早めの対策が必要だと知りつつも、現実にはどうしても後回しになりがちな"相続問題"。実際のところ、他の人はどのように考えているのだろうか?

マイナビニュースにて、このほど30代・40代の社会人の男女300人を対象に行ったアンケートでは、「相続に関して考えたことがある」と答えた人は28.7%。さらに、「相続について両親と話したことがある」という人はわずか15.7%に留まる。「相続に関する対策をしたい」と考えている人が74.5%であるのに対して、実際に対策をしている人は19%と少ない。

Q.相続に関して考えたことはありますか?

そして、対策をしたいと思っていながらも実際には行っていない代表的な理由としては次のようなものが挙がった。

■「何をしたらいいかわからない」(男性/38歳/通信/技術職)
■「まだ祖母も存命なので、先に親の話をする雰囲気ではない」(女性/34歳/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
■「進めるには親の協力がいる」(女性/30歳/人材派遣・人材紹介/秘書・アシスタント職)
■「まだ親が死ぬことが身近に感じない」(女性/30歳/電機/営業職)
■「遠方なので親となかなか話をする機会がない」(男性/47歳/その他/クリエイティブ職)
■「まだ先のことという感覚がある。それほど高額ではないので特に準備しなくてもいいかなという思いがある」(男性/32歳/学校・教育関連/専門職)
■「兄妹とあまり仲がよくない」(女性/33歳/その他/クリエイティブ職)

一方、「相続に関する対策の必要性を感じている」という人は47%。過半数を超える人が相続に関する対策の必要性がないと考えていることになるが、実際のところはどうなのか、気になるポイントを、30代、40代の4人の社会人に集まってもらい、相続相談窓口の相続ハウスで“相続トータルアドバイザー”として活動する、小嶋由佳氏にそれぞれアドバイスをしてもらった。

相続問題は財産がある方だけの問題ではない!

座談会の参加者
Kさん:42歳男性。既婚、子どもなし。都内に賃貸住まい。60代後半の両親と弟が2人。祖父母も健在。実家は大阪で町工場を営む。

Yさん:32歳男性。独身。都内に賃貸住まい。60代前半の父と60代後半の母が都内の持家に在住。既に嫁いだ姉が1人。親戚づきあいがほとんどないが、父方の祖母の遺産の相続が気がかり。子どもがいない叔父がいる。

Iさん:45歳男性。既婚、子どもが2人。配偶者は外国籍。5年前に首都圏にローンで戸建てを購入。60代後半の両親は九州で持ち家のマンション住まい。妹は外国人と結婚して海外に在住。

Sさん:31歳女性。独身。都内に賃貸住まい。60代の両親は大阪の持家に在住。1人っ子。実家はお寺だが、父が住職を継がなかったため、現在は人に貸している。

相続ハウスで“相続トータルアドバイザー”として活動する小嶋由佳氏

――300人に行った今回のアンケートでは、7割以上の回答者が「相続について考えたこともない」という結果でしたが、皆さんはどのように考えていますか?

Iさん:両親は70歳前なので、まだ生きるだろうし、相続について考える必要はないかなと思っています。ただ、いざという時のために話し合っていないと、揉めるのかなと。両親が亡くならない限り、相続問題は発生しないとは思っているのですが、どちらかが亡くなった時、遺された家族でどれくらい配分されるのかとかもまったくわからない状況です。

小嶋さん:確かにそうですね。まだまだご両親が元気だと、相続について考える機会は無いですよね。ただ、ご理解のとおり、事前に話をしておかないと争うことになってしまいかねません。配分方法ですが、両親、お子様2名のケースでは、どちらかが亡くなった場合の相続分は、配偶者が半分で、残りを子どもで分配(1/4ずつ)することになります。実際にはご家族で話がつけば、これにしなければいけないというものではありません。話がまとまらず、揉めて裁判になった場合に、着地の基準になるというものですから、話がまとまれば一人の子どもが全財産を受け取るということも当然、あり得ます。

Iさん:遺言書があればそれでOKということですか?

小嶋さん:はい、そうですね。有効な遺言書があれば、それに従うことになります。遺言書がない場合は、先ほどのような流れになります。

Yさん:私の場合は、祖母の資産の受け取りどころとしては自分が一番末端。祖母自身は「ちゃんと相続用にそれぞれ口座を用意して配分しているから」みたいなことを言っているのですが、具体的にはよくわかりません。祖母の兄弟もまだ生きていて、たまにふらっと現れたりする親戚もいます。火種になるとしたら、そのへんになるんじゃないかと心配しています。

小嶋さん:お婆様がご家族それぞれの口座を作ってそこに分け与えているから大丈夫とおっしゃっていることについて、その実態は知らされていないのですか? もし、そうなると、相続税の申告は注意しておいたほうが良いかもしれません。税務調査で、最も指摘されている「申告漏れ財産」のひとつが、相続人が関知していない「亡くなった方本人の名義ではない口座」等です。

Yさんの場合、お婆様の名義ではないものでも、実質的にはお婆様自身がコントロールしている財産であれば、それも含めて相続財産とする必要があります。それをせずに、万が一、税務調査が入った場合には、追徴課税がかかることがありますので、気をつけてください。

実際、80代、90代ぐらいの方でそのようなことを知らずに、対策しているつもりで同じようなことをしている方は少なくありません。きちんと把握して正しい処理を行ってください。

自営業ならではの悩み

Kさん:我が家のように実家が自営業を営んでいる場合はどのようなことに気を付けたらいいのでしょうか?

小嶋さん:会社の規模やタイプによっても変わってくるのですが、例えば、薄利多売で長年やっていて、年々純資産が増えているとします。相続税の計算は、その純資産を元に評価し税額が計算されますから、預貯金がないのに税金が多額になることもあります。事前に納付できる財産が用意されているか否か、かかる税額を把握しているか否かが重要になってきます。事業は、法人格ですか?

Kさん:事業は、株式会社ではないです。

小嶋さん:事業が会社形態ではないということでしたら、その事業を営むにあたり使用している機械や備品、金融機関等からの借入れがあれば、それらの債務も含めて承継することになります。そのあたりも考慮しながらご家族とお話し合いをされるのが良いかと思います。

Kさん:事業としては今後家族で引き継ぐという意志はなく、基本は廃業の方向だと聞いています。ただ、親族経営の会社なんですけど、従業員の人たちが屋号をそのまま引き継いで事業を継続したいという話があれば譲渡するとの話です。

小嶋さん:事業を生前に譲渡するということであればよいですが、もし相続を機に財産や権利を引き継ぐとするならば、それができるのは、配偶者と子どもに限られますから、それ以外の従業員の方等が引き継ぐ場合には、遺言書等が必要になります。相続を待たずに生前で事業を承継されるか否かについては、税金や取引先、金融機関も含めて検討することをお勧めします。この機会に実家の事業をどうするのか、改めてお話しいただき、その流れで相続についてもお話ができれば良いですよね。

一人っ子でも対策するべき

Sさん:私の場合、1人っ子なので別に考えなくてもいいかなと思っていたんですけど、お話を聞くと生前贈与しておかないと税金を多く払うことになったり、それでせっかくある実家の持家を手放すことになったりとかしそうだなと思って、ちょっと不安になってきました。

小嶋さん:相続のことは、財産がある方だけの問題ではなく、どなたでも一度は考えておく必要があると思います。何もせずに、うちは大丈夫と決めてしまうのが一番怖いです。相続対策が必要な方は限られるかもしれないですが、相続自体は、全員必ず起こります。家族と話をしておらず、相続が起こってから、ちゃんと対策をしておけばよかったと気付いても遅いのです。できることなら、対策の必要がないかどうかだけでも確認しておいた方が良いと思います。

Yさん:でも、話し合いをするにも、まず何から話せばいいのかって、正直わかんないんですよね。財産の分け方というよりも、まず財産の把握ですか?

小嶋さん:本当はご両親が今のうちに財産の一覧表を作ってくださると一番ですけどね。まずは、一度、ご家族を交えて話をしてみてください。

Yさん:怖いですよね。遺産って引き継ぐお金は、もともとなかったものだと思えば、例えば5,000万円が2,000万円になっても痛くはないじゃないですか。でも借金だったりとか、不動産を受け継いだ時に、自分が予期していないのに税金が発生してしまったりとか。

小嶋さん:そうですね。持ち出しの税金が発生しないかどうかを確認するためにも、親の財産がざっくりでもわかれば「預貯金がこれだけあると税金がこれだけかかるけど、それを支払うだけの用意はある?」と聞いてみたりできないでしょうか。

3,600万円以上の財産があれば要チェック

Sさん:ちなみに相続税っていくらからガッツリかかるんですか?

小嶋さん:相続税は、基礎控除額を超えた部分にかかってきます。その基礎控除額は、法定相続人の数×600万円+3,000万円です。つまり、簡単に言うと1人っ子の場合(親のうち一方は亡くなっているものと仮定)は不動産も合わせて3,600万円以上、親の財産があると税金がかかってきます。

Iさん:つまり2人であれば4,200万円以上、3人であれば4,800万円以上の相続するものがあると、課税対象になるということですね。

Kさん:そういうのって税務署とかが言ってくるもんなんでしょうか?

小嶋さん:相続税がかかりそうな方には「お尋ね書」というものが届く場合があります。これが、税金がかかるかどうかを検討する機会にはなると思います。ですが、相続税の申告期限は、10カ月です。お尋ね書が届いてから、財産を洗い出して、他の相続人と遺産の分け方を決めて……となると、これに間に合わない可能性も出てきます。最悪の場合、相続税を軽減する特別控除等の特例が受けられない可能性もあります。

Sさん:そういう特例とかは誰かが教えてくれたりするんですか?

小嶋さん:税務署や税理士に確認したりするなど、自分で調べないと誰も教えてくれません。

Yさん:だから、かかりつけの医師みたいに、弁護士や税理士に日ごろから相談できる人がいるっていうのは重要ですよね。

小嶋さん:そうですね。気軽に相談できる人が周りにいると安心ですね。

Iさん:親のことではないのですが、私の妻は外国籍です。妻や自分に何かあったときのために、何か用意しておくべきなのでしょうか。

小嶋さん:お亡くなりになられた方が外国籍だったり、外国に資産を持っていたり、または、相続人に外国籍の人がいたり、外国に住んでいたりする場合、手続きは想像以上に時間もかかり、複雑になることが多いです。例えば、相続の際には関係性を示すために、住民票や戸籍謄本等が必要になりますが、外国籍の方はこれらが無い場合もありますから、念のため事前に確認しておいたほうが安心です。

Iさん:この場合も、遺言書があれば問題ないのですか?

小嶋さん:相続発生後の手続きのことも考えた有効な遺言書があれば、必要書類や印鑑等を最小限で済むようにすることができます。遺言書を遺す場合には、遺産の分け方のことだけでなく、その後の手続きがスムーズに行くような形で、遺したいですね。

このように今回集まった4人のケースだけを見た場合でも、家族によって状況は様々で、専門家からの多くの助言が受けられた。親の死後の相続に不安がある人はもちろん、そうでない人も思わぬ落とし穴があるかもしれないので、年末年始に家族や親類が集まった際に、一度話し合ってみてはいかがだろうか。

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撮影:伊藤圭

(マイナビニュース広告企画:提供 相続ハウス)