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コマツが実践する顧客目線のDX「ダントツバリュー」、成功の鍵は?

[2020/12/25 09:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

従来携わってきた領域を効率化するだけでは顧客価値につながらない

ここで、コマツのダントツバリューの具体的な取り組みを1つ紹介したい。

コマツが建設機械を提供する一般土木工事の領域では、狭い場所において人と機械が入り混じった複雑で危険な作業が発生することが大きな課題となる。また、少子高齢化に伴い、熟練技術者の減少も進んでいる。

土木工事の業務プロセスは一般的に、入札/受注から現場調査、施工計画、下請手配、現場設営、測量、施工、検測、出来高検収、竣工まで長期に渡ることが特徴だが、そのうちコマツが従来関わってきたのは、施工の工程の一部のみだった。

施工の工程の一部だけを最適化したところで、全体の業務プロセスが大きく変わることはないため、土木工事が抱える本質的な課題解決には至らない。しかし浅田氏は「お客さまが本当に求めているのは、業務プロセス全体を無駄なく効率的にしていくこと」だと強調する。

そこでコマツが打ち出した施策が、機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス)」によるサービス改革だ。同システムでは、各種IoTセンサを活用して建設機械62万台の稼働状況をモニタリングしている。例えば、KOMTRAXで取得した建設機械のコンディション/オペレーション情報を活用したよりプロアクティブなサービス活動によって個々の建機稼働の高度化を推進している。さらには、設計図データをダウンロードして半自動で制御されるICT建機を現場へ投入/活用することで、熟練していないオペレーターでも適切な現場作業ができるようになる。

これにより、施工時間が短縮されたり、施工精度が向上するという効果はもちろんあるが、浅田氏によると、顧客にとって最も重要だった変化は「これまでお客さまがコマツとは交わらないビジネスプロセスと考えていた丁張り(設計図面を地面に写し取る人手作業)や測量作業が劇的に低減できた」ことだという。さらにコマツは適用範囲を広げ、施工プロセス全体をデータで有機的につなげることで、現場施工全体の高度化を目指すスマートコンストラクションにも取り組んでいる。

ダントツバリュー

土木工事におけるコマツのダントツバリュー

また浅田氏が現在駐在しているImmersive Technologiesでは、デジタルツインを活用したオペレータースキルの維持/向上のためのソリューションとサービスを提供している。Immersive Technologiesは、2019年にコマツが買収した豪州の企業だ。こうした外部の知見を積極的に取り入れていくという姿勢も、DXには重要な要素となる。

現場の知見を活かしつつ、バックキャストでソリューションを提案

モノづくり企業から、データを活用したソリューションを提供するコトづくり企業への変革を遂げているコマツ。しかし「モノづくりに最適化してきた組織では、コトづくりはうまくいかないことが多い」と浅田氏は忠告する。コトづくりで重要になるのが、組織横断の全社活動、さらにはコマツのImmersive Technologies買収に代表されるような領域や業界をまたいだ連携だ。日本の製造業が従来こだわってきた自前主義からの脱却を図らなければならない。

コマツでは、産官学連携やM&Aによる企業連携を積極的に進めている。浅田氏は「組織内外の意識改革を進めながら、バックキャストで物事を考え、それに必要なものは何かという発想でソリューションを提供していかなければならない。お客さまのゴール像を共有し、それを達成するために、お客さまと一緒になって継続して本質的な課題解決をサポートしていくという考え方が重要」と語る。

製造業はオールドエコノミーかもしれないが、「モノを提供した結果となる現場がある」と浅田氏。つまり、現場での顧客との会話から得られた知見こそが、製造業の特徴となるということだ。こうした製造業ならではの強みを活かしたDXにコマツはこれからも挑戦し、ダントツバリューを実現していくだろう。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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