ICTの急速な進化は、企業の営業活動の形を大きく変化させた。Web広告やメール、企業サイト、ECサイト、SNSなどを活用したマーケティングのデジタル化、いわゆる「デジタルマーケティング」は、BtoC(企業対個人)だけでなくBtoB(企業対企業)の分野においても重要な役割を果たすようになった。

パレートの法則(8:2の法則)

BtoB分野においては、デジタルマーケティングを「新規顧客」の獲得に活用しているケースが多く見られるが、売上の8割が全顧客の2割から生み出されているというパレートの法則(2:8の法則)にもあるように、企業の成長は「既存顧客」からの売上が支えている。その意味で、デジタルマーケティングの効果を最大限に発揮させたいのなら、新規顧客の獲得にとどまらず、既存顧客との関係強化にも活用するべきだろう。

今回は、デジタルマーケティングのBtoB活用に関して豊富なノウハウを持つ、パワー・インタラクティブ 取締役/執行役員 広富克子氏と、富士通マーケティング きららERPソリューション営業部 鎌田了悟氏にお話しを伺い、既存顧客の売上維持・拡大を実現する、デジタルマーケティングの活用方法について確認していく。

新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客に対するアプローチへの活用に期待

パワー・インタラクティブ 取締役/執行役員 広富克子氏

新規顧客の獲得において、新たな顧客を探して一から接点を持ち、地道な育成を進めて最終的な売上につなげるまでにかかる時間やコストは大きな課題だ。限られた営業リソースを考えれば、既存顧客からの売上拡大を目指すほうが効率的といえるが、デジタルマーケティングに関するセミナーやコンサルティングを手がけるパワー・インタラクティブの広富克子氏は、このように語る。

「デジタルマーケティング関連のセミナーは新規顧客の獲得をテーマにしたものが多く、既存顧客向けの施策としてデジタルマーケティングを活用するというセミナーはまだ少ないという印象です」(広富氏)

デジタル媒体を活用して顧客の行動を収集・分析できるデジタルマーケティングは、確かに新規顧客の獲得に有効な手段といえるが、既存顧客の売上維持・拡大を図る際にも有用なはずだ。

富士通マーケティング きららERPソリューション営業部 鎌田了悟氏

自らも営業担当として数多くの企業にアプローチを続けている富士通マーケティングの鎌田了悟氏は、中堅規模の企業におけるデジタルマーケティングの浸透度についてこう語る。

「デジタルマーケティングという手法は一般的なものになってきましたが、中堅企業ではまだまだ営業担当個人の能力を主体としたやり方を継続しているケースが多く、導入が遅れている印象があります」(鎌田氏)

とはいえ、デジタルマーケティングで何ができるのかに興味持つ企業は少なくないと鎌田氏。多くの企業は費用対効果にリスクを抱える新規顧客の獲得より、既存顧客へのアプローチに軸足を置いており、デジタルマーケティングを活用した既存顧客の売上拡大に期待を持っているとのことだ。

それでは、既存顧客への具体的な展開としては、どのような手法があるのだろうか。

[PR]提供:富士通マーケティング