前編では、私たちTRICKYがインターネットを介して入稿したデータがどのような過程を通ってアルプスPPSさんで完成するか、順を追って印刷準備の段階までご紹介してきました。さて、今回はその続き。印刷物のプリントから送付までの工程を、さらに印刷知識を深めつつ、引き続き総力取材していきます!

What's TRICKY
自然豊かな西東京にアトリエを構えるロマンティッククリエイターズ。るるぶ紙面、たまごクラブ広告、京王線広告の他、多くのちらしや会社案内等を制作する傍ら、面白いお店を勝手に特集するフリーペーパーidolを発行しています。

微量な調整で変わるインクと紙の不思議

前編で頑張ってセットした紙に、K、C、M、Yの順にローラーで練られたインクが乗っていきます。スイッチを入れると版の微細な溝に付いたインクがゴムに付き、紙へとじゃんじゃん印刷されていきます!!あっと言う間に数十枚が印刷されてきちゃいました。こちらの印刷機は、最高で1時間に1万5000枚も印刷できるそうですが、アルプスPPSさんでは「版のアミ点がいちばんきれいに再現されやすい枚数に」と減らし、1万枚に設定しているそうです。それでも印刷の速度は早かった‥確かに、これは気をつけなければ色を確認するだけで、すぐに1000枚くらいの印刷量になってしまいそうです。

色校正と色を見比べながらインクの濃度や量や版のずれが無いかなどの確認をしていきます。0.01ミリのズレが命取りなので、精度へ影響が出ないように、美術博物館用蛍光灯の下、ルーペで細心のチェックをしていきます。

例えば、このサンプルで出力したポスターですが、肉眼で見比べると緑の部分が少し青みがかっています。そこで、少し黄色の濃度を増やして印刷したところ、色としての際立ちはかなり出ましたが、赤は少し朱色になりました。

また、違う材質の紙に印刷するとこんなに色の差に影響が出ます。諸条件でこんなに変化が生まれるということは、思い描いた理想の色があっても、それを表現するためには何か別の箇所や材質を代償にしなければならないので、ある程度許容範囲は持たなければならないということですね。

とにかく大切なのは検品と湿度管理!

お次は印刷用紙の検品作業です。その道七十年の大ベテラン職人さんの目で、データに刻まれたサインが全ての印刷用紙に付いているか、印刷ミスや印刷できていない紙が混ざっていないかをチェックします。こうして完成された印刷物や保管されている紙は、湿度約50%の空間で常に徹底管理されています。お肌がうるおいそうですね!