世代を超えた仲間たちの励ましがエネルギーとなる。

―― 資格取得の際に課題となったことはありましたか?

坂口: CDA資格の合格のためには、1次試験は筆記、2次試験は口頭での実技が行われます。難しかったのは、2次試験の実技対策。相談者の話を傾聴するスキルが求められるのですが、一人で技術を高めるには限界があります。クラスの仲間たちが互いに面談相手となって、支えあいながら学んでいきました。

誠実な人柄が言葉の端々に感じられた坂口さん

幅口: 私もクラスの同級生たちと勉強をしてきました。CDAの試験はそもそも本屋などに適切な参考書がほとんどないですし、過去問題集も公式には発表されていません。だからこそ、講座の仲間の存在は心強かったですね。

本田: 筆記試験前もクラスの仲間たちと集まって、お互いに情報交換をしていたのをよく覚えています。暗記物の語呂合わせを教え合って、「それいいね」なんて盛り上がったり。


―― 学生時代を思い出すような和気あいあいとした雰囲気ですね。

幅口: 学校と大きく違うのは、上は60代、下は20代と様々な年代が仲間として連携できる点でしょう。同じような経験をしても受け止め方がガラリと異なりますので、新しい視点がどんどん身についていきました。

本田: 合格した後もまだ頑張っている仲間のロールプレイングの練習相手を引き受けたりしたのですが、そうこうしているうちに、新たに受験を目指す新メンバーの試験対策にも協力するようになり、どんどん仲間の輪が広がっていきました。いつまで経っても2次試験対策への協力がやめられないでいます(笑)

幅口: まさに職場では作ることができないかけがえのない仲間ですね。

離職率の低下や仕事の満足度向上に役立てられる。

―― 実際に資格を取得した後に目に見えて効果は出てきましたか?

本田: 社内のキャリア教育の導入ではCDAとしての知見を活かすことができました。部署のメンバーとのたちの個別面談などでも、相手の思いをしっかり深く掘り下げることができるようになったと実感しています。若手の深刻な悩みにもゆったり落ち着いて対応できるようになりましたね。

社内外問わずアグレッシブに活動される幅口さん

幅口: CDAで学んだ傾聴するというスキルを生かすことで、離職率は徐々に下がっていきましたし、辞めていくにしても本人が納得して次の道に進めるように促すことができるようになりました。実際、退職時の面談を行った際、普通は表面的な回答しかしないものなのですが、CDAとして話を聴くと次第に相手の言葉に感情や熱が乗るようになり、最後には「言いたいことが言えてさっぱりした」とスッキとした顔をしていくようになります。

―― 以前と比べると、大きな変化ですね。

幅口: 前は自分の聞きたいことを質問するだけでしたが、CDAとなってからは相手が言いたいことを聴けるようになりました。

本田: まさに傾聴するのがCDAなんですよね。

幅口: 採用においては、内定辞退の減少に繋がっています。キャリアカウンセリングのノウハウを採用面接に導入し、フィット感や納得感を高めることができた効果でしょう。

本田: 確かに新卒採用においても、学生に対してフラットな立場から話をすることで、学生主体で仕事や将来を一緒に考えることができるようになった面はあります。当初の目的だった“学生の就活を支援する採用担当者”という方向性は実現できていると言えるかもしれません。

人に対して、いっそう深いアプローチができるように。

―― 人事労務畑ではない坂口さんは、どのような変化がありましたか?

坂口: 資格取得後、最初は一般的なキャリア開発同様、メンバーたちが将来的にしてみたい仕事、長期的なビジョンを聴くことをイメージしていました。ところが、話し込んでみると実は目の前でぶつかった問題をどう乗り越えるかが、非常に大きな壁となって立ちはだかっていることがわかりました。私の目線ですと問題がないような壁であっても、本人にとっては開発の進捗を妨げるようなこともある。傾聴をすることで今まで見落としていたことに気づくことができるようになったのが収穫でした。

―― 実験などでも役立てられているそうですね。

坂口: 以前は無駄な実験は意味のないことだと思っていましたが、たとえ結果が出なくとも実験をすることで、研究者自身が納得をすることができます。やりたいようにやらせると気持ちが収まって、次のステップに進むことができるというのがわかりました。

幅口: 坂口さんもそうだと思いますが、人に対して深いアプローチができる自信がつきましたよね。

坂口: そうなんですよ。今は開発営業となって、技術側に色々とお願いをすることが多いのですが、相手が何をやっているのか、どういう気持ちで仕事をしているのかを想像して話をするようになりました。確かに深く仕事に入り込むことができていると思います。

本田: 相手の話に対して落ち着いて耳を傾けていると、自分の気持ちにも余裕が生まれてきます。結論を急ぐようなことはなくなり、「世の中には様々な考え方が存在しているのだ」という感覚になりました。CDAという資格を通して、何よりも自分自身の考え方が変わったとひしひしと実感しています。