2015年9月22日、韓国サムスン電子が、同社のコンシューマー向けSSDとしては初めてNVMe 1.1に対応した高性能SSD「Samsung SSD 950 PRO」を発表した。従来のSATA対応SSDを凌駕するパフォーマンスをチェックしてみた。

NVMeは「Non-Volatile Memory Express」の略で、NANDフラッシュに最適化したストレージプロトコルだ。SSDのインタフェースにおける物理層は、SATA 2.0からSATA 3.0、PCI Expressと進化してきたのに対し、プロトコルはHDD時代に作られたAHCIのままだったが、AHCIではランダムアクセスが高速なSSDの性能をフルに発揮できない。AHCIでは、キューの数が1、そのキューに詰め込める命令数は最大32だったのに対し、NVMeではキュー数が最大65,536、命令数も最大65,536と大幅に増加しており、より効率のよい転送が可能になる。

Samsung SSD 950 PROのパッケージ

M.2 2280準拠で、PCI Express 3.0 x4に対応

Samsung SSD 950 PROは、M.2フォームファクターに準拠しており、インタフェースはPCI Express 3.0 x4に対応している。M.2では、長さと幅が異なるいくつかの規格が定められており、Samsung SSD 950 PROは幅が約22mm、長さが約80mmの「2280」と呼ばれる規格に準拠している。

Samsung SSD 950 PROの表面

Samsung SSD 950 PROの裏面

搭載するNANDフラッシュメモリは、サムスンの第2世代MLC V-NANDだ。コントローラは新開発の「Samsung UBX Controller」で、キャッシュメモリは512MB LPDDR3 DRAMを搭載する。容量は256GBと512GBの2モデルが用意されており、256GBモデルのシーケンシャルリード速度は最大2,200MB/秒、シーケンシャルライト速度は最大900MB/秒、512GBモデルのシーケンシャルリード速度は最大2,500MB/秒、シーケンシャルライト速度は最大1,500MB/秒と非常に高速だ。

ランダムアクセス性能も高く、256GBモデルの4KBランダムリード(QD32)は最大27万IOPS、4KBランダムライト(QD32)は最大8万5,000IOPS、512GBモデルの4KBランダムリード(QD32)は最大30万IOPS、4KBランダムライト(QD32)は最大11万IOPSと、従来のコンシューマー向けSSDをはるかに上回る。書き換え可能な総容量(TBW:Total Byte Written)も、256GBモデルが200TB、512GBモデルが400TBと大きく、保証期間も最長5年間と長い。今回は、Samsung SSD 950 PROの256GBモデルを試用する機会を得たので、早速その性能を検証してみた。

■V-NAND SSD 950 PRO M.2 NVM Express
256GBモデル(MZ-V5P256BW) 512GBモデル(MZ-V5P512BW)
フォームファクタ M.2
インタフェース PCI Express Gen3 x4
プロトコル NVMe 1.1
NANDフラッシュ 第2世代Samsung V-NAND(128Gbit/1チップ)
コントローラ Samsung UBX
キャッシュメモリ Samsung 512 MB LPDDR3 SDRAM
TRIM
S.M.A.R.T
暗号化サポート AES 256bit
シーケンシャルリード 2,200 MB/秒 2,500 MB/秒
シーケンシャルライト 900 MB/秒 1,500 MB/秒
ランダムリード(4KB・QD32) 270,000 IOPS 300,000 IOPS
ランダムライト(4KB・QD32) 85,000 IOPS 110,000 IOPS
ランダムリード(4KB・QD1) 11,000 IOPS 12,000 IOPS
ランダムライト(4KB・QD1) 43,000 IOPS 43,000 IOPS
平均消費電力 5.1W 5.7W
最大消費電力 6.4W 7.0W
アイドル時 70mW 70mW
Device Sleep Mode
TBW(Total Byte Written) 200TB 400TB
保証 最長5年
※シーケンシャルアクセスとランダムアクセスは最大値
※保証期間について。最長5年、または、TBWのしきい値に到達した段階の、いずれか短い期間となる