デスクトップパソコンを自作するとなると、ミドルタワーやマイクロタワー型というのがメインストリームだろう。だが、これらのPCケースは設置面積が大きく、置き場所に困ることがある。一方、キューブ型など小型なPCケースを使って自作する場合、モバイル向けや組み込み向けなどの発熱が少ないアーキテクチャが選ばれることが多い。だが、パフォーマンスは当然、デスクトップ向けアーキテクチャに劣る。そんなジレンマを解消してくれるのが、LGA1155に対応したMini-ITX規格のマザーボードである。

難易度は高いが完成時の満足度も高い

Mini-ITX規格は、わずか17cm四方の非常にコンパクトなフォームファクターだ。この規格よりも小さなフォームファクターはまだあるが、それらは組み込みシステム向けと考えてよく、Mini-ITX規格が事実上自作パソコンで利用される最小のフォームファクターであるといってよい。このMini-ITXがにわかに脚光を浴びている。以前は熱設計電力(TDP)の低いモバイル向けや組み込み向けCPUを使ってMini-ITXのパソコンを自作するというのが当たり前だったが、ここ数年は標準的なTDPのCPUを使ってMini-ITXパソコンを組み上げるというユーザーが増えてきたのだ。ということで、ギガバイトのMini-ITXマザーボード「GA-H77N-WIFI」を使ってパソコンを自作してみた。

  

今回使用したパーツ群。PCケースはフットプリントの小さなキューブ型を選択。起動ドライブはSSDという構成だ

自作PCの核となるマザーボードはGA-H77N-WIFI。LGA1155に対応し、WIFIというネーミングのとおり、無線LANモジュールが取り付けられている

Mini-ITX規格のパソコンを自作するにあたり、注意しなくてはならないのが作業スペースがとにかく小さいということ。小型PCケースの中に手が入らない、マザーボードのコネクタに指が届かないといったトラブルが発生しやすい。マザーボードやストレージ類をPCケースに取り付ける前に、接続しておかなくてはならないケーブルがないかをしっかりとチェックしながら組み立てていこう。ミドルタワーやマイクロタワーよりも自作の難易度は高いが、うまく組み立てられれば大きな満足が得られるはずだ。

セオリーどおりまずはCPUとメモリの取り付け

Mini-ITX規格といえども、マシンの組み立てはまずCPUおよびCPUクーラー、メモリの装着から始める。取り付け方もATXやマイクロATXと変わらない。まずソケットのカバーを開いてCPUを装着、その後CPUクーラーを取り付ける。この際、CPUクーラーの電源ケーブルを「CPU_FAN」に必ず接続しておこう。

  

まずCPUソケット横のレバーをはずす

CPUの凹みとソケットの突起がかみ合うようにセットしよう

  

CPUクーラーは取り付け前に、脚の上面の切り込みがクーラー側を向くようにしておく。あとはマザーボードの穴に脚の先を合わせ、4本の脚を上から押し込んでいく

CPUクーラーの電源ケーブルをマザーボードの「CPU_FAN」に接続する。ストレージなどをセットした後では、マザーのコネクタに指が届かなくなる危険が高い。必ずこの段階で接続しよう。また、ケーブルがファンの羽根に接触しないようにきれいに取り回しておく

メモリはスロット両サイドのフックを開き、メモリモジュールの凹みとスロットの仕切りを合わせて上から押し込む。フックが自動で閉まればOKだ

CPUとメモリの装着が終了したら、マザーボードをPCケースに取り付ける。ATXやマイクロATXの場合、各マザーボードのネジ穴と合致する場所に六角スペーサーを取り付けるが、Mini-ITXの場合はネジ穴は4隅のみ。PCケース側もその位置にあらかじめスペーサーが装着されている場合が多い。

  

マザーボードをPCケースに固定する前に、マザー付属のIOバックパネルを取り付ける

バックパネルを取り付けたらマザーボードを設置し、ネジどめを行う。PCケースが小さいので、短めのドライバーのほうが作業しやすい場合が多い