草食男子が市民権を得て絶滅寸前? ともいわれる"ハードボイルドな男"。実際のところどうなのか? 今回はある会社に勤務する年齢の異なる男女3名に話を聞いてみた。

左から洋くん、斉藤さん、珠美さん※名前は全て仮名

洋くん: 斉藤さんの後輩。アラフォーの既婚男子
斉藤さん: 情報系ベンチャーに務める主任営業マンで40代半ば
珠美さん: 斉藤さん、洋くんのチームの新人女性。アシスタントをしている

男が惚れる男

洋くん: "草食男子"が増えすぎて、最近、若い子の間では"ハードボイルド"な男が絶滅危惧種に指定されたとかって話も聞くけど、本当のところどうなの?

珠美: うーん、そもそも"ハードボイルド"って言葉自体、あんまり聞かないかも……。なんとなくはわかりますけど、そもそも定義すると“ハードボイルド”って何なのでしょう?

斉藤: イメージで言うと、感情は表に出さずとも、心の奥深くには熱く煮えたぎるものを持ち、誰に屈することもなく、意志を貫き、黙々と自らやるべきミッションを遂行する、孤高のタイプという感じ?

珠美: 私はなんとなくわかるかも。確かにカッコイイですね! 女子から見ても、なんか影があって、つい気になる存在。でもそんな人周囲にいます?

洋くん: 現実には少ないね。でも、映画とかドラマとかでそういうキャラクターがいるじゃない?

珠美: 例えばどんな人ですか?

斉藤: オレの中では、ハードボイルドと言えば、断然松田優作だよ。とりあえず、「太陽にほえろ!」にジーパン刑事として初めて登場したときには、その存在感だけでも圧倒されたもん。

洋くん: 僕には刑事なのにやたら走っていた記憶が。長身なので、アクションシーンの印象は特に強いです。

斉藤: ただ、ハードボイルドって勢いだけじゃない気がする。豪傑さの裏に、ものすごくナイーブだったり、心優しい一面が見え隠れしたりして、単なる荒くれ者じゃないんだって、その心の奥底に隠された“何か”に気付いたときに、"男の美学"を感じ取らない?

洋くん: あぁわかります。知性をひけらかすだけなら誰だってできるんだけど、そう感じさせない男こそ、スマートだなぁって思います。知性だけじゃダメなんだよね。野性味も欲しい。そういうのを全部バランスよく“持ってる”と男から見ても「本物!」って感じがする。

珠美: 確かに、男が惚れる男こそ、"真の男"って言いますしね。優しいだけなら簡単、強いだけでも簡単だけど、両方持っている人に魅かれますねー。

洋くん: "男が惚れる男"はマンガだと、あしたのジョーの矢吹丈、力石徹もそうだね。あとルパン三世の次元大介、北斗の拳のシュウやラオウも入ってくるなー。

斉藤: そうだなぁ。特にジョーの「燃えたよ、燃え尽きた、真っ白にな……。」という場面は何度見ても心が震えるな。

松田優作の魅力はどこだ

洋くん: 松田優作と言うと僕にとっては、やっぱり「探偵物語」の印象が強いかな。あの独特のスーツとサングラス、帽子っていう衣装で、タバコを燻らすっていうスタイルは、一歩間違えるとお笑い芸人スレスレのラインだと思う。けど、松田優作のルックスだから、カッコよくキマるんだよね。ダサカッコイイというか。

斉藤: 崩した感じがまたカッコイイっていうのは、真正のカッコイイ人じゃないと無理。少し隙がある主人公だと、ジョニー・デップが演じたジャック・スパロウもそうで、普段は意味不明な発言や行動だけど、危機に陥ると天才的な発想でトラブルを乗り越える。あの不思議な存在感はたまらないな。

斉藤: あとハードボイルドは"ニヒル"であることも重要かなぁ。でも、そういうイメージってどうしてもスカした嫌味な感じにも映ってしまうんだけど、それを愛嬌を見せつつもスマートに演じさせたら、日本では今でも松田優作の右に出る人はいないんじゃないかな。

珠美: そういう意味では、風貌とかスタイル以上に、"生き様"でもあるのかな。

斉藤: ハードボイルドでは、"伝説"的要素も必要じゃない? 故意の場合を除いて、誰も人間の生死までは決められないからね。それを人気と実力の絶頂期に、姿を消すというのは、それだけでみんなの心にも強く残る気がする。

洋くん: それでいうと、ブルース・リー、ジェームス・ディーン、日本だと石原裕次郎、高倉健、菅原文太、勝新太郎にも“伝説”的要素を感じますよね。

珠美: そっか! 勝新太郎といえば、パンツ伝説!!

洋くん: それは別の伝説(笑)

斉藤: ……(真面目な話に戻そう)系統が異なるけどJFKも入らないかな? 彼のスタイリッシュなスーツの着こなし、アイビーリーグの象徴であると言わしめた、休暇中のカジュアルスタイル。その着こなし、発言、行動力、存在感など全てに憧れるよ。

イマドキの俳優だと誰だ?

珠美: ちなみに今活躍している俳優で言うと、誰がイメージに近いですか?

洋くん: 浅野忠信とか、伊勢谷友介とかかなぁ。オダギリジョーもハードボイルドっぽさがあるかな。でも1人じゃ全然言えないかも。彼らも現代的なハードボイルドな役者さんだと思うけど。あとマンガだと、ルパン三世やゴルゴ13は近いかも。ちなみにルパン三世はテレビシリーズ初期の 緑ジャケット時期ね!ここ大事だから!

珠美: 細かいですねー。洋先輩の拘りも相当ですね!

洋くん: ハードボイルドの定義とかイメージってそもそも時代とともにやっぱり移り変わるものなんじゃないかな。その時代なりのハードボイルドなキャラクター像ってないかな?

斉藤: 確かに、ハードボイルド像って、単純に昭和と平成で分けてみても違いはあるかもね。

洋くん: 昭和型で純和風なハードボイルドで言うと、代表格はやっぱり高倉健と渡哲也?

珠美: 角刈りが似合う?

洋くん: そこじゃないでしょ! (笑)ファッションやヘアースタイルは、時代の流行というのもあるもんだし。どっちも無骨で雄弁じゃないっていうのが共通項かな。

斉藤: 昭和型の和製ハードボイルドスターっていうのは、寡黙な印象があるかな。"黙して語らず"な存在が多い気がする。

洋くん: "背中で語る"ですね(笑)。僕には無理だなー

斉藤: 俺も無理だわ(苦笑)でも彼らのここぞっていう正念場で魅せる戦闘能力がスゴイ。自らの使命のためには、狂気を発するほどに燃え上がる。「その情熱、どこに秘めてたん?」って圧倒されるよね。

洋くん: しかも、日ごろから知識もスキルも全然ひけらかしたりしないのに、突然豹変するから、見ているほうも油断しますね(笑)。

斉藤: まぁ現実社会において、なかなか自分を貫くっていうのは難しいと思うんだけど、その実現しない理想を自己投影してしまう部分もあるのかもしれない。だから、映画やドラマ、小説やマンガなんかの虚構の世界の中で、ハードボイルドに身を馳せるのかもしれない。

仕事人の中村主水はハードボイルド?

珠美: 時代劇でハードボイルドって言うとズバリ何が当てはまると思いますか?

斉藤: 「必殺仕事人」の中村主水や「眠狂四郎」とかどう? 洋くん?

洋くん: そうですね、中村主水は職場では"昼行灯"と影口言われるのに、いざ「殺しの依頼」になると、急に“仕事人”っていうか職人になってすごい能力を発揮する。「必殺仕事人」のオープニングで語る「それで今日は、何処のどいつを殺ッてくれとおっしゃるンで……?」は淡々とした普段の言葉遣いの中にある種の凄みを感じさせます。中村主水にもハードボイルドな面を感じません?

斉藤: 職人気質な人に多いかもね。愚直に職務・使命に邁進する。中村主水の台詞で「人を助けるにしちゃ、俺たちゃ少し汚れすぎてるわなぁ。」とこぼす場面がある。この人生を諦観したスタイルはハードボイルドかなー。

洋くん: 果たして本当にスゴイ奴のかダメな奴なのかわからない。言い方悪いけど、紙一重。ギリギリ、スレスレな感じもハードボイルドと言えるかな。

珠美: そういうタイプだったら、結構周囲にいるかも。

洋くん: 似非ハードボイルドには用心だね。まずは、映画とかドラマ見たりして、本物のハードボイルドを勉強するべきかな。

本物のハードボイルドを学べるバイブルはこれだ!!

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photograph = Yui Kanai

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