「大容量」「高速」「高耐久性」「高い電力効率」という利点を持つ3D V-NAND

―― 改めて、3D V-NANDのメリットは何でしょうか?

岡田氏「3D V-NANDのメリットはたくさんありますが、中でも大きいのは、今後のNANDフラッシュについて、大容量化のロードマップを示してくれたことです。

従来の2D NANDフラッシュを、平屋が集まった住宅地と見立てると、3D V-NANDは超高層ビルになります。これまでは、家と家の間隔を狭くするイメージで大容量化を実現していましたが、間隔が狭くなりすぎると隣家の騒音が聞こえてくるようになってしまいます。この現象をセル間干渉と呼び、プロセスルールが20nm未満になると、セル間干渉が無視できないレベルになってきます(編注:データの信頼性が落ちる)。また、20nm未満のプロセスでは、露光に使う光源を選ぶのが困難になります。」

2次元構造のNANDフラッシュを平屋が集まった住宅地と考えると、3D V-NANDは超高層ビルになる

プロセスルールが20nm未満になると、セル間の干渉が無視できなくなる

岡田氏「この2つの問題を解決してくれるのが、3D V-NANDです。3D V-NANDでは、垂直に多くの層を重ねることで大容量化を実現するため、プロセスルールを微細化する必要はありません。現在の3D V-NANDでは、40nm近くのプロセスルールを使っていますので、セル同士の干渉がなく、露光に使う光源も従来のものを利用できます。

従来の2D NANDでは、1チップあたり256Gbit程度が限界といわれていますが、3D V-NANDなら層の数を増やしていくだけで、1チップあたりの容量を増やせます。ちなみに、現在のNANDフラッシュは1チップあたりの容量が128Gbitですが、3D V-NANDでは、2015年に256Gbit、2017年には1Tbitという大容量を実現する見通しが付いています。」

2D NANDでは、1チップあたり256Gbit程度が限界

3D V-NANDは、垂直方向の層数を増やすことで大容量化が可能。2017年には1Tbitを実現できる見込みだ