24型ワイドの「type L」は、PC・地デジ・ブルーレイレコーダーの1台3役をこなすAVエンターテインメントボードPC。はたしてテレビはもう不要なのか!? この春64ビット版Vista搭載を搭載した最新機種で、ブルーレイディスクと地デジの視聴・録画を行ってみた。

24型ワイドの「type L」はさすがの大画面。解像度1920×1200ドットの大画面は迫力満点だ。今回は、VAIOオーナーメードモデルの「VGC-LV91JS」とブルーレイディスクのコンテンツを数本お借りして、ブルーレイディスクの視聴と、地上デジタル放送視聴と録画を行った

VAIO「type L」の春モデルは、AV機器にマッチするカラー「ブラック」の追加やWindows Vistaの64ビット版搭載などの変更が施された。まずレビューを行う前に、使用する機器のスペックを確認しておこう。今回使用したVAIO「type L」のVAIOオーナーメードモデル「VGC-LV91JS」は、OSはWindows Vista Home Premium(SP1)64ビット正規版を搭載。プロセッサーには、2つのコアを使用したインテル Core 2 Duo E7400(2.80GHz)を採用。24型ワイドの大画面では、テレビを見ながらWebブラウズできるなど、複数のウィンドウを開いても余裕の広さを感じる。複数の作業を同時に行っても、マルチタスクに強いCore 2 Duoだけあって、ストレスを感じない。

メモリーは4GB(最大8GBまで搭載可能)、ドライブはブルーレイディスクドライブ(DVDスーパーマルチ機能搭載)、HDDは余裕の約1TBを搭載している。グラフィックアクセラレーターは専用ビデオメモリーに512MBを載せたNVIDIA GeForce 9600M GT GPUを搭載。これにより、テレビの技術で培われたソニー独自の高画質エンジン「Motion Reality HD」が有効になり、動きの速い映像や、ブルーレイディスクの高ビットレートの動画を滑らかに再生できるようになっている。

地上デジタルダブルチューナーの内蔵により、2番組の同時視聴や録画も可能。また、HDMI入力端子が搭載されているので、PCの電源が入っていなくてもPS3やAV機器と接続してディスプレイとして使用することができる。なお、HDMI入力端子は搭載の有無が選べるので、この機能が不要な人は「なし」にすることもできる。

さて、スタイリッシュなボードPC「type L」のデザインについても触れておかないわけにはいかないだろう。ディスプレイの周囲には銀色の枠線を付けて、まるで宙に浮いているかのような効果を与える「フローティングデザイン」を採用。インテリアのように部屋に調和する上質なデザインだ。スタンドは-5度~20度まで、テレビや映像が見やすい位置に調節可能。奥行きは本体直立時約175㎜内に設置できるので、壁ギリギリに配置することも可能だ。

ディスプレイの周囲にある銀色の枠線と、本体前面の銀のパネルによって、まるで宙に浮いているような効果を与えている

本体向かって左側面は、上からExpressCardスロット、“メモリースティックスロット”、SDメモリーカードスロット、ヘッドホン出力、マイク入力、オーディオライン入力、USBコネクターが並ぶ。本体右側面には、上からブルーレイディスクドライブ、USBコネクター×2、ワイヤレスON/OFF切換スイッチが並ぶ。USBコネクターの前側には、HDMI入力切替えのスイッチが並ぶ。上からセレクトボタン、メニューボタン、音量調節ボタン、OKボタンとなっている

背面の様子。左はカバーを開けたところ。スタンド背面のカバーをスライドさせると、ケーブル類が収納できるので、背面はスッキリして見た目も美しくなる。スタンドは-5度~20度まで調節可能。奥行きは約175㎜内に設置できるので、壁ギリギリに配置することも可能だ

AV機器の技術を採用したこだわりの音声と迫力の映像

それでは、ブルーレイディスクのコンテンツを鑑賞してみよう。今回は、雑誌の評価も高かった「バンテージ・ポイントicon」を観てみることにした。ドライブにディスクを挿入すると、ディスク再生ソフトWinDVDが起動するので、リモコンの再生ボタンを押せば、すぐに再生が行われる。だが、どうも期待したほどの臨場感が感じられない。「おかしいな?」と思って、設定を見直してみると、「ドルビーホームシアター」の設定が何もされていない。どうやらこれが原因のようだ。

「ドルビーホームシアター」とは、内蔵スピーカーやヘッドホンでサラウンド音響を実現するソフトウェア。ステレオ音声を拡張して5.1チャンネル音声に拡張する「ドルビープロロジックIIx」が利用できるのだ。設定を変更して再度視聴してみると、確かに違う。ようやく迫力のある立体感のある音声が楽しめるようになった。

「ドルビーホームシアター」で、出力デバイスに[ステレオスピーカー]を選択し、[Sound Space Expander]をオンにすると5.1チャンネルの設定になる。低音をより自然で迫力ある響きに設定する[Natual Bass]をオンにすると、中央の[Bass Boost]が設定できるようになるので、スライダを右いっぱいにして低音を最大にした

[デジタル出力(S/PDIF)]では、PCから出力されるすべての音声をドルビーデジタル信号に変換する「デジタルアウト」の設定が行える。デジタルケーブルで家庭のホームシアターシステムに接続すれば、設定した内容での再生が可能だ

なお、「type L」に搭載されているスピーカーは、ソニーのオーディオ設計者がチューニングした5.5W×2の新開発ステレオスピーカー。40mm口径のドライバーに、高磁力のハイグレード・ネオジウム・マグネットを使用し、ワット数あたりの音量と低音域の再生能力を向上している。さらに「type L」搭載の高性能DSP(デジタルシグナルプロセッサー:主に音声や映像処理に使われる装置)により、豊かで引き締まった低音の再現を実現している。アンプは、ソニーのAV機器で採用されている高音質フルデジタルアンプ「S-Master」を使用。従来のアナログ増幅方式で発生するあいまいなひずみを排除し、解像度の高いクリアな音質を実現している。以前の「type L」ではサブウーハーが内蔵されていたが、新しいモデルではスピーカーのみとなったため、低音域の再生能力について気になっていたのだが、むしろDSPの性能に驚かされることになった。

type L」の液晶は、色再現領域はNTSC比約96%をカバー(※1)する高精彩なワイド液晶。色純度の高い[クリアブラック液晶](ピュアカラー)により、ブルーレイディスクのハイビジョン映像の色合いもリアルで鮮やかに再現されている。また、テレビやDVD/BDなど視聴中のコンテンツに応じた最適な色設定に自動的に切り替える「色モード設定」を搭載。常に適切なモードでコンテンツを視聴できるようになっている。
※1:u'v'色度図による

ハイビジョンのサイズは1920×1080ドットだが、「type L」の解像度は1920×1200ドットなので、上下に黒線が少し入る。写真ではいまひとつその迫力が感じられないが、特に大衆を撮影したシーンなどの迫力はさすがにワイド画面ならではの奥行き感がある。やはり映画を観るならこれくらいの画面で観たいものだ。画像の乱れやノイズの表示もなく、くっきりと美しい映像を楽しむことができた。

映画「バンテージ・ポイント」の一場面。大統領暗殺をめぐるテロ組織をめぐるサスペンス。場面がくるくると目まぐるしく変わり、息つく暇を与えない。この大きさのワイド画面で大観衆を映したシーンを見ると、ぐんと広がりが増す気がする。写真ではあまり伝わらないのが残念
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