フォトグラファー 魚住誠一(うおずみせいいち)氏
1963年愛知県生まれ。スタジオアシスタントを経て94年に独立。一般誌、女性誌、音楽誌、カメラ専門誌など幅広く活動中。2007年より毎年夏に渋谷ギャラリールデコにおいて自身主催の合同写真展「ポートレート専科」を開催中。詳細プロフィールはオフィシャルホームページにて

HDDを圧倒的に凌駕する優れたアクセス速度と高い耐衝撃性や消費電力の少なさにより、近年ストレージの主役に躍り出たSSD。容量当たりの単価はまだまだHDDよりも高価だが、OSやアプリケーションの起動速度を大幅にスピードアップさせられるため、現在のところシステムドライブ用としての採用が多い。しかし昨年ごろからその状況が大きく変わってきている。SSDの大容量化が進行することで、HDDのような感覚で大容量のデータを保存できるSSDが増えてきているのだ。

そんなSSDの高速化、大容量化によって恩恵を受けている職業分野のひとつが、カメラマンだ。プロのカメラマン、魚住誠一氏は、早くからSSDを撮影現場に導入した一人。2年前にもマイナビニュースで導入事例を紹介している。そんな魚住氏が、このたび発売されたSamsungのポータブルSSD「Samsung Portable SSD T1」をさっそく導入したという。その使い勝手について、お話を伺ってみた。

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―― 以前から撮影現場でSSDをお使いだと伺いましたが、どういった理由で導入されたのでしょうか

私はこの通り普段MacBookを使用しているのですが、最近のノートPCのストレージはSSDが主流ですよね。アクセス速度が向上した半面、本体に保存できるストレージ容量が少なくなっています。動画やスチル写真はファイル容量が大きいため、ある程度保存するとすぐに容量が埋まってしまうわけですね。

ですから、そういったデータを保存する外付けストレージが必要となります。SSD導入前はHDDを使用していましたが読み書きが低速ですし、サイズも大きくてかさばっていました。また精密機器ですので取り扱いにも気を使わなければいけません。当時SSDはHDDよりも遥かに容量が少なかったのですが、こういったHDDのデメリットが解消できるため、すぐに導入しました。

―― 新たにポータブルSSD「Samsung Portable SSD T1」を導入されたとのことですが、使用感はいかがですか

いやー、小さすぎますね、これ。ポケットに入れたまま洗濯をしないように気を付けないといけないですね(笑) いままで外付けケースに入れていた2.5インチSSDの、さらに半分の大きさですよね。このサイズで容量が1TBなのだからすごい。ポケットに入る大きさなのに、何日分かの撮影データがすべてバックアップできるんです。自分で撮影したハイビジョン動画を実際に再生してみたのですが、すぐにファイルが開けますし、まったくコマ落ちすることなくスムーズに再生できます。これがUSB2.0で接続したHDDだとしたら、コマ落ちしてカクカクと動いちゃうじゃないですか。この製品はそういった気持ちの悪さが無く、アクセス速度には本当に不満がありません。

「Samsung Portable SSD T1」1TBモデル。取材では、魚住氏のMacBookに同製品を接続し、撮影データを見せていただいた

―― ポータブルストレージへの普段の書き込み頻度はどの程度ですか

そんなに頻繁に書き換えるということは無いですね。最も活躍するのは、例えば海外や沖縄などにロケに出ているときのバックアップ用途でしょうか。その日の撮影が終わった後に、データをすべてコピーするのですが、HDDをSSDに変えたことで体感速度は倍以上になりました。撮影が終わってから、ご飯を食べに行くまでの時間が大幅に短くなりましたよ(笑)。うっかりバックアップを忘れて早朝に作業をしても、朝ご飯を食べている間に終わっていた位です。SSDが出始めたころは容量当たりの価格が非常に高価でしたが、値段以上の恩恵があったと思います。なによりも高価なのは時間ですからね。