやCloud Foundryなどのオープン技術を採用している。ただし、オープンソースソフトウェア(OSS)の運用は、敷居が高いと感じている人もいるのではないだろうか。OpenStackは開発がスピーディーというメリットがある反面、コミュニティーによるサポートが十分ではなかったり、各コンポーネントの整合性の考慮が必要なため、修正対応が困難といった課題がある。実際、OpenStackのメジャーリリースは、半年サイクルだが、コミュニティーによるサポートはリリースから1年程度で終了してしまう。

こうした課題に対し館野氏は、富士通独自のサポート体制の充実を強調する。「われわれはリリースから3年間サポートを、標準で継続する。また、コンポーネント単位で提供される修正も富士通側で検証し、まとめてお客様へ提供するシステムだ。さらに、トラブルやQ&Aなども、OpenStackに精通した富士通のサポート部隊が対応するので、お客様に安心して使ってもらえるだろう」

「PRIMEFLEX for Cloud K5モデル Standard」のストレージには、NetApp製品のOEMである「FUJITSU Storage ETERNUS NR1000F series」が採用されている。館野氏は、「NetApp製品は、クローンによる差分容量だけでの高速展開や、ストレージオフロードによるサーバ負荷の最適化といった機能も備わっており、OpenStackで使い勝手がよい」とその採用理由を語る。実際、富士通とNetAppは17年にわたる強固なOEMパートナーシップを構築しており、NetAppのNASの約40%が富士通から提供されている。館野氏は、「サポートの充実度から鑑みても、『NetApp+富士通』体制でお客様に安心を提供できる」と自信を見せる。

セッションにはハイブリッドクラウド環境の構築を考えている参加者はもちろん、クラウド運用管理に関する情報収集を目的とした参加者も足を運んだようだ

オンプレミスとクラウドの"よいとこ取り"をしたハイブリッドクラウドの導入は、今後、加速度的に増加するだろう。そのような状況下において両者をシームレスに運用/管理できるプラットフォームは、大きなアドバンテージとなるはずだ。

最後に館野氏は、「MetaArcは、われわれがこれまで培ってきたノウハウ・ナレッジが結集したプラットフォームだ。オープン技術の採用とパブリックからオンプレミスまでを同一アーキテクチャーで実現したことにより、イノベーションへの迅速な対応が可能になった。お客様のビジネスを加速させるプラットフォームとして、ぜひ導入を検討頂きたい」と聴衆に訴えた。


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