おじさんはテレワークが苦手? サイボウズの事例で学ぶ働き方

[2020/08/21 09:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

情報の徹底的なオープン化にこだわる

大槻氏は、働き方改革に必要な要素として「制度」「ツール」「風土」の3つを挙げる。サイボウズにとってラッキーだったのは、自社製品のグループウェアというツールでオープンに情報共有する風土がもともと根付いていたことだ。

「『本当にみんなもちゃんと仕事してるの?』という疑心暗鬼が生まれると、組織改革は上手くいきません。他部署や他の社員の動きが見えるから安心してリモートワークができるのです」(大槻氏)

そして、こうした”安心の風土”をつくるのが、日々活用するITツールだという。メールやチャットでは、宛先に自分が入っていない限りは閲覧できず、どうしてもチームや組織の壁が発生してしまう。一方、グループウェアを活用すれば、ほかの社員の動きが見えるため、自然と助け合う文化が生まれていく。

サイボウズは、情報開示が組織の自浄作用を生むという考えから、情報の徹底的なオープン化にこだわっている。経営会議の議事録も、その日のうちに全社員に共有される。大槻氏は「ここまでやるから社員は主体的に働くことができる。経営目線を持てと言われても、情報共有されていなければ持てるわけがない。全て見せるからこそ、自分の仕事と結び付けて考えられるようになる」と語る。

一緒に働いている人を感じられる環境をクラウドに再現

グループウェアを通した徹底的な情報共有文化は、新型コロナウイルス対応にも強く、サイボウズはスムーズに完全リモートワークへ移行できたという。一方で、テレワーク導入を始めたばかりで課題を抱えている企業は多い。大槻氏は、「テレワークになることで、管理職は人とのコミュニケーションがなく寂しさを感じてしまう。それが『在宅だと部下はサボるだろう』という考えにすり替わってしまっている。これがテレワークを阻害する心理的負担になってしまっている」と、管理職の心構えに関する問題を指摘する。

そして、大槻氏はテレワーク成功へのカギとして「一緒に働いている人を感じられる環境をクラウドに再現する」ことを提案する。もちろん、サイボウズでも自社製品を活用して実践している。

「テレワークを実現するには、メンバーシップ型からジョブ型に働き方を変えることが求められると言われていますが、日本企業はそんなにすぐには変われません。だとすれば、これまでのように働きぶりで評価することを継続するため、個々人の働きぶりをクラウド上に表現するほうが手っ取り早いでしょう。グループウェアであれば、社員皆の活動や会話が見えます」(大槻氏)

まずは成功体験をつくるところから始める

徹底した情報共有には、チームワークを強固にするというメリットもある。サイボウズが大事にするのは、オープンチームワークだ。大槻氏は「従来の働き方では1人が頑張れば辻褄が合っていたが、多様な働き方を認めることでチームとしてのアウトプットを見ていくという考え方になる。そしてその前提にあるのが情報のオープン化」と説明する。

ただ、そうした情報共有の文化がこれまで全くなかった企業にとってはなかなかハードルが高いだろう。大槻氏は、働き方改革の取り組みを進める際のコツとして、やる気のある人たちを集め、自分のチームの仕事を改善するところから主体的にチャレンジしてみることを推奨する。

例えば、サイボウズの営業チームはかつて、メールでの仕事が当たり前だったために、顧客やパートナー企業の引き継ぎがスムーズにできないという課題を抱えていた。しかし、自社のメール共有サービスを活用し、社内の誰もがメールを閲覧し、コメントを付けられるようになったことで、スムーズに引き継ぎが行えるという良い結果につながった。大槻氏は、こうした成果体験を得ることが大事であるとする。

「成果が生まれると反対できなくなるだけでなく、成功体験が口コミで伝わり他部署も検討を始めます。人は変わりたくないのではなく、変えられたくないだけ。自分から主体的に変わることができればよいのです」(大槻氏)

こうして自然と業務改善が進むようになってくると、結果的に企業の生産性向上にもつながる。今回紹介したような長年の取り組みの結果、サイボウズは2013年頃から再び売り上げが伸び始め、現在に至っている。売り上げより社員の働き方を重視してきたサイボウズだが、結果的にそのどちらも手に入れたことになる。ぜひ、サイボウズの取り組みを参考に、”昭和のマネジャー”から脱却し、新しい働き方を実現して成果へつなげていってほしい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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