インターネット経由でOSの再インストールを行う「OS X Lion」の登場以降、Macでシステムの起動ディスクを交換する作業はとてもラクになった。それにOS Xには、システム全体を丸ごと他のディスクへ移行できる「復元」機能も用意されている。今回は、HDDからSSDに換装したあとのシステム移行術と、Mac OS Xの再インストールを紹介しよう。

シリーズ前編となる
【 MacBook Proの内蔵HDDをSSDに交換する(前編) 】
も合わせてご覧ください。

システムの復元か、再インストールか

内蔵HDDをSSDに換装する作業は、「物理的な交換作業」と「システムの復元または再インストール」の2ステップに分けることができる。前回はディスクの入れ替えという物理的な作業であったため、今回は必然的に後者の作業を行うことになる。しかし心配は無用、あっさりと作業は完了する。

前回も簡単に触れたが、もう一度必要な周辺機器を整理しておこう。まず、取り外したHDDを格納するための外付け型ハードディスクケース。「クレードル」と呼ばれる、HDDやSSのベアドライブをカセットのように差し込む簡易型でもかまわない。テスト機に利用しているMacBook Proの場合、SATA/2.5インチに対応し、かつUSB 2.0もしくはFireWire 800をインタフェースに持つことが前提条件となる。そして当然、インタフェースに応じたケーブル(USB 2.0またはFireWire 800に対応したもの)が必要。

なお、今回利用したSSDは「Samsung SSD 830」シリーズのノートPC用キット(容量は256GB)で、SATA-USB変換ケーブルが付属する(写真1)。このケーブルを使うなら、外付け型ハードディスクケースやクレードルは不要だ。1パッケージで必要なものがすべてそろうのが、「Samsung SSD 830」シリーズのノートPC用キットの良いところである。ただ、もともとの内蔵HDDを外付け型の補助ストレージとして活用する場合は、外付け型ハードディスクケースやクレードルが必要だ(写真2)。

(写真1) 「Samsung SSD 830」シリーズのノートPC用キットに付属するSATA-USB変換ケーブルを使えば、SATA HDD/SSDを手軽にUSB接続の外付けドライブとして利用できる

(写真2) 必要に応じて、外付け型ハードディスクケースやクレードルを用意しよう

話を戻そう。重要なのは、「システムの復元」と「まっさらな状態でOSをインストール(クリーンインストール)」のどちらを選ぶかだ。前者を選べばHDDで利用していたときのシステムがまるごとSSDへ転送され、SSDの圧倒的な読み書き速度により高速化された状態で利用できるようになる。導入済みのアプリケーションも、Webサイトにログインするために登録したたくさんのアカウント情報も、ゴミ箱に入っている不要なファイルまで、"あるがまま"の状態で再現される。

しかし、時は2012年の7月、Mountain Lionのリリースまで秒読み段階の時期。システムの転送、およびその領域へのアップデート(OSの上書きインストール)は、キャッシュファイルやログといった不可視領域上の情報も引き継ぐため、クリーンインストールを望むユーザーも多いはず。アプリケーションの再インストールなど手間も発生するが、少なくともMac App Storeで配布されているものについては、シリアルナンバーを部屋中探しまわる必要はない。

HDDからSSDへの換装は、起動ボリュームの変更を意味するため、システムの復元かOSのクリーンインストールかを選ぶことになる

そこで本稿では、フォーマット → クリーンインストールの順に作業を進めることを前提に解説を行いたい。もちろん、内蔵HDDから新しいSSDへと、既存システムを丸ごと移行する復元機能の使い方も紹介するので、Mountain Lionはしばらく様子見だという場合には、そちらを参照してほしい。

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