2010年にGDPで日本を抜いて世界第2位になった中国は、その経済成長に減速傾向が強まっています。
それでも中国がアメリカを抜くのは、時間の問題という意見もあれば、バブルが弾けるのは避けられないという見解も。
以前はアメリカがくしゃみをすると、日本が風邪を引くなんて言われていました。
しかし現在は中国が風邪を引けば日本も風邪を引くという具合に。
少し過去を振り返ってみると、2015年の「チャイナショック」や、2016年の「中国株の大暴落」で立て続けに中国株が簿大幅下落しました。
今後は熱する米中の貿易摩擦で、中国株が再暴落する可能性も懸念されています。中国経済は、もはや無視できない状況になっているのです。
今回はそんな中国の経済について説明し、今からでも遅くない、今だからこそお勧めしたい中国株への投資情報をお伝えします。
世界第2位の経済大国で13億を超える人口を抱える多民族国家
国名 | 中国 |
---|---|
首都 | 北京 |
人口 | 約13億8,600万人(2017年) |
言語 | 漢語(中国語) |
日本との時差 | -1時間 |
通貨 | 人民元(100円=約6.10元) |
中国の人口は13億人を超え、世界全体の約5分の1を占めています。
そのうち大部分は漢民族ですが、残りの約8%は50を超える少数民族の集まりで、それぞれ独自の文化を持っています。
上海や北京などには世界的に見ても裕福な人々が多く、中国人観光客による爆買いは世界中で話題です。
しかし郊外では1日の収入が1ドル程度で生活する人々が約7,000万人もいて、都市部と地方の所得格差が大きな問題となっている一面も。
中国政府は2020年までにこの貧困層をなくすよう、「オールラウンドに裕福な社会」の実現を目標とし、貧困救済を国の重要課題として掲げました。
肉を食べられるのは「1年に3回のみ」という貧しい村もあるなど、GDPで世界第2位の経済大国とは思えないほど過酷な生活環境も目につきます。
これだけ格差があるということは、都市部はものすごい勢いで成長したということ。この成長を続ければ、やがてアメリカをも抜いて世界首位に立つのも夢ではないでしょう。
実際にアメリカのCNN放送は、「中国経済は2025年にはアメリカをも抜くだろう」と予想しています。
次に2015年の「チャイナ・ショック」と、2016の「中国株大暴落」について軽く触れておきましょう。
中国株大暴落(チャイナ・ショック)はなぜ起こった?
チャイナ・ショックとは、中国が原因で世界中の金融市場が下落してしまうことを指します。
中国の政策変更や景気低迷によって、人民元や中国株が下落すると世界中に伝播してしまうのです。
ここ数年では、3回にも渡ってチャイナ・ショックが起こっています。詳細は次のとおりです。
時期 | 概要 |
---|---|
2015年6月 | 景気を良くするための政策で、金融緩和をしたことで上海総合指数が高騰。2015年6月12日には、リーマンショック後最高値をつけました。しかしその高騰は過剰な期待によるもので、わずか3週間で3割以上も下落したのです。 |
2015年8月 | 中国人民銀行が、輸出部門を強化するため20年ぶりに人民元相場を大幅切り下げしました。その結果、世界中のマーケットが混乱し為替相場は急変。その後上海株も暴落したことで、世界中の株価が下落しました。 |
2016年1月 | 中国の「12月の製造業購買担当者指数」が、予想を遥かに下回ったことで上海株が暴落。この暴落に伴い、世界中の株価が下落しました。 |
次に、中国経済の成長を支えた産業について紹介します。
中国経済を支えてきた第2次産業とチャイナリスク
中国は製造業が盛んで、「世界の工場」と呼ばれています。
1950年代は旧ソ連に倣って、重工業中心の政策を進めていました。
しかし80年を過ぎた頃、安い人件費や膨大な労働力を武器に海外企業へ門戸を開いたのです。するとパソコンや電化製品、衣服、加工食品などの工場が中国国内に立ち並ぶようになりました。
2010年代に入ると、チャイナリスク※や人件費の高騰が大きな問題として浮かび上がりました。
中国が抱えるカントリーリスクのことで、海外の企業が中国で経済活動を行う際、中国の政治状況や中国人の動向によって損害を得るかもしれないリスク(例:消費期限切れ食品の輸出など)
一部の海外企業は撤退を始めましたが、中国は海外企業の進出中に得た技術力を自国の企業でも活かせるまで成長しており、ますます競争力を高めています。
このように中国では、第2次産業が国の経済成長を支えてきたのです。同時に観光業や情報・通信サービスなど、第3次産業においても近年大きく成長しています。
今後も発展していくと予想される中国の有望企業
これから伸びるであろう、中国の有望企業について紹介します。
そこで今回は中国の経済成長に欠かせない鉄道インフラと、日本人が取引できる中国株である香港市場にて最大の時価総額を誇るIT企業をピックアップします。
【鉄道車両メーカー】中国南車
中国南車は中国で最大手の鉄道車両メーカーです。これまで中国北車と中国南車の2社が中国の市場を分割していましたが、2014年に合併することにより国内でほぼ独占状態となりました。
中国北車はもともとドイツのシーメンスから技術を導入し、中国南車は日本の川崎重工から技術を導入した経緯があります。
お互いが合併したことで、技術力や交渉力が飛躍的に向上しました。
その結果、合併後の株価は急上昇し、2015年の4月には合併前の約7倍もの値上がりを記録しています。
中国ではまだまだ鉄道が足りず、公共投資の中でも鉄道は大きな割合を占めるので、今後も成長が期待できるでしょう。
【インフラ建設】中国鉄建
中国鉄建は、インフラ建設を担う大手企業です。メインは鉄道ですが、道路や橋梁などインフラ工事全般を手掛けています。
中国は経済発展のため、今後鉄道を中心としたインフラ整備を積極的に行っていくでしょう。それは中国からヨーロッパまでを鉄道で結ぶ「シルクロード経済圏構想」によるもので、鉄道やパイプライン、通信網の整備を進めているのです。
2014年にナイジェリアから鉄道建設の受注など、海外も視野に入れた営業戦略が進められています。
鉄道インフラは中国政府としても経済成長政策の要として挙げられ、中国鉄建には今後も大きな受注が入りそうです。
【ITサービス】テンセント
香港の上場企業で最大の時価総額を誇るのが、中国でインターネットサービスを行っているテンセントです。
中国最大のメッセンジャーアプリ「テンセントQQ」は8億人を超えるユーザー数を持ち、圧倒的な資金力を武器にシェアを拡大しました。
モバイルゲームやLINEの中国版とも言えるウィチャットも好調で、東南アジアなどへのサービス展開でさらなる成長に期待できます。
中国のIT企業は今後も成長が期待される企業が多く、中でもテンセントは海外投資家から熱い注目を集めている人気企業です。
中国株のオススメETFを紹介
中国株への投資もいいですが、初心者が海外銘柄を企業選定するのは難易度が高いです。
そこでまずは中国ETFを購入し、どんな銘柄があるのか、マーケットはどんな動きをするのかなど慣れておくのがおすすめです。
ETFについてわからない人は、次の記事をチェックしてみてください。
中国株のETFは、国内ETFに限定すると次の6つです。
- <1309>上海株式指数・上証50連動型上場投資信託
- <1322>上場インデックスファンド 中国A株(パンダ)
- <1572>中国H株ブル2倍上場投信
- <1573>中国H株ベア上場投信
- <1575>ChinaAMC CSI 300 Index ETF-JDR
- <1576>南方 FTSE 中国A株 50 ETF
ブル型とベア型は、ハイリスク・ハイリターンの商品です。相場をある程度読めるようになるまでは、おすすめしません。
インデックスファンドは、ローリスクでコツコツ運用するファンドなので、中国ETFを選ぶ際にも初心者におすすめ。
中国株やETFの買い方は?中国株を取り扱う証券会社をチェック
中国株のマーケットは、大きく分けて3つあります。そのうち中国本土にある上海証券取引所と深セン証券取引所の2つは、中国側の規制があるため中国人以外の取引が制限されています。
日本から中国株を購入するには、香港の証券取引所に上場した銘柄から選択。メインボードとGEMという2つのマーケットがあり、メインボードは日本でいう東証一部、GEMはマザーズにあたります。
香港取引所 | 上海証券取引所 | 深セン証券取引所 | ||
---|---|---|---|---|
メインボード | GEM | |||
上場企業数 | 1,605 | 211 | 1,115 | 1,768 |
H株 | 189 | 23 | – | – |
レッドチップ | 139 | 5 | – | – |
香港市場に上場しているが中国本土に登記している中国企業で、中国人以外でも投資ができる
中国本土以外(香港、バミューダ、ケイマン)に登記している中国企業で、中国人以外でも投資ができる
香港取引所のメインボード、GEM銘柄の中国株は、日本の証券会社でも一部が取引可能です。大手ネット証券では、次の3つの証券会社で中国株を取り扱っています。
- SBI証券
- 楽天証券
- マネックス証券
次にそれぞれの証券会社について、特徴を説明しましょう。
中国株の取引手数料が最も安いSBI証券
SBI証券の特徴は、取引手数料が最も安いことです。
またSBI証券では、中国株の投資情報「SBIサーチナ」を無料で見ることができます。SBIグループは中国の情報サイト「サーチナ」を企業統合し、中国株投資のサポートに注力しているのです。
中国株のマーケット情報や取引銘柄数も豊富で、取引手数料が0.26%と割安なのもSBI証券をおすすめするポイント。
2、手数料は約定代金の0.26%(税抜)
・最低手数料:47香港ドル(税抜)
・上限手数料:470香港ドル(税抜)
※為替手数料±15銭
3、香港取引所の立会時間とリアルタイム取引が可能
・日本時間10:00~17:00(現地時間9:00~16:00)
4、投資スタイルに合わせて外貨決算と円貨決算の選択が可能
・外貨決算の場合は香港ドルを利用し、取引ごとの為替手数料は発生しません
中国株を始める前に取引デモが行える楽天証券
楽天証券は最低手数料が500円と、他の証券会社より安いのが特徴です。
SBI証券では約780円、マネックス証券では約680円なので、10万円までの中国株投資なら楽天証券の手数料は最安です。
ただし、10万を超えた場合は約定代金の0.5%と他の証券会社より手数料が高くなってしまうので注意してください。
楽天証券で中国株を始めるメリットとしては、中国株式の取引デモがあることです。
このデモで慣れてから実際の取引に挑戦できるので、初心者としてはありがたいシステムですよね。また、「中国株ウィークリーレポート」があり、注目銘柄を格付けして紹介してもらえるので、銘柄選びにも役立ちます。
2、手数料は10万円までは500円(税抜)
・10万超え~100万円未満は約定代金の0.5%(税抜)
・100万円以上は5,000円(税抜)
※為替手数料±15銭
3、香港取引所の立会時間とリアルタイム取引が可能
・日本時間10:00~17:00(現地時間9:00~16:00)
中国株のオンラインセミナーが毎月開催されるマネックス証券
マネックス証券は、中国株の取り扱いが香港取引市場のほぼ全てである約2,220銘柄あり、銘柄選びにも幅が広がります。
ここで紹介している3社の中では、マネックス証券だけが唯一成行注文が出せ、スマホからも中国株の取引ができるのは大きなメリットです。
マネックス証券の1番の特徴は、投資情報が最も充実していること。
中国の投資情報サイト「サーチナ」から、旬のランキング情報を閲覧可能です。
さらに中国在住のコラムニストが、生の中国情報を提供しています。メール配信サービスの「クローズアップ!中国株」なども参考にすれば、日本にいながら中国についての経済状況もいち早く入手可能ですよ。
2、手数料は約定金額(香港ドル)の0.25%
・最低手数料:45香港ドル(別途消費税8%)
・その他、税金などで約定代金の約0.01%と、約定代金1,000香港ドル毎に1香港ドル
※為替手数料±15銭
3、香港取引所の立会時間とリアルタイム取引が可能
・日本時間10:00~16:57(現地時間9:00~15:57)
ここで紹介したSBI証券、楽天証券、マネックス証券は、いずれも中国ETFの取引が可能ですよ。
今後もまだまだ目が離せない中国経済
中国には世界一多い労働力や大きな市場があるのはたしかなので、アメリカ経済を追い抜くという意見にも真実味が増してきますね。
そうなるとまだまだ伸びしろは大きいので、これから中国株に投資してもまだ間に合います。
中国株については各証券会社から詳しい投資情報が更新されているので、外国株初心者にもチャレンジしやすいと思います。
外国株について検討している方は、ぜひ中国株も選択肢に入れてみてください。