株式投資で利益を上げる方法は「安く買って、高く売る」です。将来値上がりする銘柄を見つけることが欠かせません。
地合いが悪いときに買って、地合いがよくなったら売るという逆張りの方法もある。株価はさまざまな要因で変動するから、多くの手法を学ぶ必要があるぞ!
株価が上昇するのは、業績好調が続くと見込まれるものの、現在の株価がそれに見合わないほど安い銘柄です。そんな銘柄を探すために使われる方法を、ファンダメンタルズ分析といいます。
「分析」なんて言うと難しそうな気もしますが、よく使われるいくつかの指標を覚えてしまえば簡単に使うことができます。ここの紹介する指標を知れば、将来値上がりが期待できる銘柄を探すのがぐっと楽になりますよ。
割安株に注目!株価が適正価格まで上昇しやすい
「企業価値に対して株価が割安に放置されている銘柄や、事業の成長が見込まれる銘柄は、今後株価が適正な価格まで上昇する」と考えられています。反対に、業績が良くても、株価がすでにその業績に見合うだけ上昇して高くなっていれば、もう株価は上がりようがありません。
「安く買って高く売る」ために投資先を探す場合には、単に「業績好調」の企業を探すだけでは不十分です。「業績好調で、株価それに見合うところまで上昇していない」という銘柄を探す必要があります。
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【株価が上がる銘柄の特徴】
- 業績が好調(安定的・効率的に利益を上げている)
- 企業価値に対して、株価が割安に放置されている
そのために使われるのがファンダメンタルズ分析と、テクニカル分析です。
ファンダメンタルズ分析で企業価値を推測して割安株を探す
ファンダメンタルズ分析は、財務状況や業績状況をもとに企業の本質的な価値を分析する方法です。
本質的な企業価値に対して株価が割安かどうかを、財務諸表(決算書)の内容と株価を比較して分析します。
一方のテクニカル分析は、これまでの株価の変動パターンや、過去の株価と比べて、経験則から現在の株価が割安か割高かを判断する方法です。具体的には、ローソク足などの株価チャートを使って分析を行い、売買のタイミングを見極めます。
ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析は、どちらが優れているとかいうことではなく全く別のもので、併用されることが多いです。ただ、どちらに重点を置くかが投資家によって異なります。
1日で売買を終えるデイトレーダーはファンダメンタルズをあまり考慮せず、テクニカル分析を重視します。
一方、長く株を保有する長期投資の場合には、ファンダメンタルズ分析を使って、財務は健全か(安定性)、利益は効率的に挙げられているか(収益性)、将来も事業が拡大し利益が増えそうか(成長性)を知っておくことがかなり重要になります。
決算書(財務諸表)を使って財務状況や業績を把握する
ファンダメンタルズ分析では、企業の財務状況や業績などから、企業価値をはかります。分析の指標には、このようなものがあります。
分析できる価値 | 使う指標 |
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安定性 | 自己資本比率、流動比率、手元流動性、キャッシュフローなど |
成長性 | EPSの経年変化、キャッシュフローなど |
収益性 | 売上高比率、ROE、ROAなど |
株価の割安感 | PBR、PER、PCFR、理論株価など |
この記事では、特に重要でよく使われる指標を取り上げます。企業の業績を分析するためのEPS、収益性をはかるROE、そして株価の割安感をはかるPBR、PER、PCFR、理論株価です。
投資の神様・バフェットが重視するのはEPSとROE
「値上がりする株を見つけたい」と思ったら、まずは業績が好調で、これからも成長が見込める企業を探す必要がありますね。そのために役立つのがEPSとROEです。
- EPS:1株あたり当期純利益、Earnings Per Share
- ROE:株主資本比率、Return On Equity
この2つは、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェット氏も重視している指標で、ファンダメンタルズ分析には欠かせません。詳しく見ていきましょう。
投資の神様、ウォーレン・バフェットについて詳しい解説は「ウォーレン・バフェットから学ぶ、逆境をチャンスに変える株式投資」を参考にしてください。
EPSが増加し続ける企業は安定的に成長している
EPSは日本語で1株あたり当期純利益と言います。次のような計算式で求められ、1株あたりどれだけの利益が出ているかを示しています。
EPSは単年度だけを見ても意味がなく、経年変化を見る必要があります。
順調にEPSが増加している企業は、安定的に収益をあげている企業なので、投資先として魅力的です。
もちろん、過去の実績がそのまま将来にわたって継続するとは限りません。しかし、その企業の本業をとりまく環境が大きく変化することがないと考えられるなら、将来に向けても安定的に利益をあげていけると期待できます。
株主のお金を効率的に使える企業が高ROE
ROEは次のような計算式で求められます。日本語では株主資本比率といい、企業が株主のお金をどれだけ効率的に使ったかを示します。
※自己資本は貸借対照表の「純資産の部」から、少数株主持分と新株予約権を除いた額
ROEが高いほど、利益を生み出す能力が高い会社だと言え、ROE8%で平均的、15%以上で優良だとされます。
ROEはバフェットをはじめとする海外投資家からとても注目されている指標で、ROEが上がっている会社には人気が集まり、株価が上昇する傾向にあります。
株価の割安感をはかるために使われる指標ベスト4
EPSとROEについて説明してきましたが、これらの数値が優良でも、すでに株価が高くなっていたら値上がりは期待できません。
ファンダメンタルズ分析を活用した投資方法の第2段階として、現在の株価と、企業の価値を比較して、株価が上がらないまま放置されている・気づかれていない銘柄を探す必要があります。このような銘柄を「割安株」とか「出遅れ銘柄」と呼び、割安株を探すための指標もいくつかあります。
代表的な4つの指標をご紹介します。
企業が解散したら株主が特をするかを知るPBR
割安感をはかる指標としてよく出てくるもののひとつがPBR(Price Book-Value Ratio)で、日本語だと株価純資産倍率といいます。資本に対する株価の割安感をはかる指標で、次の計算式で求められます。
または
PBR=株価÷BPS(1株あたり純資産)
PBRは1以下だと割安だとされます。PBRが1以下になるのは、時価総額(株価×発行済み株式数)よりも、企業が持っている資本のほうが大きいということです。企業が解散した場合、株主は会社の資産の配分してもらえる権利があるので、企業が解散したら得をする=リスクが少ない=割安という理屈です。
もちろん企業が解散するなんてめったにありませんから、PBRは解散による利益を狙って使う指標ではありません。
PBRが低いけれど、成長性に期待が持てる企業は、何かのきっかけで資産に対する株価の割安感が評価されて、株価が上昇する可能性があるということです。
投資資金を回収するまでにかかる時間を示すPER
PBRとよく似ている略語で表されるのがPER(Price Earnings Ratio)、株価収益率です。PBRが資本に対する株価の割安感をはかるものだったのに対して、PERは収益・利益・会社が稼ぐ力に対する割安感をはかる指標です。
または
PER=株価÷EPS(1株あたり当期純利益)
一般的にはPERが15以下なら割安だとされますが、業種によって多少の差があります。
成長の期待が高いIT企業や、景気変動の影響を受けにくい生活必需品のメーカーなどはPERが高くなり、成熟した産業や景気変動の影響を受けやすい企業(自動車、家電など)はPERが低くなる傾向にあります。PERは同業他社と比較してください。
また、PBRもPERも、「株価が安くなると数値が割安を示す」ことに注意が必要です。
極端な例ですが、「業績が悪化しそうだ」「倒産しそうだ」と判断されて売られており株価が下がっているなら、その銘柄を買いたくはないですよね。
PBRやPERが低い銘柄を見つけたら、その銘柄の株価が下がっているかどうか、下がっているならその原因は何かを確認しましょう。
巨額の損失隠しを行っていたことが明らかになり、2011年10月から11月にかけて株価が暴落したオリンパスは、上場廃止寸前と言われた危機を乗り越え、その後株価を順調に回復しました。
株高の恩恵もあるでしょうが、内視鏡で世界シェア7割を得ている高い技術力があるからこその結果です。
PCFRでより設備投資に積極的な企業を探す
PERは株価を1株あたり当期利益で割りますが、株価を1株あたりキャッシュ・フローで割るPCFR(Price Cash Flow Ratio、株価キャッシュフロー比率)という指標もあります。
または
PCFR=株価÷1株あたり営業キャッシュフロー
PERは当期純利益が分母です。この当期純利益は、利益から減価償却費を差し引いて計算します。しかし、減価償却費は「固定資産が古くなって価値が下がった」と考えて差し引く経費で、実際にお金が出て行くわけではありません。
設備投資を行う→減価償却費がたくさん引かれる→分母である当期純利益が小さくなり、設備投資をたくさんした企業はPERが割高に見えてしまいます。設備投資は企業の成長への意欲のあらわれなのに、PERには反映されないんですね。
そこで使うのがPCFRです。キャッシュフローは実際のお金の流れを表すものなので、減価償却費は差し引かれていません。
設備投資を積極的に行ったことでPERが割高の水準になっていても、PCFRで見ると割安だという銘柄もあり、「設備投資をもとに収益を伸ばしていくのでは」と予想できます。
PERが同じくらいの銘柄で悩んだら、PCFRをチェックしましょう。より設備投資を積極的に行っていて、割安な企業が見つかります。
サイトによって理論株価はバラバラ!計算方法はひとつじゃない
理論株価との差をみて割安感を判断するという方法もあります。理論株価とは、企業の価値に、将来得られると予測できる利益を足して株式数で割ったり、市場での人気を加味して、理論的に株価がいくらになるか推測したものです。
理論株価の計算方法には、DCF法などいくつかの計算式があります。企業が将来得る利益をどう見積もるかを客観的に判断するのは難しく、「これが正解」というものはありません。そのため、雑誌やサイトによって理論株価の計算方法は異なり、もちろん数値もバラバラです。
また、理論株価の計算方法が公開されていない場合も多く、理論株価の妥当性を判断するのも難しいのが現状です。
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ひとつの指標だけに頼るな!指標は組み合わせてこそ使える
「負債が多いとROEが高くなるから、自己資本比率のチェックが必要だ」とか「高PERでも低PCFRなら設備投資に積極的な企業なので購入を検討」いうように組み合わせて考えましょう。
また、指標だけではわからない、企業のブランド力や市場シェア、経営戦略、手がけている事業の市場は拡大していくのかといった要素も考慮する必要があります。
株価が大きく伸びる成長株を見つけて儲けた名投資家フィッシャーの紹介記事もありますので、ぜひ参考にしてください。