ついに今年も新たなシーズンが始まる時期がやってきた。卒業や転居、異動などにより今までとは違う生活が始まる方も少なくないことだろう。そんな新生活に合わせ、PCやモバイル機器を新調された方も多いと思う。パソコンのみならず、最近ではスマートフォンやタブレットの性能も十分向上し、一昔前の機種とはまるで違う快適な動作速度を実現している。しかし、それらのデバイスへのセキュリティについては特に意識していない方も意外といらっしゃるのではないだろうか。デバイスが高速化した今こそ、セキュリティについて真剣に考える時だ。

マイナビニュースでは、そんな個人のセキュリティ対策についてセキュリティベンダーの大手「マカフィー」の協力のもと、マイナビニュース会員300人にセキュリティに関する意識調査を行うと同時に、実際にビジネスパーソンに実情を伺ってみた。まずは東京・新橋駅での取材で得られた何人かのご意見をご紹介しよう。

マイナビニュース会員300人を対象に実施した「セキュリティに関する意識調査」をもとに新橋のビジネスパーソンに突撃

春から新社会人になるAさんに聞く、身近に感じたセキュリティリスク

新橋駅周辺で実態調査。小雨が降っていたため、逆に駅構内には多くの人通りがあった

1人目は、この春から新社会人になるという若い男性だ。ビジネスマナーの学習に余念が無いAさん。新社会人は、どのようなセキュリティ意識を持っているのだろうか。

実地調査1人目としてご協力いただいた、この春から新社会人になる若い男性のAさん

「ビジネスマンといわれるとちょっと困りますね」と謙遜気味だったが、貴重なお話を伺うことができた

―― 普段はどのようなデバイスを使用されていますか?

男性Aさん 「あ、はい。毎日持ち歩いているのは、スマートフォンだけです。それと自宅にちょっと古いんですけどデスクトップパソコンがあります。えーっと、今はノートパソコンを新調しようかどうか迷っているところですね」

―― 「個人で行うセキュリティ対策」といわれて思いつくものは何かありますか?

男性Aさん 「パソコンにはセキュリティソフトをインストールしています。それからIDとパスワードはできるだけ同じものを使用しないように気をつけています。仕事の話ではないんですけど、友人がオンラインゲームのアカウントをハックされたことがあって、セキュリティ問題は遠い世界の話じゃないんだなと思いました」

―― スマートフォンのセキュリティ対策は行っていますか?

男性Aさん 「特に何もしていないです。パソコンで使ってるセキュリティソフトがスマートフォンに対応してなくて……。機種ごとにソフトを用意するほどお金に余裕が無いですし、セキュリティを守るためのソフトに無料のものを使うのも不安です」

普段使用しているスマートフォンを取り出してくれたAさん。かなり使い込んでいる感じが見受けられる

セキュリティリスクの中で、もっとも気にしているのはユーザーID/パスワードの管理だという

オンラインゲームのアカウントがハックされた友人のユーザーID/パスワードがどのような状況で漏れてしまったかは定かではないが、安易なパスワードを設定していたり、メールなどによるフィッシング詐欺で漏えいしてしまったという例も多い。個人の意識で行える対策では限界があるのかもしれない。

仕事で複数のデバイスを取り扱うBさんは、端末の紛失・盗難に不安を感じている

次にお話を伺ったのが、デキるビジネスマン風の男性、Bさん。見るからにデジタルデバイスを使いこなしてそうなBさんだが、セキュリティ面で気になることはなんだろうか?

実地調査2人目は、Windows、Mac、iOS、Androidなど多数のデジタルデバイスを駆使しているというBさん

Bさんは、機密データの取り扱いについて高いセキュリティリスクを感じているという

―― 普段はどのようなデバイスを使用されていますか?

男性Bさん 「いつも持ち歩いているのはスマートフォンとタブレットです。プレゼンで使う予定があったので、今日はノートパソコンも持ってます。これはWindowsですけど、自宅ではMacを使ってますよ。自宅には検証用のスマートフォンもあります」

―― 「個人で行うセキュリティ対策」といわれて思いつくものは何かありますか?

男性Bさん 「OSやセキュリティソフトのアップデートをちゃんと更新することじゃないですかね。あと、ビジネスとプライベートで同じパソコンは使わないとか。仕事で使う書類や情報は、極力会社のパソコン以外で閲覧しないようにしています。とはいえ、それでもそんな会社のパソコンをなくしたらお手上げですよね。実際そういう事件も頻繁におきてますし。こればっかりは自分が気をつけるしかないのではないでしょうか」

当日も、タブレットやノートパソコンなど多数のデジタルデバイスを持ち歩いていたBさん

実際に起こっている事件について考慮している点から、Bさんのセキュリティ意識はかなり高いと予想できる。実際、いくら個人でしっかりデータを管理していても、デバイスが自分の手の届かないところにある状況になってしまっては対応のしようがない。機密データが含まれているデバイスの紛失・盗難は社会人がもっとも心配する出来事だろう。

キャリアウーマンのCさんを直撃「私生活での仕事でのクラウドストレージが欠かせない

3人目にインタビューを行ったのは、キャリアウーマン風の女性。キャリアアップを目指しているというCさんだが、その前向きな姿勢から、私生活の充実さも伺える。仕事と私生活で、セキュリティはどう切り分けているのだろうか?

3人目は、キャリアアップを目指して勉強中というCさん。クラウドを駆使したデータ運用を行っているそうだ

―― 普段はどのようなデバイスを使用されていますか?

女性Cさん 「スマートフォンとノートパソコンです。仕事のデータもプライベートのデータもできるだけスマートフォン一台ですぐに見れるようにまとめてクラウドストレージにアップし、いつでもどこからでもアクセスできるようにしています」

―― 「個人で行うセキュリティ対策」といわれて思いつくものは何かありますか?

女性Cさん 「すぐに思いつくような安易なパスワードを使わないことだと思います。でも私も徹底できてないですね。今ってちょっとしたサービスでもユーザー名とパスワードが求められるじゃないですか。完全に別々にしちゃうととても覚えきれないので、実際にはいくつかの単語と数字の組み合わせを使い回しています」

プライベートもビジネスも、必要が無い限りは基本的にスマートフォン一台で対応できる体制を整えているという

ユーザーID/パスワードの管理は、近年のセキュリティにおいて非常に重要な要素だ。特に日常的にクラウドストレージを駆使しているというCさんにおいては、利便性の向上とは裏腹に、セキュリティリスクも増大しているといえる。しかし管理しなければならないサービスや端末の多さに、個人が対応するのは困難な状況になってきているようだ。

次ページでは、マイナビニュース読者へのアンケート結果を踏まえつつ、現代のセキュリティリスクへの対策を考えてみよう。