校内ネットワークの刷新にあたり、最初に取り組んだのは教職員向けとコンピューター室の有線接続のPCの管理だ。セッション数の課題に根本的に対応するために、2012年にルーター「RTX1200」とL2スイッチ「SWX2200」を導入した。RTX1200とSWX2200を合わせて利用することで、ネットワークを安全に分離して簡単に管理するタグVLAN機能や、ネットワークに導入した機器をポート単位のステータスまで可視化してGUIベースで管理できるスイッチ制御GUI(L2MS)機能が利用できる。性能の高さだけでなく、管理性の高さも評価したという。

導入しているヤマハ製ルーター「RTX1200」(左)と「RTX810」(右)

管理性の高さについて、赤木氏は、こんなエピソードを明かす。

「びっくりしたのはRTX1500のコンフィグをRTX1200にコピーしてほぼそのまま使えてしまったことです。ネットワーク機器の多くはベンダーが同じでもモデルが変わるとコマンド体系から変わることが多いです。実際、リプレースの際に一から設定を組み直したことが何度もありました。同じ設定を継承できるというヤマハの設計思想にいい意味で驚きました。サポート体制についても、旧モデルのRTX1500にファームウェアアップデートが継続して提供されていて、ユーザー思いだと感じた。それで『もう、この会社で行こう』とファンになってしまったんですね」

茗溪学園のネットワーク構成

2012年には、iPadを数台試験導入し、授業でどのような使い方ができるかの検討を開始。それにあわせて無線LAN環境の導入にも着手した。

導入した無線LAN機器は市販の安価な製品だったが、クライアントの台数が増えていくにしたがい、有線LANのときと同じように、ネットワークが不調になるという症状に見舞われ始めた。また、寮でPCやタブレットを使いたいという生徒のニーズに応えるために無線アクセスポイントを設置したが、近隣で無線LANを設置する家庭が増えるにともない、無線ネットワークがつながりにくくなっていた。

そこで、2013年にコンピューター室のPCをWindowsタブレットにリプレースをするタイミングで、利用規模にあった無線LAN機器を導入することにした。無線LANアクセスポイントと無線コントローラー製品について、いくつかのネットワークベンダーの製品を検討。赤木氏は、製品選定のポイントについて、次のように話す。

「こだわったのは50台という数字です。1クラス約40人で授業を行う場合、教員も含めていちどに50台が接続しても問題がでないことが絶対的な条件です。1台でもつながらない場合、それだけで授業になりません。この価格帯で『50台でも問題はない』と断言してくれたのはヤマハだけでした」(赤木氏)

また、無線機器にアンテナがついていると、ジャンプしてつかもうとする生徒やボールなどがぶつかって曲がったりする危険があるため、アンテナ内蔵型が求められるといった教育現場ならではの条件もあった。コストや管理性などを総合的に判断し、最終的に、導入したのは、無線アクセスポイント「WLX302」だった。

体育館(左)や廊下(右)に設置された無線LANアクセスポイント「WLX302」

WLX302は2.4GHzと5GHzの周波数ごとに50台ずつ、合計100台までの無線接続が可能だ。アンテナ内蔵型で、RTX1200やSWX2200と連携することで、専門知識がない担当者でも、機器の一元管理を遠隔から行ったりできる。また、無線LANの電波状況を可視化する「見える化機能」を活用して、無線状況を簡単に把握できる。

まず、2014年3月から、コンピューター室のWindowsタブレット50台を1台のWLX302で運用を開始し、順次、廊下や体育施設などに設置場所を拡大させてきた。

コンピューター室