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営業にこそDXを! 購買プロセスが劇変した今、営業手法の"肝"となるのは?

[2021/09/27 09:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

今、営業担当者が身に付けるべき営業手法

構造的変化の引き金になったのは、インターネットの普及による情報収集の革新だ。インターネット以前の世界で顧客が製品情報を収集しようと思ったら、まず広告や展示会で情報を集め、カタログを取り寄せて比較検討を行い、そこから先は営業担当者とコンタクトを取るしかなかった。

しかし、インターネットが普及したことで情報があふれ、顧客は営業担当者とコンタクトする前に詳細な製品情報を収集することが可能になった。とある調査によると、営業担当者が顧客と会う前に購買プロセスを終えている割合は57%にも上っているという。

そこまでいかなくても、購買プロセスにおいて顧客が営業担当者とコンタクトするタイミングがこれまでよりも後ろにずれていることは間違いない、と石原氏は分析する。

「取引における主導権の66%~90%は買い手が握っていると言われています。顧客は自分のことを理解してくれる企業や営業担当者から購入したいと考えており、(製品や考えを)押し付けてくる営業担当者からは買いたくないのです。つまり、今は顧客が営業を選ぶ時代なのです」

そのような時代において、営業担当者はどのような営業手法を身に付けるべきなのか。石原氏は自社クライアントのさらにその先にいる「クライアントのお客さま」を対象にアンケート調査を実施。その結果、「クライアントのお客さま」が期待していることと、クライアント、すなわち「買い手と売り手」の意識にずれがあることがわかったという。

例えば、売り手側の営業担当者は「ちょくちょくお客さまのところに顔を出すのがいい」と考えていることが多いが、買い手側は「訪問よりもメールなどでまめに情報提供してくれるほうがありがたい」と考えていることが多い。また、売り手側は「提案書を作り込み、付加価値の高い提案をしなくてはならない」と考えていることが多いが、買い手側は「それよりも依頼したことをちゃんとやってほしい」と考えていることが多いのだという。

営業担当者はこうしたずれを認識し、これからの営業手法をあらためて構築しなければならないのだ。

新時代における営業手法の”肝”とは?

では、新時代における営業手法の”肝”になるのは何だろうか。そのヒントとして、石原氏は「ザイオンス効果」を挙げる。

ザイオンス効果とは、「単純接触効果」とも呼ばれる。人間は接触回数の多いものに対して好印象を抱く、という心理効果である。

「頻繁に連絡するとお客さまにとって迷惑なのではと思われるかもしれませんが、そこは臆さずコミュニケーションをとるべきです。ただ、先ほどご説明したように、訪問するよりもメールで情報をもらえたほうが嬉しいという声もあるので、フェイス・トゥ・フェイスだけでなく、違う方法で接触回数を稼ぐべきでしょう」

実は、これまでも営業担当者はそれほど顧客との接触回数が多かったわけではないと石原氏は指摘する。

アペルザの調査によると、1日の業務のうち営業担当者が顧客との面談に使えている時間は全体の20%にすぎない。意外に少ないと感じるかも知れないが、移動時間や事務作業などがあることを思えば納得の調査結果だろう。

さらに調査を進めた結果、営業担当者が面談できている顧客は全体の15%でしかないということもわかったという。「乱暴に言えば、85%の顧客は放置されているということなのです」(石原氏)

では、どうすれば限られた時間の中で接触回数を増やせるのか。石原氏が提案するのが、メールを活用した営業だ。

メールマーケティングというと古いイメージがあるかもしれないが、その有効性はさまざまな調査で明らかになっており、再び注目を集めているのだという。例えば、eMarketerによると「メールマーケティングのROIはDMや検索型広告などほかの手段と比較して4倍以上」であり、ABERDEENによると「メールに重点を置くマーケティング担当者は、そうでない担当者比較して2倍近く収益に貢献している」のだという。

「営業担当者自身がメールを作って届けてみてください。きれいなメールでなくて構いません。『最近、顔を出せていなくてすみません』のようなフォローするメールを送ると、おそらく思っている以上に返信があるはずです」

もっとも、営業担当者も忙しく、メールを作成する時間がとれないかもしれない。そうした状況をテクノロジーによって打破していくことも”改革”だろう。例えば、同社が提供する「アペルザクラウド」では、メール作成やテンプレート、ライブラリ機能などが備わっており、再現性のあるメールマーケティングをサポートしているという。また、顧客ごとに反響も確認できる。そこを起点に、営業担当者は次の営業活動へとつなげられるというわけだ。

石原氏は最後に「失敗とは、より良い方法で再挑戦できる良い機会である」(ヘンリー・フォード)という言葉を引用し、「失敗してもデータは残ります。失敗を重ねて改善していけば成功率は上がっていきます。最終的には経験が積み重なり、より本質的な利活用に転換できるはずです」と聴衆にアドバイスし、講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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日本を代表する電機メーカーであるカシオ計算機株式会社。同社が誇る高い技術の中核を担うのが、国内唯一の生産拠点であり、海外生産拠点のマザー工場でもある山形カシオだ。近年、山形カシオは急速に生産現場におけるDXを推進。工場のスマート化や生産ラインの自動化を進め、ものづくりの現場にイノベーションを起こしている。

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