1人で金属加工の全てが行える職人が石膏カラー3Dプリンターを採用

赤沢製作所は、徳島県で金型の設計・制作などをはじめとし、各種金属加工などを手がける企業だ。代表取締役である赤澤晃氏が、金型製作会社で10年間修行を積み、1989年に創業。金型制作や金属加工等について、設計段階から仕上げまでを1人でこなせる知識と技術を持った赤澤氏は、地元企業などを中心に活躍している。

有限会社 赤沢製作所 代表取締役 赤澤晃氏

その赤澤氏が、近年力を入れているのが3Dプリンターを活用した造形だ。クリエイターとしてゼロから設計したものを出力する事は少ないが、3Dスキャナーを利用して実在するものをデータ化し、出力することに取り組んでいる。その出力機として採用されたのが、OKIデータ・インフォテック(旧セイコーアイ・インフォテック)の扱う3Dシステムズ社製の3Dプリンター「ProJet 660Pro」だ。

「石膏のカラー出力が可能な3Dプリンターの中で、CMYの3色ではなくCMYKの4色出力であることが大きな魅力でした。3色を使った黒はどうしてもぼんやりとした発色になりますが、CMYKのおかげではっきりとした色が出ます。『石膏カラーの中ではこれだ』と思いました。さらにもう一つは積層スピードが早いことですね」と赤澤氏は選定の理由を語る。

石膏3Dプリンターで何ができる?新しいビジネスを模索

「あらゆる職種の金型、金属加工、製品開発のお手伝いなどを手がけていますが、コストの安い海外へ仕事が流れて行くようになり仕事量は減ってきていました。そこでCAD/CAMの延長線上として3Dプリンターの導入を考えたのです。5~6年前頃の3Dプリンターは仕上がりなどの精度がまだまだでしたが、新しいモデルでは精度が上がってきたこともあり、2014年春にProJet 660Proを導入しました」と赤澤氏は語る。

「従来の仕事から考えれば工業用品を作ることを考えますから、樹脂プリンターの導入を考えていました。しかし工業技術センターで樹脂3Dプリンターの出力サービスのような使い方を始めており競合することがわかったのです。価格競争では勝てるはずもないと考え、石膏3Dプリンターに方向転換しました。石膏3Dプリンターの用途を調べると色々な職種に参入が可能である事が大きくプラスになる」と赤澤氏。

地元出身の少女漫画家である竹宮惠子氏が作った塑像を指跡もそのままに成型

現在、置かれている作品例の多くは実在の人物を小型化した人体造形、塑像を写し取ったもの、地元企業のイメージキャラクターを立体化させたストラップなど、ホビーやアートといった分野のものだ。これらからは、工業製品向きの樹脂3Dプリンターではなく、フルカラー出力のできる石膏3Dプリンターで何ができるのかを考え、ビジネスを育てつつある様子がうかがえる。

出力データ作成の難しさに試行錯誤

もともと赤澤氏は、金型加工等を手がけてきたことから3D CAD、CAMについての十分な知識を持っていたため、ゼロから覚えるよりはるかにスムーズな導入であったことは想像できる。しかしその赤澤氏をもっても、3Dプリンターは難しいという。

「鉄鋼用のデータとは互換性がありませんし、作る品物にもよりますが、かなり難しいですね。3D CADのデータさえあればすぐに出力できるわけではないし、3Dスキャナーで取り込んだものもそのままではなく補正が必要です。ただ、『そのままだとこんなに不格好だけれどこうやって補正します』と苦労を見せて説明するのは何か違うと思いますし、やりたくないですね」と語る赤澤氏。

一般的に3Dプリンターと聞くと簡単に立体造形を作ることが出来るイメージだが、そうではない。かといって大学等で勉強をし、ある程度PC内での造形を行える人ならば簡単に製作できるのかというとそうでもないようだ。

「近隣大学の先生に相談したところ、最初は自信満々だったのですが実際に作業をしようとしてみると現場で使われている機材などの知識も不足していましたし、持ち込まれたデータもそのままでは3Dプリンターで出力はできないものでした。画面上では一見綺麗にできているのですが、そのまま出力しても形にならないものや、おかしな形になってしまうデータだったのです。今ではその先生の技術相談も非力ながら乗っています」と赤澤氏は語る。

学校で習い覚えた知識が現場での即戦力にはならないというのはどの業界でもある話だが、3Dプリンターの活用でもそうだった。現在、赤澤氏とその大学との間では小さな産学交流が行われている。

「私が教えているわけではありませんが、先生を通じて学生たちに現場の知識を伝えてもらっています。彼らが卒業する頃には即戦力になるはずだと先生は請け合ってくれていますから、それが楽しみですね」と赤澤氏は希望を語った。

3Dスキャナーはハンディタイプの「Artec Eva」を利用

取り込んだデータを出力できるものに加工したり色づけを行うのも赤澤氏自身の作業だ

人体造形やキャラクター造形の要望を受けて対応

現在、赤沢製作所では3Dプリンターを使ったサービスメニューを特に用意しているわけではない。企業も含めた地元の人々とやりとりする中で、必要とされるものを都度制作している。まだ研究中でもあり、新規ビジネスとして主軸にできるほどではないようだが、導入した効果は感じられているという。

「これまでとは違う、新しい依頼が増えました。たとえば『ブライダル関連でウェルカムボードを作りたい』『七五三のような家族の行事で記念写真代わりに人体造形を作ってほしい』などの要望、さらに建築物モデルの作成などいろいろやっています」と赤澤氏。

しかし実際にコンシューマーよりの仕事を受ける中では、要求内容や速度に難しいものも多く、対応しきれない場合もあるという。

「人体造形でも人物をそっくり小型化するのではなくて、『三頭身化するなどデフォルメして可愛らしくしてほしい』という要望はよくあります。またイラストから立体化する時に前後左右の画像からそのまま作っているのに、イラストとは雰囲気が変わってしまうこともあります。速度面では、『お葬式に合わせて故人の写真から作ってほしい』『ゴルフが好きな人だったからゴルフをしている姿を参列者の人数分作ってほしい』など言われます。これは造形的にも速度的にも難しいですね」と現場で要求されることの難しさが語られた。

速度面での要求については、3Dプリンターというものに対する理解を得ることで対応可能なラインを決めることができるが、イラストからの造形やデフォルメした人体造形については、赤澤氏は課題として受け止めつつ対応可能な人材の育成に期待を寄せている。

イラストから制作するのに苦労した地元企業のイメージキャラクター

「私はデザイン力がないので、存在するもののコピーしか作れません。しかしコピーにどれだけのコストをかけていただけるのかと考えれば、デフォルメなどへの対応やオリジナル作品が作れることが重要なのはわかります。元々大学に相談したのは、そうしたキャラクター造形ができる人を紹介してほしいというのがきっかけでした。若い人たちが育ってくれることに期待しています」(赤澤氏)

近い将来、赤沢製作所では大学と協力してアンテナショップを出展する予定だという。そこではハンディスキャナーを利用してのスキャンからデータ補正などを学生が行い、3Dプリンターで出力する。学生の技術を磨くとともに、3Dプリンターを一般の人が身近に感じられる場になってくれるだろう。

石膏素材を活かして試作品用や樹脂成形型を制作

また、3Dプリンターを使って造形物の完成品を製作するというのとは違った方向性の取り組みも行っている。それは樹脂製品等を作るための成形型の作成だ。地元企業からの依頼を受け、力のない老人でも開けやすいペットボトルの試作や、冷凍食品トレーの制作を行うための型、地元釣り具店のオリジナルルアーを制作する型などをProJet 660Proの出力で行っている。

「石膏は熱に強いため、真空成形、ブロー成形の試作型としても使いやすく、非常に優秀です。単純形状だと他社がアルミで制作するのとコストはあまり変わらなくなってしまうのですが、複雑になるほどコストメリットが大きく3Dプリンターで作れば迅速に作成できるのが魅力です。ビジネスとしては、こちらの方が可能性はあるかもしれませんね」と赤澤氏は語った。

真空成形試作で使われる石膏型とサンプル品

「ブロー成形にも使いたい。」キャップは石膏で制作

鉛製のルアーであるジグの型

石膏が光を透過することを活かして厚みや色を工夫して作ったLEDを組み込めるランプシェード

「私自身最初に出力した時には、こんなものができるのかと感動しました。お客様もみな、感動してくれます。しかしやっているうちに欲が出てきます。もっと鮮やかな色は出ないのか、もっとおもしろいことはできないのかと考えながら試行錯誤する日々です。ProJet 660Proの活用もまだまだ、これからもっと力を引き出していろいろなことをやりたいですね」と赤澤氏。

赤澤氏とProJet 660Pro

また、近隣企業に3D CADの導入を働きかけて3D出力に対するニーズ向上にも取り組むなどの活動も盛んに行っている赤澤氏。3Dプリンターを活用し活躍を続ける赤沢製作所を、OKIデータ・インフォテックが強力にサポートする。

地元の企業や地場産業とのコラボレーション、徳島に関わりがあるモノづくりなど、こだわりを持った赤澤氏が「ProJet 660Pro」を駆使することで、地元に根付いた3Dプリンター活用に新しい展開が見えてきそうだ。

(マイナビニュース広告企画:提供 OKIデータ・インフォテック)

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