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ニューノーマル時代の今着目すべき「ピープルアナリティクス」とは?

[2020/11/25 09:00]小池 晃臣 ブックマーク ブックマーク

注目は「行動データ」の分析

例えば、退職/リテンション分析では、リテンションモデルの構築により、退職/求職率低減のための施策立案が可能となる。組織の課題を見つけ出して制度の改善に活用するほか、個人のケアなどにも繋げられるだろう。

また、人材の定着にあたっては、母集団形成の改善と内定辞退率の低減のいずれにフォーカスするかを検討することが必要だ。さらに、過去の内定者の適性検査や履歴書情報の傾向をAI/機械学習でモデル化した「採用適性モデル」では、入社後の活躍の可能性やミスマッチ度合いを把握できるという。

「こうした分析結果の活用方法としては、人材要件のアップデート/適性検査のスクリーニング/面接の基準の目線合わせ/予測結果に応じた採用フローの変更などが挙げられます」(山田氏)

次に、ハイパフォーマー分析にあたっては、社内におけるハイパフォーマーの定義と対応するデータの収集が必要になる。このハイパフォーマーを定義する作業が最も神経を使う部分となるが、求める人材像が厳密に定義されていれば、分析結果から類似人材の抽出、ハイポテンシャル人材や次世代リーダー候補者の発掘などが可能となる。

「可視化しにくい価値」の適正な評価

近年非常に注目が高まっている領域が従業員の行動分析だ。一般に従業員の価値は「人的資本(Human Capital)」と「社会関係資本(Social Capital)」に分かれるが、評価においては従業員の特性やスキルセットといった人的資本に着目されることが多く、人脈があったり、組織内のハブになっていたりといった可視化されづらい社会関係資本は、重要であるにもかかわらず適切な評価がなされていない傾向が強い。

この社会関係資本を計測する手法として注目されているのが、「ONA(Organization Network Analysis:組織ネットワーク分析)」だ。勤怠や業務ログ、メール/チャットのやりとり、カレンダーで誰を招待したか、会議室の利用状況などさまざまな行動データを分析し、従業員同士の関係性や、組織間コミュニケーション、意思決定の流れを可視化するという。

ONAの流れ

ONAの流れ

「解決したい課題や使えるデータによっても在り方は変わりますが、ONAでは人事課題を整理した上で、そこに何か利用できる行動/振る舞いデータはないかを探しながら仮説検証していきます。検証結果を基に、社内のコミュニケーションや生産性向上につながる施策を検討したり、コミュニケーションのハブ人材の評価を適正化したりと、さまざまな活用方法が考えられるでしょう」(山田氏)

ピープルアナリティクスを進めるにあたって……

実際にピープルアナリティクスを進めていくにあたり、ポイントとなるのは知りたいことや課題ベースでデータ分析していくことだという。

「データ分析は、打ち手に生かせないと意味がありません。施策を念頭に置きながらデータを集めて分析する、という意味でデータ分析は手段です。良い成果を出すためには、現場からのクリティカルな仮説が重要ではないかと思っています」(山田氏)

また、ピープルアナリティクスにおいてよく活用される代表的な分析手法としては、「統計的仮説検定」「クラスター分析」「決定木分析」「回帰分析」が挙げられるという。使うべき手法は目的に応じて変わるが、人事においては投資などと異なり、予測の細かい精度ではなく解釈に重きをおくことが多い。そのため、「ディープラーニングで高い精度を求めるよりも、まずは可視化を行い、検定や回帰分析/決定木などを使って『要因は何か』という理由を探っていくタイプの説明性の高い手法が選ばれやすい」と山田氏は説明する。

エビデンスを無視した経営層や人事の意思決定は、従業員にしわ寄せが及びかねない。これを回避するには、きちんと従業員の状態をデータで見ながら、課題に対する施策を実施することが重要だ。企業と従業員双方の利益を最大化するためにも、企業が人材を含む経営資産を把握し、従業員の働き方を支援していく必要がある。

「データドリブンHRの実現によって、人事課題の解決や従業員のエンゲージメント/生産性向上を図ることが可能です。ぜひ、目の前の課題と手元にあるデータからでも、実施してみてはいかがでしょうか」(山田氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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