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今回は趣向を変えて、「飛び出すカード」を作成してみます。これは以前作成したパーティーカードのような一般的なカードデザインではなく、一発芸的な驚きと楽しさにポイントをおいたカードデザインとなります。ただし、いきなり複雑な立体処理を設計するのはいくらなんでもハードルが高すぎますので、応用が利き基本概念が理解しやすいイニシャル文字が飛び出すカードを、、Illustratorを使って、デザインしてみることにします。決して難しくはありません。店先に置くPOPやステッカーに応用してみてはいかがでしょうか。

無料でダウンロードできるIllustrator CS4の体験版を使えば、30日間は製品版と同じ処理が可能ですので、初めての方でも問題ありません。Illustrator CS4をお持ちでない方は、さっそく体験版をダウンロードしてみてください。

まず最初に以前作成した封筒に収まるサイズを想定することにし、カードのサイズを縦100mm×横150mmとしています。このサイズが閉じた状態となるので、実際には縦200mm×横150mmとなります。

まずはじめに、カードを開いた時に文字などが飛び出す構造を理解する必要があります。そこで【図01】のようにシンプルな正方形を飛び出させてみることにします。ただし、このような作業でいきなり難しい形状を使ってしまうと混乱ばかりで効率が良くありません。正方形であれば小作も楽で理解しやすいと思います。なお【図01】の作図で一番重要なのは立体化した時の押し出し量です。これがそのまま立体化したときの厚みとなります。【図01】では四角形の上に作成した長方形がこれに該当する部分です。失敗したプリント用紙などにテスト印刷し、実際に組み立てたときにどのようになるのかを一度実験しておくと良いでしょう。

【図01】台紙に対して飛び出した正方形を演出するための仕組み。カットする部分、山折りや谷折りの部分を最初に確認しておく事は大切です

大凡のイメージが掴めたら【図02】のように、任意のアルファベットなどで実験をおこなってみる事をお奨めします。なお、「O」や「G」のようにアールを含んでいる文字や図形などの場合は、【図03】のように押し出し形状との接線や折り線部分は、直線に置き換えておく必要があります。設計画面上では気になる処理となりますが、実際に組み立ててみるとそれほど気にならなくなります。

【図02】【図01】をもとに私のインシャルでシミュレーションを実行。実際に利用する文字などに置き換えと切り取った後の形状などで問題点が確認しやすくなります

【図03】アールを含んでいる文字や図形などの折り位置と押し出しの接線処理。理屈が理解できれば、飛びだたせたい図形や文字を回転させるといった応用処理に繋がります

基本構造を理解したところで、本格的な設計に入ります。まず押し出したい図形あるいは文字を決定します。この時、文字はアウトライン化しておくと作業効率が良くなります。まず【図04】のように台紙の天地中央位置に立体化させたい文字や図形を配置します。この時、文字同士があまり接してしまうと立体化したときの強度が弱くなってしまうので、注意が必要です。続けて【図05】のように押し出し量に相当する矩形を作成します。押し出し矩形は、押し出し形状の上に作ると立体化した時に押しだし形状が手前に迫り出します。下に作成すれば押し出し形状が上に迫り上がります。

【図04】台紙の天地中央に立体化したい図形や文字を配置。文字の場合はアウトライン化しておくことが望ましい

【図05】配置した文字などに対して押し出し部分を作成。文字の上に配置すれば手前に押し出され、下に配置すれば上に押し出されます

ここまでの処理で基本的に立体化のカードは作成することが出来ます。ただし、封筒などに納めて送付する場合には、基本形状(ここでは150mm×100mm)から何も飛び出さないことが重要です。つまり、折り畳んだときに余計な物が飛び出してもかまわないのであれば、サイズ内の寸法で自由に処理することは可能ですが、折り畳んだ状態でも基本形状内に納めたい場合は【図06】のようなサイズの関係を厳守する必要があります。つまり、天地6分割の中心2分割いないに跳びだたせたいい図形や文字を配置し、それに対して天地6分割の1サイズの押し出し量に相当する矩形を作成します。この法則内でデザインを行えば折り畳んだときに余計な部分が飛び出したりしません。

【図06】押し出し形状と押し出し矩形のサイズの関係。この計算式内に納めておけば折りたたんでも、150mm×100mmのサイズが余計な物が飛び出すことはない

割り切れない長さの均等分割

割り切れないサイズに対しての指定分割はブレンドや整列機能を使うことで迅速に対応することが出来ます。例えば【図07】の黒い線がベースラインにスナップさせた線と仮定し、分割数に該当する新たな線を作成し、全体を選択して整列コマンドの「垂直方向中央に分布」を実行すれば【図08】のように正確な分割結果を得ることが出来ます。あるいは【図09】のように両端の基本線間で分割したいステップ数のブレンドを実行してもよいでしょう。変則的なサイズの分割には、この2つの方法が効果的です。

が、通常の方法で印刷し、印刷した線をカットしたり折り込んだりしても印刷した部分は残ってしまい、仕上がりは安っぽくなってしまいます。

レイアウトが完成したら印刷と工作に移ります。まず工作用として販売されている厚紙用紙などにプリントし、図面の通り、実線は切り取り線、破線は谷折り、一点破線は山折りを実行して組み立てていきます。折り線部分は、鉄筆または使えなくなったボールペンなどで軽く筋を付けると、工作が大変楽になります。なお、実際に折り込む場合は一気に処理をせず、少しずつ全体の折り癖をつけるようにしていくと綺麗に仕上がります。また、白い工作用厚紙ではなく、100円ショップ等で販売されているカラーケント紙のような紙に印刷しても綺麗に仕上げることが出来ます。それほど厚い紙でなくても2枚重ねることで強度は保たれます。ただし、あまり複雑なデザインや仕組みにしてしまうと強度に問題が出てしまうかもしれません。

更に裏に色違いの紙などをあてがう場合は工作が完了してから軽く糊付けするようにすると綺麗に仕上がります。その場合、糊が乾くまで【図10】のように 全体を開いた状態で本などに挟んでおくとシワが発生することはありません。

また、完成したデザインを垂直軸でリフレクト反転させ、裏面印刷した物を裏からカットすれば完成イメージに印刷線が出ないので綺麗に仕上げることが出来ます。もしプリンタ専用紙を利用し、完成面に独自のデデザインや文字を入れたいという場合は両面印刷機能のあるプリンタであれば、カットや折り線部分を裏面印刷することで対処することも出来ます。【図11】~【図18】は、100円ショップで購入したカラーケント紙にカットや折り線を垂直軸でリフレクト反転させ、裏面印刷した物を色違いのカラーケント紙と組み合わせて作成したサンプルです。押し出し部分の上下の違いにより4つのイメージを作り出すことが出来ました。

【図10】一度立体化してから裏面用に用意した色違いの紙を軽く糊付けしてから平面に戻した状態。この状態で書籍などを載せておけば合紙したときのゴワゴワを無くすことが出来ます

【図11】展開図その1を反転した状態

【図12】【図11】の作例

【図13】展開図その2を反転した状態

【図14】【図13】の作例

【図15】展開図その3を反転した状態

【図12】【図11】の作例

【図13】展開図その2を反転した状態

【図16】【図15】の作例

【図17】展開図その4を反転した状態

【図18】【図17】の作例

(マイコミジャーナル広告企画)

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