ベンチマーク結果は控えめながらも前モデルからはパワーアップ
続いては、WN892のベンチマーク結果について紹介しよう。まずはじめにお断りしておきたいのだが、WN892は高性能PCのようにあらゆる作業をサクサクこなせるモデルではない。メールやネット、ちょっとした文書作成や動画の視聴といったライトな作業向けのタブレットだ。PCとしての基本性能は心もとない結果が出ているが、Windows 10用アプリを活用するなら十分実用的に使える性能を持っている。
Windowsシステム評価ツールの結果(Windowsエクスペリエンス インデックス)では、以下の表のとおりとなった。前モデルWN891と比較すると、CPUとメモリのスコアは微増しているが、ストレージはやや低い結果が出ている。なおWN892でゲーム用グラフィックスのスコアが記載されていないのは、Windows 10でDirect3Dのテストが正常に行われためだ。
Windowsエクスペリエンス インデックス(WinSAT.exe) | ||
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型番 | WN892 | WN891 |
CpuScore(プロセッサ) | 6.1 | 5.9 |
MemoryScore(メモリ) | 5.5 | 5.5 |
GraphicsScore(グラフィックス) | 4.2 | 4.1 |
GamingScore(ゲーム用グラフィックス) | - | 4 |
DiskScore(プライマリハードディスク) | 6.9 | 7.15 |
CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R11.5」でも、前モデルと比べて各スコアが微増している。Bay Trail世代のAtom Z3735FからCherry Trail世代のAtom x5-Z8300に変わったことで性能はアップしているが、劇的に向上したというほどではないようだ。
ストレージのアクセス速度を計測する「CrystalDiskMark」では、シーケンシャルリード(Seq Q32T1)で148.0MB/秒という結果が出ている。標準的なHDD(100MB/秒前後)よりは速いものの、シーケンシャルライトは47.064MB/秒とやや遅い。だがWindows 10の快適さに影響する4KランダムアクセスのスコアがHDDよりはるかに高いので、体感速度的には悪くはないだろう。
総合的な性能を計測する「PCMark 8」は、以下のとおりだ。スコアはそれほど高くはないが、意外に健闘しているといっていいかもしれない。各結果の詳細を見てみると、やはり高いCPU性能を要求するテストで低めの結果が出ているようだ。
しかしこれは裏を返せば、負荷の低い処理なら問題なくこなせることを表している。実際にベンチマークの結果でも、Webページの表示テストやビデオチャットの再生テストでは悪くない結果が出ている。
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日常的な作業の快適さを計測する「PCMark 8」の「Home conventional 3.0」ベンチマーク結果 |
ゲームやクリエイティブ系ソフト使用時の快適さを表わす「PCMark 8」の「Creative conventional 3.0」ベンチマーク結果 |
ベンチマーク中のCPU温度や動作周波数を確認すると、熱が上がり過ぎないように細かく調整されていることがわかる。特に負荷の高い処理ではCPUの温度が70~80度まで上がることもあるが、動作周波数を一時的に低くすることで発熱を抑えているようだ。そのぶん、パフォーマンスに影響している可能性はあるかもしれない。
3D性能を計測する「3DMark」の結果は、さすがに低めだ。残念ながら、3Dゲームを快適に遊べるほどのパワーは持っていないことがわかる。だがWN892は本来ゲームプレーを目的としたタブレットではないので、この結果はやむを得ないところ。むしろ、もっとも負荷の高い「Fire Strike」(DirectX 11相当)のテストまで問題なく完走している点を評価したい。
「BBench」を使って実際のバッテリー駆動時間を計測してみたところ、満充電の状態から6時間25分でバッテリー残量が2%に達し、休止状態へ移行した(Windows 10の電源プランは標準の「バランス」)。カタログ上の駆動時間は5.75時間(5時間45分)なので、公称値よりも40分長く駆動していることになる。バッテリーがこれだけ持つなら、モバイル用途でも1日は問題なく使えるだろう。