ハイスペックパーツを搭載し、ストレスのないゲームプレイを提供するゲーミングPC。しかし高いパフォーマンスを維持するためには、ただ高性能のパーツを導入すればいいだけではない。各パーツを問題なく動作させ、そのスペックが持つ性能を維持するためには、温度を一定に保つエアフローが必須となる。かといってエアフローの向上のために、いたずらに高速なファンを搭載してしまうと、今度はその騒音が不快の原因となってしまう。限られたスペースでの静音性と冷却性能のバランスは、PCが抱える長年の課題だ。そこで今回はTSUKUMO(ツクモ)のゲーミングPCブランド「G-GEAR」のラインナップの中でも、とりわけ省スペースな「G-GEAR mini」にて静音性と冷却性能を確認していこう。

多数の製品ラインナップを備えたツクモのゲーミングPCブランド「G-GEAR」の中で、最も省スペースなモデル「G-GEAR mini」

G-GEARも参入したコンパクトゲーミングPC市場

ゲーミングPCの中でも、昨今多くのメーカーが製品を投入し、盛り上がりを見せているジャンルがコンパクトゲーミングPCだ。ゲーミングPCといえば、ミドルタワー以上の大型ケースに大きなCPUクーラーを搭載した製品のイメージが強い。しかし、マザーボードにオンボード搭載されるデバイスの増加により、拡張スロットの使用頻度が低下。さらにCPUやGPUの省電力機能の発達により、Micro-ATXやMini-ITXでゲーミングPCを構築することも容易となった。

実際に、マイナビニュースも含めメディアで紹介されるコンパクトゲーミングPCの数は増加している。いずれもミドルクラス以上のグラフィックスカードやSSDなど、高性能なパーツを搭載しているため、ベンチマークテストで確認できるパフォーマンスは申し分のないものだ。しかし、搭載されているパーツを見れば性能は想像の範囲内。むしろ、みなさんが気になるのは「本当にそんな小さな筐体で、静かに、パフォーマンスの低下なくゲームが遊べるの?」という点だろう。そこで今回は、「G-GEAR mini GI7J-B64/T(カスタマイズモデル)」にて、静音性と冷却性能をパフォーマンスと共に検証したい。

ツクモ「G-GEAR」ブランドのコンパクトゲーミングPC「G-GEAR mini GI7J-B64/T(カスタマイズモデル)」

最新のSkylake世代に移行したゲーミングPC「G-GEAR mini 」

コンパクトゲーミングPC「G-GEAR mini GI7J-B64/T(カスタマイズモデル)」は、Mini-ITXフォームファクタのマザーボードを主軸とした小型サイズが最大の特徴。ケースについては「【特別企画】小さくてもすごいコンパクトゲーミングPC「G-GEAR mini」新型mini-ITXケースを徹底確認!」にて詳しくお伝えしているので、今回は新CPUと対応したマザーボードへと刷新されたハードウェアスペックを中心にお伝えしていこう。

Mini-ITXマザーボードを採用し、高さを30cmに抑えた「G-GEAR mini」。フロントパネルにはメッシュ加工が施されている

フロントパネルの右下には、電源ボタンとアクセスランプ、ヘッドフォン出力、マイク入力、USB 3.0端子が設置されている

ケース左右側面、そしてトップパネルいずれもメッシュ加工となっており、通気性はこれ以上ないほど高い。むしろ騒音面に懸念がありそうだ

CPUは、SkylakeことIntel第6世代CoreプロセッサーシリーズのCore i5-6500。4コア/4スレッドにて動作し、定格動作クロックは3.2GHz。ターボ・ブースト機能により最大3.6GHzまで上昇する。Skylakeシリーズは、昨今の円安事情とCPU自体の価格上昇により、CPUにかかるコストが高めとなっている。そんな中、コストを抑えつつもゲーム用途ではCore i7に引けを取らないCore i5を搭載している点は、非常にバランスがいい。マザーボードは、Intel H110 Expressを搭載したMini-ITXフォームファクタのASUS H110I-PLUSを採用。メモリは最新のDDR4-DIMMとなり、4GB×2、計8GBを搭載している。

CPU-Zで確認したSkylake世代のCPU「Intel Core i5-6500」。最大3.6GHz付近まで動作クロックが上昇する

メモリは最新規格であるDDR4-DIMM。Samsung製のDDR4-2133を4GB×2、計8GB搭載している

ケース背面とバックパネル。I/O構成はPS/2ポート、USB 2.0×4、USB 3.0×2、ギガビットLAN、HDオーディオとなる。グラフィックスカードが搭載されているため、CPU内蔵グラフィックス出力はシールで封がされている

グラフィックスカードはNVIDIA GeForce GTX 960。消費電力を抑えつつも、2世代前のハイエンドGPU・GeForce GTX 680と同クラスのパフォーマンスを実現した、ミドルレンジの鉄板モデルだ。ここ1年で急激に増えてきた4Kディスプレイなどの超高解像度環境では苦しい面も見られるものの、ゲームにおける標準的な解像度であるフルHDクラスにおいては価格を超える性能を見せてくれる、ハイコストパフォーマンスGPUといえる。

グラフィックスカードはNVIDIA GeForce GTX 960。デュアルファンを搭載したZOTAC製の2GBモデルが搭載されていた

GPU-Zで確認したところ、動作クロックはリファレンスモデルに比べ+52MHzオーバークロックされている

最新スペックを搭載してパワーアップしたG-GEAR mini。次のページでは、ベンチマークテストを行いつつ、実際に静音性と冷却性能を検証していこう。