AI活用に必要なのは「志」- キユーピーが競合に低価格でAIソリューションを提供するワケ

[2020/05/25 08:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

「One for all, All for one」の精神で国力強化を目指す

「人間は知力と体力から成っていると考えると、体力を機械化したものがロボット、知力を機械カしたものがAI。AIは、知的作業の高速化/高度化をもたらす。一方で、機械には”志”がない。単純に機械化できない志は、これからの時代に重要になっていく」と荻野氏は語る。

キユーピーの志とも言える社是は「楽業偕悦」。志を同じくする人が、仕事を楽しみ、困難や苦しみを分かち合いながら悦びを共にする、という考え方だ。「One for all, All for one」の精神とも言えるだろう。

食品原料検査装置は、その後、中小の原料メーカーや食品メーカーへの展開も進んでおり、すでに100社を超える企業から引き合いがあるという。キユーピーとしては、装置販売での利益は追求しない考えだ。その理由について荻野氏は「AIによる食品原料検査装置を作り始めたのは、日本の業界全体の食の安全/安心を向上させるという志があったから。これは、キユーピーだけでなく業界共通の課題となる。本当に使える世界一の性能を持った装置を、世界一安く必要とする人たちへ届け、業界全体に広めていけるようにしたい」と説明する。

原料の安全/安心を世界へ届けたいという志

さらに荻野氏は、業界一丸となってAI導入を進めることは、国力強化に繋がるとも主張する。

「食品メーカー5万社が各々AIを開発するとして、例えば1企業あたり10のAIシステム開発を5人のAIエンジニアによって行う場合、単純に計算すると食品業界だけで250万人のAIエンジニアが必要になってしまいます。このやり方では日本のAIエンジニアは枯渇してしまうし、必然的に人口の多い国が勝つ構造です。

代表ユーザーがAI企業と組んでソリューションを作り、他社に提供していくという流れができれば、250万人必要だったAIエンジニアは50人で済むようになります。ブランド差別化の領域では競合同士思いっきり戦い合えばよいのですが、業界の共通課題は助け合って解決していくという考えがこれからの時代には必要です。オールジャパンで労働力不足を解消し、国力強化に繋げていきたいと思います」(荻野氏)

キユーピーの主力商品であるマヨネーズは、「おいしく、栄養のあるマヨネーズを、生活必需品となるまで広く普及させて、日本人の体格と健康の向上に貢献したい」という利他的な精神がベースとなり製造開始されたものだ。現在の経営幹部にも、業界全体に貢献したいという利他的な精神が受け継がれているという。

AI導入でありがちなのは、計画通りに進まなかったときに経営者から「なぜやっているのか?」と問われてしまうケースだ。この際、企業の理念やビジョンに合致した志があれば、経営者に理解してもらいやすいし、それが新たな顧客価値を提供することに繋がる。

荻野氏は「明確なゴールと志を定めることがAI導入においては非常に重要となる。そして、さまざまな方たちの支援を受けるときには、利他的な目的を持つことも大切。志を同じくする者で覚悟を持って実行していってほしい」と、改めて”志”の重要性を強調していた。

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