モバイルPCというと、とかく「軽さ」「コンパクトさ」「バッテリ駆動時間」といった項目に目がいきがちだが、実際に出張で頻繁に移動を経験すると、それだけではない重要な評価ポイントがいくつかあることに気が付く。筆者は仕事柄、欧米アジアを中心にほぼ毎月のように飛行機での長距離移動と、ホテルや移動先でのPC作業を経験しているが、Ultrabookでもこの「New XPS 13」のような13インチサイズの製品にはとくに重要な要素が詰まっていると考えている。

New XPS 13

Junya Suzuki
アスキー(現アスキーメディアワークス)での雑誌編集を経て、「@IT」(現アイティメディア)の立ち上げに参画。その後、渡米を機に独立する。得意分野はネットワークとセキュリティ。海外のトレードショウやイベントの取材も多く、そのレポートやインタビューを中心に活動している。

真のモバイルPCには、簡易作業マシンにはないスペックが求められる

筆者の場合はライター稼業なので、アプリケーション開発や映像関係の仕事をしている方々から比べればPCに求めるスペック要求は低いが、それでも一度に何十枚もの大量の資料を開いて見比べたり、また動画編集作業も発生したりなど、それ相応のスペックは必要となる。また1年の半分近くは海外にいることもあり、メインの作業マシンといえるのはむしろモバイルPCのほうだ。日本の自宅にはリモートアクセス用のサーバが設置してあり、バックアップや膨大な写真/動画データが保存してある。アプリケーション検証用にもデスクトップPCを1台置いてあるが、実際に原稿執筆を含むほとんどの作業はモバイルPCに依存している。モバイルPCには外部ディスプレイは接続せず、あくまで本体の標準ディスプレイのみだ。これはどこに行っても同じ環境で作業するために、あえてそうしていることによる。ゆえに、ほぼすべての作業がモバイルPCのみで完結することが筆者にとって重要だ。

筆者が普段使用するモバイルPCを選ぶ基準は下記の通りだ。

  • ディスプレイは13インチクラス
  • メモリは4GB以上
  • プロセッサは中ランク以上のもの
  • USBは2ポート以上

ディスプレイサイズにこだわる理由の1つは、キーボードのサイズにある。13インチ以上であればフルサイズのキーボードを採用しているが、それ未満ではキーピッチが狭かったり、左右端に配置されたあまり使われない部分のキーが小さく変形していたりと、使い勝手が劣る。筆者は比較的手が大きく、出張の際に外付けキーボードも持ち歩かないため、本体のキーボードの打ちやすさは重要だ。その点、部分的にフルピッチではないものの、「New XPS 13」のキーボードは合格だろう。14インチクラス以上であればキーボードには不満はないが、逆にこんどは大きすぎてカバンに出し入れしづらい。

ほぼフルピッチの「New XPS 13」のキーボード

メモリとプロセッサは必須事項だ。とくに筆者の場合は一度に大量に資料を開くケースが多く、ときによってはWebブラウザで同時に50ページ以上、その他にPDFやPowerPoint資料を十数個単位で開いたりと、一度にかかる負荷が大きい。前述した13インチクラスのディスプレイにこだわる理由も、限られた画面エリアでなるべく多くの資料を同時に見比べたいためでもある。こうした作業が可能なのもまた、一定以上の性能を持つPCだからこそだと考えている。

USBは2ポート以上が望ましい。デジカメやUSBメモリからのデータ取り込みやポータブルHDD接続が主な用途だが、ほかには携帯電話の充電を行なう役割も担っている。筆者の場合、モバイルルータ代わりのスマートフォンとメインのスマートフォンで海外では最低2台を持ち歩くため、USB電源の供給口が多ければ多いほど便利になる。とくにホテルや出先のカフェ、空港などでは電源が1~2カ所しか取れないケースも多く、重要な意味を持つ。

左右ともにUSB 3.0に対応したUSBポート

こういった筆者の求めるモバイルPC環境を考えると、「New XPS 13」のスペックというのは、それにほぼぴったり合致するものだ。とくにこの秋のリニューアルでCPUがアップデートされたこと、2基のUSBポートがともにUSB 3.0に対応したことにより、さらに筆者のニーズに近付いたといえる。

本体のストレージは128GBでも大丈夫、256GBならなおよし

「New XPS 13」をメインの作業マシンとして使う――というと、標準で128GBの本体ストレージ容量(256GBにアップグレード可能)などが気になるかもしれない。実は筆者は、モバイルPCの選択において、下記の点にはあまりこだわっていない。

  • 本体のストレージ容量
  • バッテリ容量

筆者は本体のバックアップを兼ねて、つねにUSB接続のポータブルHDDを持ち歩いており、重要なデータや作業データの多くはそちらに保管されている。ゆえに本体のストレージにはテンポラリで必要になる最低限度のスペースさえあればよく、それほど空き容量がなくてもよい。むしろSSDでの高速起動やレスポンスのほうがありがたい。ただ、テンポラリとはいえ128GBでは、OSだけで30GBほど使用してしまうので、何もインストールしなくても実際に使用できる容量は約70GBほどになってしまう。備えあれば憂いなしという意味では、256GBにしておくのが望ましいかもしれない。

バッテリ容量については動作時間が長いに越したことはないが、通常作業で2~3時間程度持てば十分だと考えている。前述のような大量にWebページを開く使い方をしていることもあり、あまり省電力での運用ができないという理由もある(Webページのバックグラウンドでスクリプト等が実行されてCPUリソースをつねに消費しているため)。飛行機内や出先のカフェなど長時間電源コンセントが利用できない環境だと困ることはあるが、そういうときは割り切って「寝る時間」や「休憩する時間」と考えている。

海外出張モバイラー特有の事情 - 飛行機へのPC持ち込みをスムーズに!

以前サンフランシスコに常駐していたころとは異なり、最近の筆者は欧米アジア諸国を頻繁に移動し、日本を除いて「ここが定住拠点」と呼べる場所がない。同じ場所にいるのはせいぜい長くて1週間、毎月のように大陸をまたぐ大移動が発生する。また同じ米国内であっても、都市間の移動は基本的に飛行機だ。短くてもサンフランシスコ~ロサンゼルス間の1時間弱、長いとサンフランシスコ~ニューヨークのように6時間かかることもあり、とかく空港と飛行機の滞在時間が長い。

海外出張時の最大の敵は空港の入場ゲートの荷物チェック。これをスムーズに通貨できるかどうかは重要なポイントだ

空港での最大の敵は入場ゲートの荷物チェックだ。液体物やPC、タブレットといったデバイスは別途カバンの外へと出し、荷物検査を通さなければならない(以前にiPadはカバンからの取り出し検査対象外とされたことがあったが、現在ではチェック対象となっているようだ)。PCのバッテリは爆発物の偽装に利用されることがあるそうで、場合によってはきちんと通電されているかをチェックするために、実際にマシン起動を求められることがある。「New XPS 13」のようなSSD搭載マシンであればレスポンスが早いため、こうしたときには便利だ。

また、基本的にPCはすべて機内への持ち込み荷物に含まなければならず、マシンを複数台持っている旅行者はゲート通過時にすべてカバンの外へと出してチェックを受ける必要があり、それだけ作業が繁雑になる(筆者のライター仲間の中には、必ず3台以上のPCと複数のタブレット端末を持ち歩く者もいる)。手荷物であれば基本的にはX線検査を含めて筆者以外が直接荷物に触れることはないが、場合によってはカバンのカバンの開封検査や強化されたボディチェックにあたることがあり、係官がすべての荷物を取り出してチェックすることもある。荷物が乱雑に扱われることも少なくなく、実際に筆者は過去にカメラの液晶部分を破損されたことがあるが、そんなケースでは「New XPS 13」の堅牢性はありがたい。ディスプレイ面はGorillaガラス、底面はカーボンファイバーという「New XPS 13」の堅牢性はそんな状況での保険になるのだ。

とくに米国ではTSA (Transportation Security Administration)が空港の荷物検査や警備を担当しており、カウンターで預けた荷物は一度すべてTSAのチェックを受け、場合によっては勝手に開封検査が行なわれていることもある。この際、TSAが強引にカバンを開けて荷物の中身を破壊することがあり、筆者も再三にわたって被害に遭ってきた。空港の運搬トラブルによる荷物紛失や到着遅延も日常茶飯事で、最近ではトラブル回避のため、目に届く範囲で検査されるように、荷物はすべて手荷物として飛行機内に持ち込む方針にしている。そのためには、キャスター付きのキャリーバッグが1つ、ショルダーバッグが1つというサイズにすべての荷物を収める必要がある。筆者が1台のモバイルPC以外、予備マシンや外部ディスプレイ、キーボード、タブレットといった製品を持ち歩かないというのも、荷物を軽くしたい、チェック通過を速めたいという事情があるのだ。

筆者がショルダーバッグとして使っているTUMIのカバン。これと機内持ち込み可能なキャリーバッグの組み合わせで、PCとカメラ、着替えのすべての荷物を運んでいる

持ち歩くPCは1台だけ。TUMIのカバンはサイズ的には15インチまで収納できるが、サイズ的にギリギリとなるため、取り出しやすさを考えると13インチがベスト

飛行機の移動では一発で目的地の都市に着けることは少なく、乗り換えのためにいったん空港のゲート外に出なければならないことも多い。そのたびにゲートの荷物チェックを通過しなければならなくなる(とくに米国では入国時に一度必ずゲートの外へと出る必要があるため、乗り継ぎ便へと移るために再び荷物チェックを受けなければならない)。乗り換え時間がシビアな場合には、細かくチェックを受ける荷物が少なければ少ないほど好ましい。「New XPS 13」のように、1台で何役もこなせる少しパワフルなモバイルPCがほしい理由がここにある。

(マイナビニュース広告企画)

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