企業がホスティングサービスやクラウドサービスといった"持たざるIT"のメリットを追求していく過程で、データセンターに対するニーズが多様化・高度化し、それらにこたえる側のデータセンター事業者の間で市場競争が激化している。そうした中、競合他社との差別化要素の1つとして、従来のHDDに代えてSolid State Drive(SSD)を採用したストレージ・インフラを顧客に提供する動きが、先進的なデータセンター事業者を中心に始まりつつある。本稿では、リーズナブルながらもデータセンター/エンタープライズの要件をハイレベルで満たすSSDの最新機種として、日本サムスンの第4世代SSD「Samsung SSD 840 PRO」を取り上げ、その実力と得られるメリットに迫ってみたい。

クラウド時代に大きな役割を担うデータセンター

日本サムスンの岡田圭介氏

企業のITインフラや、その上で稼働する業務システム、アプリケーションを構築する際の有用な選択肢として、ホスティングサービスやその発展形のクラウドサービスが注目されるようになって久しい。その背景には、ビジネスニーズに即した業務システムの迅速な立ち上げや、運用管理にかかる作業負荷やコストの削減などがある。さらに、とりわけ昨今では「ビッグデータ」の活用による高度な分析が模索されるなど、大容量かつ多種のデータをいかにして管理し、ビジネス価値につなげていくかについての関心がこれまでになく高まっていると言える。

そうしたことから、企業の重要な業務データや業務システムを預かるデータセンター事業者の役割は、以前にも増して大きくなった。各事業者とも、ユーザー企業が指向する"持たざるIT"を根底から支えるITインフラとして、リーズナブルな料金ながらもセキュアなIaaS/PaaSやホスティングを提供していく努力を重ねている。この市場について、日本サムスン Memory営業Group 次長 岡田圭介氏は次のように見ている。

「データセンターへの需要や、それぞれのデータセンターに集まるトラフィックは年々増大の一途をたどっています。現在、国内にはデータセンター事業者が約200社以上ありますが、その多くが地価をはじめ運営コストの高い都市型データセンターです。安定的な事業継続のため、どの事業者もサービス品質の向上やリーズナブルな料金体系などで競合他社との差別化を図る必要があり、市場競争は今後さらに激しくなるでしょう」(岡田氏)

データセンターのハイレベルな要件も満たす第4世代SSD「Samsung SSD 840 PRO」

激化する市場を勝ち抜く強力な差別化要素として、現在、サムスンはデータセンター事業者に向けて「グリーン・メモリー/SSD」コンセプトを提唱している。同社が従前より掲げる、データセンターの消費電力削減とシステム処理性能の向上を実現する「グリーン・サーバー」コンセプトの一環として位置づけられ、データセンターのための次世代ストレージ環境を推進するものだ。このコンセプトを具現化する製品が、2012年10月に投入した第4世代SSD「Samsung SSD 840」ファミリーの上位機種「Samsung SSD 840 PRO」(以下、840 PRO)である。

Samsung SSD 840 PRO

データセンターの電力コストは増大する一方であり、大規模であればあるほど重くのしかかってくる。また、一企業がなすべき環境保全の観点から、データセンターのグリーン度を示す指標「PUE値」が、以前より重視されるようになっている。「そうした状況のもと、グリーン・メモリー/SSDを投入するにあたって当社が着目したのが、データセンター全体の約32%を占めるメモリー消費電力の抑制です。低消費電力のDRAM、そしてHDDに代えてSSDを採用することで、大きな効果を得ることができます」(岡田氏)

岡田氏が言う効果の大きさは数字に現れている。最新のSamsung MDXコントローラを搭載した840 PROの消費電力は、市場で評価の高かった前機種「Samsung SSD 830」ファミリーをさらに下回り、動作時で45%、待機時で30%の電力節減が図られている。同クラスのHDD(SASインタフェース/146GB/15,000rpm/6Gb/s)との比較では、79%もの電力節減となっている。

一方で、SSDならではの処理性能ももちろん強化されており、ランダム転送時の処理性能は業界最高レベルの10万IOPS(Input/Output Per Second:1秒間に読み出し/書き込み可能な回数)に達している。また、グリーン性能が重要視される昨今、製品の新たな指標となりつつあるワット当たり性能(IPOS/Watt)で、同クラスのHDDと比較した場合、実に265倍のスペックとなっている。

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