【特別企画】

決算早期化を実現させたのは、「システム定着化」から「業務改善」への転換だった - 富士通マーケティングが取り組んだ社内事例

[2017/09/13 08:30] ブックマーク ブックマーク

業務アプリケーション

近年、企業を取り巻く環境の変化は加速を続けている。各企業は自社の状況を的確に把握し、迅速な意思決定を行うことで、その変化のスピードに対応しなければならない。

企業が意思決定を行う際に用いる情報のひとつとして、決算情報があげられる。決算時に算出された情報を分析することで、事業の改善策を考えたり、新たなビジネスの可能性を見出すことができる。そのため、決算業務の無駄や無理をなくすことで数値の正確性を向上したり、決算情報の分析を行うための時間を創出するための方法として「決算早期化」への関心が高まっている。

本稿では、統合業務ソリューション(ERP)をはじめとした業務システムの提供などを行う富士通マーケティングが、自社内で決算早期化に取り組んだ事例を紹介。決算早期化を推進するためのポイントや、実現へ向けてハードルとなった内容をまとめている。

決算早期化プロジェクトの目的は、「経営への貢献」

2009年、富士通マーケティング(旧 富士通ビジネスシステム)は富士通の完全子会社となった。決算締めは富士通が4営業日に対して富士通マーケティングは6暦日。親会社との密接な連携をとるためにも決算日程を短縮することは経理部門の重要課題となっていた。

6暦日を5営業日に短縮するのであれば、1日休日出勤をすれば達成は可能な目標だが、4営業日に短縮することは、経理部の作業を効率化するだけでなく他部門の協力を得なければ達成はできない。 また、「暦日」ではなく「営業日」でカウントするという目標の意図として、”休日出勤をしない”という考えがベースにあった。

富士通マーケティング 財務経理本部 経理部 部長 上村 勉氏

かねてより、同社 財務経理本部 経理部長の上村 勉氏は会計データを活用した「経営への貢献」を実現させたいという強い思いを持っていた。経理部門が経営者の良き相談相手になるためには、業務の軸を決算『作業』ではなく『分析』にシフトしたい、『分析』にかける時間を確保する視点からも、決算短縮化が必須であると考えていたのだ。

2011年度、『作業のない決算、作業から分析へ』のスローガンを掲げ「AXIS(Accounting eXpert Intelligent System 「経営の軸」となるシステム)」プロジェクトがスタートした。データを活用して経営に寄与するためには、分析に必要なデータを効率的にアウトプットできる仕組みが必要であったため、まずは会計システムを手組みシステムから富士通のグループ経営情報統合ソリューション「GLOVIA」へ移行。管理会計データを統合し、財管一致が実現できる「GLOVIA」のメリットを活かし、決算早期化の実現を目指した。

ところが、プロジェクトはシステムを入れ替えた段階で停滞。本来の目的を見失い、システムの使い勝手を向上させるという目先の改善で止まってしまった。上村氏は、停滞したプロジェクトをどのように活性化すればよいか悩んだという。ちょうどそのとき、上村氏は情報システム部門より、富士通にFI(※;フィールドイノベーション)本部という部隊があり、「人・プロセス・ICT」を可視化し、業務改善のためのさなざまな支援を行なっていることを聞いた。 この活動では「FIer(エフアイヤー)」と呼ばれるスタッフが、オンサイトで業務分析~課題抽出~解決のためのフレーム作りを行い、お客様自身による改善活動に大きな貢献をしている。

上村氏は、2014年度より「AXISプロジェクト」にこのFI活動を取り入れることを決断。プロジェクトを再スタートさせた。2014年度1年間で得た成果は、以下の3点だ。

  • 決算を6暦日から5暦日へ短縮
  • 変革の土壌づくり
  • 経理部メンバーの意識変革

AXISプロジェクト打合せ風景

決算を1日短縮できたことはもちろん、経理部メンバーの意識を変えることができたのは大きな成果だった。活動中は、慣れないPost-itセッションや、「目的から考える」こと、「自分の発言を周りに納得させる」ことに苦労したが、だからこそ各メンバーには「上から言われたことをやる」ではなく「自ら考え行動する」力が身に付いたという。 ただし、ここまでくるにはさまざまなハードルを乗り越えなければならなかった。

最大のポイントは、購買統括部の買掛金データ受領の前倒し

FI活動で最初に取組んだのは、プロジェクトメンバーである経理部門18名を担当業務以外のタスクに担当付けしたことだった。経理部門のタスクは3グループ(管理会計グループ、一般会計グループ、買掛グループ)に分かれる。あえて担当外のタスクにつけた理由は、自分の担当以外の業務を理解し、かつこれまで当然のように行ってきた業務を”なぜ”やっているのか、外部の目で客観的に見ることで、本当に必要な業務なのか、改善するべき点はないのか”気づき”を得るためだった。

タスク活動の最大のポイントは、買掛グループに課せられた購買統括部からのデータ受領の前倒しだった。総務部、ビジネスサポート本部、営業推進部では、部内の業務を見直すことで比較的スムーズに締日の前倒しを行うことができた。しかし、購買統括部は他部門と異なり、買掛金計上の大量データを扱っている。現状の4暦日の対応がやっとのところを、さらに短縮して3暦日にするのは、無謀にしか見えなかったのだ(図1参照)。

(図1)目標施策体系図

買掛グループでは、購買統括部の協力を得るため、1人で行う作業を2人が並列に行い時間を短縮するといった具体策を準備した。しかし、購買統括部に依頼しても締日の1日短縮を、最初は「現在の人数は、発注メンバーも含めぎりぎりの人員で対応しているのに2人体制で1日前倒しなんて、そんなことできるわけがない」と門前払いを受けたという。買掛グループだけではなかなか進まないため、最後は経理部長の上村が具体的改善策を購買統括部長に提示し、購買にとってもメリットがあると、ようやく協力の同意を得ることができた。

購買統括部では、実際に提案通りに作業を進めることにより、作業待ちの時間がなくなり締め処理がスムーズに進むようになった。今では部内の業務改善が実現できたと、逆に感謝されているという。また購買統括部の理解・協力を得られたことは、プロジェクトメンバーにとっても大きな励みとなった。

買掛グループ以外のメンバーも含め、業務時間外を見つけてグループミーティングを積極的に行い、プロジェクトは順調に進んでいるかに見えた。しかし、その先にもっと大きなハードルが待ち受けていた。

(※)
FI:富士通のFIerが無償でお客様の業務改善及び、効率化を推進するための支援活動
IA:富士通マーケティングのIA(Innovation Advisor)が無償でお客様の業務改善及び、効率化を推進のための支援活動

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